2004年09月02日
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【真夏の邂逅】第67日目


 9/2

 夜中に人が来る。垂水市内で「写るんです」を買う。コンビニでラーメン、
菓子を買いレジでお金を払っていると猛然と雨が降り始める。JR九州のバス
の待合室に駆け込む。ここでラーメンを食べ、雨勢が弱まるのを待って出発。
小雨の中を進む。105円拾う。何度か集中豪雨に会う。大根占まで必死に歩
く。寺にでも泊めてもらおうとしていたら突然車が止まる。そのお宅に行く。






 そして8:00ごろになると小雨がぱらつきはじめた。
 それからすぐに垂水市の繁華街を通りかかったが、
 ここでカメラを買うことにした。

 吹春の小僧どもに写真を取られたせいもあり、
 ついに「写るんです」のフィルムがなくなってしまった。
 旅の終わりの瞬間の写真はぜひ残しておきたいところであるので、
 もう旅の行程も残り少なくなったがカメラを買うことにしたのである。

 店に入り、一番安いやつをレジにもっていった。
 そして店のおやじさんと話をしたのであるが、
 このおやじさん最後にとんでもないことを言った。

 「台風が来てるよ」


 そりゃないぜ。
 ここまで来て…。

 たしかに錦江湾に出てからというもの空気が妙に生ぬるい。
 しかしこの日の昼からはそんな悠長なものではなく、
 激しい雨に何度も見舞われるようになった。



 パンをぱくついていたが、
 もう一枚、食うべきか、食わざるべきか迷っていたのである。
 しかし、結局もう一枚食うことにして、ジャムを塗っていた、
 まさにその時である。

 右手のほうで何か叩きつけるよう激しい音が聞こえた。
 見ると50mほどむこうで雨が滝のように降っている。


  -こりゃ、いかん。-


 僕はあわてて広げた荷物をたたんで
 撤収の準備にかかったが、もう遅い。
 3秒後にはもう僕の頭上にも雨が降りそそいでいた。

 こんな調子で夕立のような激しい雨が突然、何度もやって来る。

 やがて鹿屋市内に入ると、
 役所の広報車が緊迫感を煽るように台風の襲来を告げ回っていた。
 それによると今回の台風はどうやら「めちゃめちゃデカイ」らしい。


 まったくなんてことだ。
 今まで、ここまで何とか台風はやり過ごしてやって来たのだ。
 佐多岬まであと明日一日の距離のところまで来ているのだ。
 もう何日かくらい遅くやって来たってよさそうなものである。

 しかし、考えてみれば北海道の最終日には地震には遭うし、
 この旅もなかなか簡単には終わらせてくれない。


 さて、ここらに来ると、だいぶ風景も南国っぽくなってきていて、
 椰子のような木が海沿いの道路には植えられている。
 そして、その椰子の向こうの海はただ暗く、無気味にも波はない。

 ただ波紋が幾筋もたっているのが見える。
 その波紋はみな沖に向かってなだらかに弧を描きながら走っている。
 僕には台風がすべてを飲み込もうとして、引き寄せているように思えた。
 今夜はどこか泊まる場所を探そう。

 そうだ、寺にでも泊めてもらおう。
 僕はちょうど電話ボックスを見つけたことであるし、
 タウンページで寺の所在地などを調べることにした。
 そこでボックスに入って、
 この大根占という町の寺の欄を見つけたちょうどその時である。

 「今日は台風が来とるよ。」

 車が止まり中からおじさんが話しかけてきた。

 「ええ、そうみたいですね。」

 僕がそう答えるとこの人はにっこりと笑った。

 「うちに泊まってゆきなさいよ。まあうちも崖の途中に建っとるから
  危ないのは同じかも知れないけど。」

 僕は一も二もない。
 そうさせていただくことにした。
 幸いそのお宅は今来た道を少し戻ったところにあるらしいので、
 そこまで車に乗せてもらった。

 「もう二十年も前だけども、私も学生の時にね、
  自転車で旅をしたことがあって、その時にやっぱり台風が来たんだけども、
  知らなくて、それでも親切な人がいて教えてくれてね。
  おかげで助かったんだけど、その時のことがあったもんで、
  あなたも知らないかもしれないと思ったもんだから。」

 家へ向かう途中でおじさんはそう言った。
 この人の名前は徳永さんというのだった。


 その徳永さんの家に着くと、
 まずじいさんが出てきて、なんだか、がやがや言っている。
 知らない怪しいやつが来たと思って警戒しているらしい。
 すると、千葉に行っとった×××が帰ってきたんだ、と徳永さんが言った。 
 それを聞くとじいさんは納得してしまったらしく、
 急におとなしくなり家の奥へと引っ込んでいった。

 「ちょっとボケがきとるもんで。孫が帰ってきたと言ったんだ。」

 徳永さんは僕に言った。
 そうか、まあ納得してくれたんならいいか。 

 さて、この徳永家は大家族であった。
 離れのほうにはさっきのじいさんとおばあさんがいるということだった。
 それから母屋には徳永さんの奥さんに息子さんがふたり、
 娘さんがひとり、そして徳永さんの弟さんという家族構成である。


 風呂に入れてもらったあと、母屋のほうで夕食をいただいた。
 それから焼酎をお湯割りで飲ませてもらう。

 そしてテレビで流れる台風情報を見ていたのだが、
 これはどうやら大変なことになりそうな気配であった。
 その番組では今、接近中の台風を戦後最大級という言葉で形容していた。
 そして実際、夜中過ぎには激しい風が屋根を叩きつけはじめた。

 僕はローソクを手渡された。
 このあたりは台風が来るとすぐに停電になるからということであった。
 さすが台風銀座のようなところに住んでいる人々である。
 このへんは慣れている。

 ところがその慣れているはずの徳永さんですら、
 風に揺れる家屋を見上げながら、
 今回のような台風は初めてだといった。

 屋根を叩きつける風はますます激しくなってきている。
 ただでさえ鹿児島県地方は数週間来、
 降り続く雨のせいで地盤がゆるみきっている。
 そこへもってきて今回の台風である。
 崖崩れが県内のあちらこちらで起こっているようである。

 そしてそれはいつもテレビのニュースで見ているときとはちがい
 他人事ではない話であった。


 徳永さんは信用組合の職員なのだそうで、
 ハマチの養殖場が台風で被害にあわないかどうかを心配していた。
 融資先なのだろう。

 それから弟さんはNTTの社員なのでこの日は大忙しであった。
 どこかで電話線が切れたといえば出かけていって、
 やがてずぶ濡れで帰ってくる。


 僕は用意してもらった寝床で明日のことを思った。
 もう目と鼻の先にある佐多岬は、
 少しばかり気まぐれで小悪魔的な女性のようなものである。

 僕をじらし、拒み、焦らせる。
 僕は今はただ、じっとしているしかないようである。 





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最終更新日  2004年09月02日 20時57分24秒
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