MOBILE SUIT UC(宇宙世紀).0078年1月から06Aタイプの量産が始まったが、並行して各種のバリエーションも開発されていた。Aタイプの量産は比較的早い時期に終了し、生産の中心はC型を経て、より実践的なF型へ移行していった。「赤い彗星のシャア」が駆ったことで一年戦争初期の傑作機として知られるMS-06Sは、基本的にはMS-06ザク2のバリエーションとして認識されている。操作性を重視したF型に比べ、大幅な機動性向上が図られている反面、かなり扱いにくい機体となっている。外観上は、F型とほとんど変わらないように見受けられるが、内装される各種部品は特殊なものも数多く、一年戦争中~後期に活躍した高機動型のR型の機体に移行する寸前の機体であるということもできる。06Sの生産は、0078年1月の06Aの量産開始から少し遅れて始められた。当時の公国の事情としては、大規模な戦略を展開するにあたって、一機でも多くのザクを必要としていたからだ。だからといって高性能機の開発が頓挫していたわけではない。機能向上を求める声はベテランパイロットを中心に広がっていたし、技術陣も高性能機の開発を提言していた。首脳陣もまた、その必要性を感じていたのである。0075年5月以降、05系の生産がA型からB型に移行したのも、パイロットの技能を最大限に活かす性能向上を実現するためであったし、MSの戦略的な価値を高めるためにも更なる高性能化は必須だったのである。