2007.01.15
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学園 水戸黄門 第二話

 水戸光子はあるアパレルブランドの経営者の娘だった。マチ子も聞いた事のないブランドだ。おそらくそれほど大きな会社ではないだろう。麗子の地位を脅かすような存在にはなりえないだろう。
 ただ、ひとつ気になったのは光子が転校して来た同じ日に体育科の3年にも2人の転校生が来ていたことだ。体育科では学期の途中からの転入、転出は割とよくあり、また、実力主義の世界であり、出身による階級社会とは無縁の世界のため麗子には興味がなかったのであろう。でも、この二人とも容姿は抜群でスポーツも万能。普通の年頃の女の子ならむしろこちらのほうが気になるのが当たり前だった。

 「唯野マチ子!ちょっと来な!」
「うっ!…はい」
今、マチ子を呼び出したのは麗子ではなかった。麗子に取り入ろうとしている女子数人のグループであった。何かと麗子に用事を言いつけられるマチ子を嫉んでいるのだ。
 マチ子は女子トイレに連れ込まれるなり、取り囲まれ腕や胸を殴られた。
「おまえ、じゃまなんだよ!」
「ビンボー人のくせに、こんなところに来るなよ!」

かわるがわる罵声を浴びせながら殴られ続けてもマチ子が泣いたり声を上げたり反抗したりすることはなかった。
「うっ…う、う…」
ただ痛みに耐え続けていればこの攻撃はいずれ止む。何かをするとさらに攻撃を受ける。それよりはましだと思っていたのだ。
 そのときだった。
「お前ら何してるんだよ!」
誰もいないと思った個室の一つから突然誰かが現れた。
 一瞬の静寂の中、現れた人物はマチ子の手をとってトイレの中から飛び出した。
 まちがいない、この子、水戸光子だ。
 そう思いながら光子に手を引かれ走り続けるマチ子の目にはいつの間にか涙があふれていた。
「まてよ~!」
さっきの連中の声が二人を追ってくる。気が付くと二人は廊下の突き当たりに立っていた。

水戸光子がつぶやいた。
そりゃあそうだろう、転校して来たばかりの光子がこの巨大な学園内の地理なんてそう簡単に覚えられるはずがない。
2人はさっきの連中に取り囲まれてしまった。
「おまえ、新入りだろ?どういうつもりなんだよ?」
「こういうのはよくないと思いますよ」

ただ、この状況がよくなるなんて考えられるわけもなく、光子を巻き込んでしまったことを申し訳なく思い、もしかしたら仲良くなれたかもしれないのに、もう、話をすることもないだろうと思ってもいた。
 そのときだった、
「お嬢さんたち、楽しそうなことしてるね」
「僕らも混ぜてくれない?」
みると、そこには見慣れない長身の美形の男子が二人立っていた。
「…おそいよ」
水戸光子が小さな声でそうつぶやいたようにマチ子には聞こえた。

つづく


いまさらだけど、ミツコとマチ子って紛らわしい名前になっちゃったなぁ。
かいてて間違えそう。

というわけでミツコを光子にしました。





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最終更新日  2007.01.15 10:49:49
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