みんなキャーキャー言ってんのに
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2006/04/18
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カテゴリ: 小話
 「彼女は決して美人ではなかった。」

 学生時代に僕が好きだった小説に、そんな一節がある。

 そういえば自分がいままで付き合ってきた女性達が僕自身にとってはひどく魅力的に思えても、周囲にそういう評判を得てきたことは少なかったようだ。

 周囲の評判を頼りに彼女を選ぶ程、自分の感覚を信じられないわけではなかった僕だけれど、ではそんな他人の評価がまったく気にならなかったのか、と言われれば、笑ってごまかしてばかりいた覚えがある。

                         ☆

 誰もがその人生の途上においていくらかの人と出会い、惹かれあう瞬間を過ごしてきている。そんな急激に変化して行くそれぞれの道の途中で、様々な事柄に心を這わせ、見知らぬ他人を知り、未だ出会った事のない自身を模索する。

                         ☆

 自分を知ることの苦手な人が、他人を知ることを苦手とする、とは言えないし、その逆もやはり「イコール」ではないだろう。そして僕は犬の気持ちを知ることは得意だが、人を知ることに対してもそれを応用出来る、とは限らない。

 確かなものは、通り過ぎてきた女性達の睫毛や鼻、唇の形、体の温度などよりも、横のソファの上で寝そべっている小さな犬のそれの方が、現在の僕にとって、より鮮明で身近に体感できる。現実とは、つまりそういうことだ。

                         ☆

 たった今この瞬間を、絵画や写真のようにして残しておくことは可能だ。そして人の想いは劣化して、風化してゆく。跡に残るのは、「過去の事実」という滑らかな砂粒だけだ。

 僕はこの先もずっと、宝石のような時の砂を手のひらに握り締め生きてゆくのだろう。

 新しい何かを求めながらも。

                         ☆

  人の数だけ人生がある、というのは一般論であり、そして一面の真実でもある。そして僕達は並列で進んでいて、隣に眼を向ければ無数の人達が歩く姿を見つけることが出来る。

 僅かに交差した数々の人生。

 やがて離れ、それぞれの坂の向こう側へ誰もが消えてゆき、僕はそっと手を振り、自分の道を進んでゆく。  






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Last updated  2012/04/07 04:19:32 AM
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スプリング  
ai2w さん
ツリーかも(笑)

今落ちていく砂粒を見ている自分が「確か」なのか「不確か」なのか、考えているうちにも砂粒はどんどん落ちていきます。
過去にさえ、自分の気付かなかったことが隠されていて、それに気付くことがあるかどうかもわからない。
不確かな自分の軌跡を、少しずつ長くすることになるだろうということだけが、漠然としているけれど、確かなことかもしれませんね。 (2006/04/19 02:26:17 PM)

潮 吹 きジェットw  
王様 さん

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