ストレンジャー(放浪者)

紀州一人旅2004,5,2~5



午前5時半に起床し、顔を洗って身支度を整えて駐輪場に行くとそこには、バディのリヤには前日に旅道具1式が積まれて走り出すのを待っていた。

火を入れアクセルを軽くレーシングすると、チタンサイクロンから乾いたサウンドが朝靄の中を吠える。

天候は曇り。
1年越しの思いを果たすべく、イザ西へと進路をとる。
何時もの裏道を抜けてR-129から、東名厚木I・Cから乗る。

何時ものならバビュ~ンするところだけど、今回はソローツーリング。
別に待ち合わせしてる訳じゃないし、宿も決めてない。
気楽な一人旅、急ぐ理由は何も無い。

足柄SAで朝食&トイレ休憩に入り、5月の陽気にしては寒いので山菜うどんを食して、体内から暖をはかる。

食後の一服時にボーっとしていたら(そういえば京都のSasamiちゃんが、帰省するって言っていたなぁ)と、若しや何処かで怒濤の合流が出来るんじゃないかと思い、(浜松西で高速降りてR-1で下道を走るよ、浜名湖にはam10前後には到着予定)と、メールを送り走り出して暫らくすると返事が帰ってきた(いま刈谷なんで、同じぐらいに着くかも!)と、彼女もR-1を走ってるようだ。

(うんじゃぁ、ソッチからは浜名湖の入り口でコッチからは出口辺りで合流しましょうと)お返事を返して再び走り出す。

浜松西に到着すると出口が物凄い渋滞で(おっかしいな~、ナンだろうみんなさんウナギを食しに来たのかな?)等と、考えながら横をすり抜けて料金所を出ると「花博」の看板が出てた。

下道に降りたら降りたで「花博渋滞」でリヤに荷物満載のバディですり抜けていく。
R-1に出る此処も渋滞で浜名湖まで、渋滞車両を横目ですり抜け走行で合流地点を目指す。

浜名湖を過ぎたら道も空いてきた、どうやら潮干狩りの行楽客で渋滞していたらしい。

適当な目印になるような処を探して走っていたら、前からハデなオレンジのライディングジャケットを着た子が、バイクに一生懸命しがみ付いて走ってきた。
僕は(あっ、Sasamiちゃんだ!)と、確認してホーンを数回鳴らして、UターンしてTELを入れると、道路の脇に停車しているらしい。

じゃぁ、そこで待っとれと言い放ち走り出して、浜名湖を過ぎても見当たらない。

何度かTELを入れ確認したら、彼女もUターンしたようでお互いにUータンしてのたで、見失ったのね・・
僕は(東へ浜名湖方面へ行くと‘あらいまち’と言う駅が在るから、そこで待ってるから来てくれ)と、言って待つこと数分で遣ってきた。

やっと再会できた喜びと不思議な気持ちで再会を祝い「西の野獣と東の野獣が事前に打ち合わせもせずに、このような所で会えるとは想像もしてなかった。」
僕は時計を見たら11時半になっていたので(お昼を食べようよ)と、提案して浜名湖半の食堂でランチをとる事にした。

浜名湖名物のカレーライスと焼きソバを注文して、僕は(大丈夫かい、今日中に千葉に着けるの?)と、聞きくとSasamiちゃんは(まっ、ナンとかなるでしょ!)と、気楽な返事。

食事が来るまで2人でラブラブ写メールを撮り、2人だけの秘密にしようと思ったが隠し事ができない僕は、画像の周りにハートをちりばめた写メールをKENちゃん、ヒューさん、りゅーちゃんに送信する。

するとすぐにKENちゃんからTELが返ってきた。
(へっへっへっ♪楽しいそうじゃないですかぁ~!でもSasamiちゃんがいま浜名湖だと今日中にコッチに着けるのかな?)と、僕と同じ考え。
他の2人「ヒューさん、りゅーちゃん」は、なぜか送信者の僕に返事をよこさずにSasamiちゃんTELを入れてきた。
「その辺のところを2人に、ツーリングから帰ったら問いただそうと考えていたが忘れていた・・・」

なんやかんやと2人きりの店内で騒々しく食事も取り、僕は名残り惜しいがSasamiちゃんには帰りを待ってる人がいるのでお別れする事になりました。
僕(気を付けて走れよ!無理するなよ!)と、彼女は東へ僕は西へ走り始めた。
バックミラーで見たら元気良く走っていく、オレンジの後姿が確認できたので安心して進路とる。

愛知県豊橋市に入るとR-1からR-42に入り、渥美半島伊良湖岬を目指す。
ここからフェリーに乗船して三重県鳥羽を上陸する算段だったのだが、午後2時に港に着くと次の乗船時間は3時10分との事!
(ゲッ、1時間強も待つの!)
(ホゲッ、フェリーの乗船代が3250円もとるの!!)
戻ってR-23で行く事も考えたが時間的にそれ以上かかりそうだし、その元気も無い。

まちぼうけ


諦めてチケットを買い約1時間海を見て、ボーっとしていた。

船が20分遅れで着やがり、ようやく乗船し船内の席に座ったら爆睡してしまった。
船内アナウンスでの到着の知らせで目を覚まし、デッキに出ると小雨が降っていた。

鳥羽に上陸して走り出すとたいして降ってはおらず、路面も濡れてないのでレインウェアを着ずにパールラインをひた走る。

途中でマップルを見ると志摩にはキャンプ場が在るようなので、目指すと雨足が強くなったきたがそのまま走る。
日も沈みかけた所で「志摩オートキャンプ場入り口」が目に入った。
受付に行き金額を聞いて此処でも驚いた、なんとバイクに1人で2100円も請求された。

雨も降ってるし他を探すのもメンドクサイし、諦めて此処にテントを張ることにした。

テントとタープを張り、有料シャワーを浴びてビールで旅の疲れを癒してたら午後の9時半ごろには寝てしまった・・・。

5月3日

テントを雨垂れがたたく音で眼を覚ました。

外に出て空を見上げれば結構降っている、タバコに火を点けて(まっ、雨ならそれなりに楽しもう)と、顔を洗って着替えてレインウェアも着込んで、テントの撤収作業に入る。

この時の時刻はまだ午前7時前、エンジンに火を入れずゲートまでバディを押していく。
周りのかたはまだ睡眠中の人も居られるし、一寸した気遣いで皆が楽しい旅ができる。

受付に行ったら管理人はすでに起床していたので、挨拶をすると(雨やから気ぃ付けて行ってなぁ)と、
ゲートを出ると下りの坂道なので、モノの次いでにエンジンを掛けずに跨り下まで降りていく。

この辺まで来たらエンジンを掛けても、迷惑にならないだろうと火を入れる。
暖機中にタバコに火を点けると、目の前の海で漁師さんたち7~8名が仕事をしていた。
僕は近寄って1人のかたに(此処から那智までどの位かかりますか?)と、尋ねた。
(そやなぁー、兄ちゃんバイクか?雨やからなぁー)と、続けて(オーイ!那智までどんぐらいかかるやろか)と、他の作業をしている漁師さん達を呼ぶ。
僕は申し訳なくなってきた、ただタバコを吸っていても暇だから話しかけただけなのに・・・。

ドヤドヤとなんや?かんや?と色の黒い志摩の漁師さんが8名が集まって(そやな5時間くらいやろか)
(バイクやでもっと早いやろ)
(けどな雨やで!)
等と厳つい男に囲まれた僕は(エンジンを切りに1回戻ろうかな)なんぞと考えていた。
そこへ長老らしきお方が(ナニをやってんのかいなぁ!)と、激を飛ばされたらみなさん、ヤーヤー言いながら仕事に戻って行った。
取り残された僕は(結局時間は?)と、考えたがまっいいかで、那智に向けて走り出した。
走りながらやっと関西圏の異文化交流したなと実感した。

R-260を走りR-42にでて、海岸線のルート走り始めたころ雨が上がり日が差し始めてきた。
こいのぼり

このルートはアップダウンありコーナーありの、走ってて結構楽しい。
何よりも景色が美しい、左を見ればコバルトブルーの海に右を見れば新緑の深い山々・・・

余りにも気分が爽快なものだから、ウラ声で「アベ・マリア」を歌っていた。

熊野那智大社に到着して、適当なところにバイクを駐車して、先ずは那智の滝から見ようと石段を下りていく。
関東の人間から見たら「日光の華厳滝」と、さして変わりは無かろうと思っていたが、目前で見る滝はナカナカ如何して尊厳を感じさせてくれる。
那智の滝

下ってきた石段を登って戻り、今度は登山のような石段を登っていくと熊野大社が現れた。
熊野大社への石段

因みに僕が画像を写すときは、三脚にセルフタイマーで写している。
イチイチ人に頼むのもメンドクサイので。

入り口の鳥居の前で三脚をセットして、ポーズを決めようとしたら、4名ほどのギャルが僕が撮り終わるまで、ご丁寧に足止めをして待っていてくれたのを見た僕は、おもわず舌をペロッと出した。
それを見たギャルの1人が(カッワィィ~♪)だってさ、うれしいじゃねぇかコノヤロ!

熊野那智大社2熊野那智大社3
那智の滝

オトボケ&オチャラケ詣でも満喫して、バイクに戻るとお土産屋にソフトクリームの看板を発見。
イソイソと買いに行き、ソフトを受け取りお金を払おうとしたら、小銭を落としたので拾うとしたらソウフトの上が地面に落下した。

地面に落ちたソフトを見ながらシクシク泣いていたら、店員の女の子が主の無いコーン「ソフトが乗ってないコーン」を、僕の手からもぎ取りソフトを垂らしてくれた。

きょうは川湯温泉に在るキャンプ場に張ることにした。
R-42に戻り、R-168の山岳路を小1時間も走ると目的地に着いた。
が、キャンプ場は在るが温泉が無い。

昨日はシャワーだけで済ませたので、今日はどうしても温泉に浸かりたい、そんな思いでマップルを確認すると湯の峰温泉というのがもう少し先に在る。

試しに行ってみて無かったら戻りゃ良いんだと、考えて走り出して目的地に着くと、温泉付キャンプ場の看板があった!

行ってみると民宿が経営してるキャンプ場で、露天風呂も在るので、金額も1500円で温泉の入浴料も含まれているとの事なので、即決で此処に決めた。

テントを張り、着替えて温泉に浸かり旅の心地良い疲れを癒して、民宿のじぃーさんのところへ行ってキンキンに冷えたビールを別けてもらい、グビグビと飲むと最高に美味かった・・・

5月4日

朝の5時半頃に起床して、早々に温泉に浸かりに行く。
流石にこんな早朝から入っている客もなくて、貸切状態の朝風呂を内湯と露天風呂と堪能する。
朝温泉
この画像の他に携帯で写したのも在るが、ソッチは関係者各位様に早朝の6時半に送信した。
トンでもない画像を送られてきた皆様、朝っぱらからミョーナ画像で起床させて申し訳在りませんでした。
深くお詫びすると共に、次回はもっと凄い画像を送る事を決意致しました。

40分も温泉を満喫しただろうか、汗ビッショリ掻いて自販機でスポーツドリンクをかって飲み、一息ついてから着替えてテントの撤収作業に入るとポツリポツリと雨が降り出してきた。

レインウェアを着込み走り出すと本降りになり風も強く吹いてきた、山岳路のR-168を抜けてR-42の海岸線に出るころには雨はあがってきたが、風は相変わらず強い。

南に進路を取り串本に在る「橋杭岩」到着して、休憩する。
橋杭岩
此処は大小40余りの奇岩が並ぶところで、紀州では此処も来て見たかった所の一つだった。

景勝を堪能して僕は、満足して白浜目指して走り出し海岸線を強風にあおられながらも、ひた走ると道路状況を知らせる電光掲示板が「風速11メーター」案内していた。

僕は真っ直ぐな道でも車体をバンクさせながら走るが、怖いのは強風ではなく、風が突然止むほうが恐ろしい。
ましてや右から吹いていた風が、突然左に代わるのが1番怖い。

細心の注意を払って走り、午前11時半頃には無事に白浜温泉に到着した。
白浜、三段壁
僕は高い所は平気なので、画像の矢印のところまで散歩に出かけた。
岸壁に近づくと「チョット待て!その命はなんたらかんたら」と、いうような立て看板があった。
行ってみると結構高いのねと思ったら、高さ50メーターもあるらしい。
先端に立って四国に向かって手を振って、振り返ると女性が不審な顔で僕を見ていた。
恐怖の突端
周りの観光客は怖がって、近づいてないのに僕だけ先端で不審な行動してたからかな・・・?

帰りに売店で焼きサザエとイカのゲソを買って食して、走り出したら白浜の白い海岸が見えてきた。
天気も悪いし通過して、夏の海水浴の季節だったら間違いなく、ビキニ&ハイレグを堪能しようと停車するんだが・・・

暫らくすると円月島が見えてきた。円月島

マップルを見るとこの先に「とれとれ市場」なるものが有るらしいので、そこで昼食にしようと思い走り、着いたら結構大きい市場で観光バスやら家族連れで車で駐車場は満杯で、僕はバイクだからチョッチョット停めて、中に入るとマグロの解体ショーがやっていた。

うろうろと食堂を探して、見つけたら此処はマグロの中トロや大トロにカンパチ等などの刺身は、個別の皿に盛られて好きな分だけ買うようになっていた。
僕はお盆を持って前の客に並び、大トロとサザエの刺身を選んでご飯の大盛に味噌汁を注文して、お盆に乗せたそれらを、レジので精算して貰い空いてる席を見つけて(すみません、そこ合席させて頂きますか?)と、オバサンに尋ねたら、ちょっとキョトンしていた。
江戸弁が珍しいのかな・・・
そう言えば先ほどの、焼きサザエを食した売店のオバサンに(おかあさん、サザエとゲソください)って言ったらビックリしてたな。
僕の後の客は(オバちゃん、イカちょーだい!)って言ってたものな。
そんな事を考えて黙々と、1人で昼食を食しながら考えていた。

食事を終えて今度は竜神ラインを目指して走る。
R-42からR-311に入り県道198号を抜けて、R-425からR-371で竜神ラインに入った。

この時はドシャ降り状態で、路面は川のようになっていて風も強い。
バイクで走っている人間は僕ぐらいで、すれ違うのは車ばかり(ウッヒョー!貸切じゃん♪)なんて思いながらヤケッパチで走る。

ごまさんスカイタワーに近づくにつれて、今度は霧が出てきた。
頂上は完全な濃霧になっていた。
天気が良ければ四国まで見える、何て事をどっかで聞いたか読んだかしたが、これでは目の前も見えねぇ・・・

運良く前方に車が走っていたので、それに付いて走る。
下って標高も低くなると霧も無くなり、快適とは行かないまでもナンとか走れるようになった。

そうこうして走っていたら、何時の間にやらお寺の団地みたいなところへ出た。
マップルを確認すると「高野山」だったのね。
ふ~ん、竜神ラインを抜けると高野山に出るのねと、行ってみて初めて解った。

走りながら(ホ~、ヘ~!)と、感心して(僕のような人間には場違いな所だな)と、思った。

後は適当に走って(この雨と風じゃキャンプは無理だな)と、結論をだして、それならば明日は帰路に着かなければならないので、行ける所まで走ろうと決めた。

奈良県を抜けて三重県に入りR-23に、ナンとかたどり着いた。
暫らく走って限界にきたのが「鈴鹿」だった。
鈴鹿駅前のビジネスホテルに、たどり着いたのが午後10時。
チェックインを済まして、部屋で熱い風呂に浸かり腹が減ったのと喉が渇いたので、飲みに行くことにした。

ホテルをでて駅のほうに行くと、居酒屋が有ったのでそこに入る。
生ビールと焼き鳥を注文して、生が終わったら三重の地酒「ルミコの酒」だったかな?を飲んで、閉めにお茶漬けを食して部屋に帰ってベットで横になりがら、2チャンネルでも堪能しようかなと、考えてたら何時の間にか爆睡しちゃった・・・

5月5日

ビジネスホテルのべットは、テントの中で寝るシェラフと違って、マットは柔らかく掛け布団はフカフカで心地良い睡眠を貪った。

きっとそれ以上に前日の、走り疲れもあったのだと思う。

午前7時に目を覚ましてホテルのカーテンを開けて、空を見上げれば曇り空で、テレビの天気予報を見ながらタバコを吸っていると、きょうは全国的に曇りらしい。

僕は(折角、名古屋に来たんだから、まちゃくんに電話してみよう)と、入れたが出やしねぇ・・・
此間の高遠ミィーの仕返しか?
あの時彼は早朝に現着して、誰も相手にしなかったから、その矛先を僕に向けたなとおもった、たぶん僕がきょう当たりは名古屋近郊を徘徊してると感ずいて、電話に出ないんだろうと・・・

顔を洗い着替えてチェックアウトを済ませて、荷物をバディに積み込んでR-23を走り出す。

名古屋市内を抜けて、有料道路の猿投グリーンロードを走る。
トイレ休憩をしようと、途中にあるPAに滑り込むとBMWのライダーが話しかけてきた。
ナンバーを見たら三重から来てるようだ。僕はこれから下道で長野まで行き、それから中央道で東京まで帰る。連休中は紀伊半島を回ってきて、雨の竜神ラインには泣かされた等と話をしたら、彼は(竜神ラインに行った事が無い)と、僕は(へぇー、地元なのに行ってないんですか!)と、続けて(いい所だから、走ったほうがイイですよと)と、BMWの彼とで大笑いし、何時までも話も尽きないがそれでは、お気をつけてと別れて走り出した。

走り出したら(アッ!話しに夢中になってて、トイレに行くの忘れてた・・・)と、気がつく。

終点の「力石」からR-153「飯田街道」に出て、一路長野を目指す。
途中で香嵐渓という景勝地を抜けたところで、まちゃくんから電話がかかってきた(ベルクさんから電話きたの寝てたから、解らんかった~)と、僕は折角名古屋まできたんだからまちゃくんに電話したんだ、今ココを走ってると伝えたら(まちゃは風邪ひいてダメでシュ・・・それからその道は荒れてるから気い付けて走ってなぁ~)と、ありがたいお言葉頂いて電話を切る。

暫らく走って道の駅「いなぶ」で、休憩に入り思い出したようにトイレに行く、パーキングにはバイクの花が咲き、中京のライダーが此処の峠に走りに来てるようだ。
缶のブラックコーヒーなんぞでも飲もうかと、自販機にお金を入れたら(マイドおおきに!)と、出てきたコーヒーを取ろうとしたら(つり銭忘れんといてなぁ~)と、自販機に関西弁でツッコまれた。

ポツラポツラと雨が降ってきたので、レインウェアを着込んでたら、おッちゃんが急に(イッタんか?)と、僕は(はっ?)おっちゃん(イってきたんか?)と・・・
僕は別に朝から妖しいところに行くはずもなく、何時も潔癖が赤いジャケットを着てバイクで走ってると、自負している。
僕は(此れから東京に帰るんですよ!)と、返事したら(なんや帰るんか、走ってきたんじゃないのんか)と。
勝手に僕が勘違いしてみたいね。

走り出すと雨はたいして降ってないが、「三州街道」に入ったら気温が低くてサブイ。R-256にでたころには雨はあがっていた。
妻籠宿を抜けてR-19に出て、やっと走りなれた道に出て一安心して時計を見ると丁度正午をさしていた。
この国道は別名「蕎麦街道」が歌い文句で、街道のアチラコチラの手打ち蕎麦の店がある。
それでわ美味しい蕎麦でも頂くかなと、爆走して寝覚床にある蕎麦屋に入り「タラの芽の天ぷら蕎麦」を食す。
ココの店は木曽川沿いにあって、テラスからは眺めが最高で寝覚床が目の前で眺望できる。

美味しい蕎麦と美しい景色でお腹も心も満腹になって、走り出して今度は奈良井宿に立ち寄る。
僕はこのR-19「中山道」は今回で、3度目の走行だが今度こそ奈良井宿寄って見たいと考えていた。

権兵衛橋から奈良井川渡ると・・・

奈良井宿
其処はまるで江戸時代に、タイムスリップしたかのような町並みで、当時なら木曽馬が歩いていたのだろうが、僕は現代の鉄馬で人が歩くような速度走って、この美しい宿場町を堪能する。
奈良井駅まで走っていきUターンして、来た道を戻ると昔で言うなら「ちゃみせ」今で言うなら「きっさてん」に入る。

店の中は当時のまま保存されていて、新しいのはカウンターと其処にあるコーヒーを点てるサイホンぐらいだろうか、シゲシゲと店内を物珍しく眺めていると(いらっしゃいませ)と、女性の声。
見ると着物を着た美しい女性だ。

テーブル席の止まり木に落ち着くと、着物の美しい女性がメニューとお冷を運んできた。
どうやら女性は店主らしい。僕はブレンドコーヒーを注文して、窓から町並みをボゥーっと見ていたら出来上がったコーヒーをテーブルに乗せながら(きょうはバイクでは寒いでしょう)と、話しかけてくれた。
僕は(ええ、なんだか奈良井宿に入ったら、急に冷え込んできましたね)
女性店主(そうなんですよ、中山道の宿場でも此処は谷間ありますから、1番冷えるんですよ)等と話しに花が咲き、30分ほどしたら、向かいにある土産物屋のジィーさんが店にやってきて(でっかいバイクだなー此れがナナハンか?)と、僕は(いえ1300ですよ)と答えたら(ふーん、センサンビャクかぁ)と、どうもむかしの御方だから、未だに750ccが国産の最大排気量だと思い込んでるようで、他の男性客が(ナナハンの倍の大きさですよ)等と説明して差し上げたら、ものスゲェー驚いていた。

今度はジィーさんも交えて話が始まり、此れから東京に帰るとか、このバイクはスピードはなんキロ出るんだとか、去年権兵衛街道を走って泣かされたとか、いろんな話しをしてサテ帰ろうかと席を立とうとしたら・・・
うら若き又もや美しい女性が入ってきた。
(ただいまぁー表のバイク、カッコいいねぇ~♪)と、
女性店主(アチラのお客さんのよ、○○ちゃんもきょう東京へ帰るんだから、一緒に乗せていってもらえば?)と、
僕は半分宙に浮いたケツを椅子に戻す。
話しに聞くと女性店主のお子さんで、東京に就職に出ていて連休を利用して、里帰りされて僕と一緒できょう東京に戻るらしい。

そんな訳でコーヒー一杯で、2時間も居座ってしまった。
僕は店内に飾ってあった、携帯のストラップが目に留まったので、手にとって見ると(私の手作りなんですよ♪)と女性店主。着物の布で紐を作り根付が付いてある。
とても気に入ったので買うことにした。
僕は余り旅先で土産とかは買わないが、今回は人の真心に触れたような気がした。
たぶん此処の記念に残るような品物が欲しくなったのだと、感じたんだろう。

余りにも長居しすぎて、此処でもう一泊したくなった衝動を抑え、会計を済まして店を出ると親子で店を出て送ってくださった。
先ほどのジィーさんにバイクの説明をした男性客まで・・・
と、思ったらお嬢さんが男性客に(お父さん、私もバイクに乗りたいなぁ)
エッ!
お父さんだったの!!

走り出してバックミラーを見ると、親子三人で手を振ってくれてる。そして前の土産物屋ジィーさんまで・・・

娘さん俺は旅人、ホレちゃぁイケやせんゼィ~~~!
と、「シェ―ン」のように振り返らず走っていく・・・

なんぞと自惚れしてたら、店にタバコとライター忘れたのを思い出して取りに帰る。

奈良井宿にて

後はR-19に戻り中央道「塩尻」から、帰宅した。

4泊3日の紀州へのソロ・ツーリング
総走行距離 約1700キロ
1700キロ分の想い出が、僕の心に残りました。



イヤン♪
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