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September 21, 2026
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カテゴリ: 読書感想
『厳寒の町』アーナルデュル・インドリダソン著
柳沢由実子=訳 東京創元社 2019年8月23日初版(これは単行本)

ARNALDUR INDRIDASON
原題『VETRARBORGIN』
アイスランド語で「冬の街」や「冬の都市」の意味
​
【中古】厳寒の町/東京創元社/アーナルデュル・インドリダソン(単行本)

■著者紹介
アーナルデュル・インドリダソン
1961年アイスランドの首都レイキャヴィク生まれ。

アイスランド大学で歴史学と映画を専攻し、新聞社に就職。
その後フリーの映画監督になる。
1997年にレイキャヴィク警察の犯罪捜査官エーレンデュルを主人公とする
シリーズ第一作Synir duftsinsで作家デビュー。
3作目にあたる『湿地』と次の『緑衣の女』で
2年連続してガラスの鍵賞を受賞。
『緑衣の女』では、英国のCWAゴールドダガー賞も受賞している。

■訳者紹介
柳沢由実子
1943年岩手県生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。
ストックホルム大学スウェーデン語科修了。

ヘニング・マンケル『殺人者の顔』『目くらましの道』『北京から来た男』、
マイ・シューヴァル&ペール・ヴァ―ルー『刑事マルティン・ベック 笑う警官』、
ドロシー・ギルマン『悲しみは早馬に乗って』、
アリス・ウォーカー『勇敢な娘たちに』、
カーリン・アルヴテーゲン『満開の栗の木』などがある。


男の子の年齢は十歳前後。
地面にうつ伏せになり、体の下の血溜まりは凍り始めていた。
アイスランド人の父とタイ人の母の間に生まれた男の子は、
両親の離婚後、母親と兄と一緒にレイキャビクの住宅街に越してきた。
人種差別的な動機による殺人が疑われ、
エーレンデュルら捜査陣は、男の子が住んでいたアパートや
通っていた学校を中心に捜査を始める。

CWAインターナショナルダガー賞最終候補作、
世界のミステリ界をリードする著者が
現代社会の問題にメスを入れた、シリーズ第5弾。

■感想
「アイスランドの冬は平均気温が-10℃~5℃。
 海沿いは比較的穏やかだが、内陸や北部では厳しい寒さになる。
 日照時間は12月で訳4~5時間と非常に短く、暗い時間が長い。
 晴れたかと思えば吹雪になるなど、天気が非常に変わりやすい。」
とある。
事件現場のレイキャビクはアイスランドの首都で
中部の少し南部寄りにある大きな湾内の港町であり、
アイスランドでもまだしも穏やかな気候らしい。
図書館から借りた本は単行本で、
カバーの絵が自分の視点からの雪の中のブーツ。
ああ、寒い寒い・・・から始まる物語だ。
原題『VETRARBORGIN』はアイスランド語で
「冬の街」や「冬の都市」の意味。

アイスランド人男性との間に生まれた少年は
なぜ刃物で刺されて死ななければならなかったのか。
人種差別問題なのか、他に問題があったのか。
言葉の通じ辛いタイ人の母親や関係者とのやり取りは
通訳の女性がいないと困難であり、
捜査陣の行動を益々難しくさせた。
これは日本で2019年に出版された小説であり、
移民問題がアイスランドでも広がっていたのは
そのずっと前からであったが、
アイスランドでミステリ小説になったのが珍しいらしい。

世界中で移民問題による喧々諤々が進む中、
アイスランドのアーナルデュル・インドリダソンが
問題に切り込んだ作品になっている。

捜査陣は状況、事情を知るために沢山の人達に面接をして行く。
下手に突くと問題が広がり過ぎてしまう。
大事な所に辿り着けなくなってしまうかもしれない。
事情聴取がとてもデリケートな問題をはらんでしまう。

日本でも他人事ではない。
私が住む東北の田舎町でも異国の方が増えて来た。
複雑な思いがある。
テレビのニュースでは扱わない問題が色々ある。
あちこち調べていると、どんどん暗い気持ちになってしまう。
移民がまだ少ない日本でも恐ろしい事件が増えている。

主人公は警察犯罪捜査官エーレンデュル・スヴェインソン。
同僚のエリンボルク(女性)、シグルデュル=オーリ、
エーレンデュルの娘のエヴァ=リンド、息子のシンドリ=スナイル、
女友達のヴァルデュルゲル、
シグルデュル=オーリのパートナーベルクソラ、
引退した警察官マリオン・ブリーム・・・。
馴染みの薄い名前が連なり、外見や性別の説明もないので
なかなか人物像が作れず、名前と人物が一致しない。
この外見の説明が無いってのもポリコレ的な風潮からなのかな?
分かりずらかったーーー('◇')ゞ
脳内の映像が浮かばないのよ。
瀕死の状態で病院にいるマリオン・ブリームが
アイスランドでは珍しい名前らしいが、
ヨーロッパ・イギリス・アメリカの名前に慣れているこちらには
一番馴染みのある名前だった。
状況も分かり易くて想像しやすかった。
白人か有色か、表現は確かに難しいと思う。
女性か男性かも難しくなるなんて。

CWAナショナルダガー賞最終候補だけに
色んな問題を含めて丁寧に話が進んで行く。
だけどじりじりもんもんとはした。
面白いのか面白くないのかと言う点では
そうだな~それほど面白くはなかった。
読みやすかったけどふーんて感じかな。
ただ、アイスランドの十数年前の現状が
ひしひしと伝わって来た。
今やもっと大変な事になっているだろうな。

単行本だけに文字が大きくて読みやすかった。
ベッドで抱えて読むと大きくて重かった。
文庫本に慣れ過ぎて、出掛ける時に重かった(笑)
単行本の使い勝手については、
これまで大きくて遠慮していたけど、
厚紙の装丁じゃなければ楽かもしれないと思った。
ミステリ小説はどこにも持ち込めるように
ずっと文庫本だったので、
図書館での探し方が変わるかもしれないと思った。

犯人と動機が分かると虚無感で脱力した。
どこにでも誰の身にも起きる危険。
ふう~今の世界は危険まみれ。
いや50年前も危険まみれだったけど、
より複雑で手に負えなくなって来た。
情報を手繰り寄せると、恐ろしい事だらけなので
自分としては冷静に穏やかに
日々を過ごす決意を新たにしている。


アーナルデュル・インドリダソンの小説は
『湿地』『緑衣の女』以来の3冊目だと思うけど、
楽天ブログでの感想文が見つからない。
どこに行ったかな。


―2026年9月19日読了―







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Last updated  September 21, 2026 02:02:18 PM
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