2011年08月16日
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入力をオックスフォード大学が行っている関係で、

「源氏物語」についての照会がよくあります。

つい最近、イギリス文学における夢と源氏物語の夢についての

比較研究をする目的での照会がありました。

「源氏物語」の中には夢の話がよく出てきます。

内大臣(昔の[頭とうの]中将)の姫君・雲井雁(くもいのかり)と

源氏の君の子である夕霧の幼い恋は、内大臣が養育先の母・大宮の

元から自分の邸へと連れ帰ることで一旦は終息します。

 源氏の君の子である夕霧との交際を、なぜ内大臣は認めなかったのでしょう。

「源氏物語」「少女(おとめ)」の巻にその理由が記されています。

下の原文の写真6行4字目から7行3字目まで。

「わくらはに、人にもまさることもやとこそ思ひつれ」


雲井雁を帝の后に夢みるない大臣乙女18a


原文の現代語解読文は次の通りです。

「もしかして、この雲居雁(くもいのり)を帝の元に后(きさき)

として入内(じゅだい)させることができたかもしれないと思っていたのに」


雲井雁を帝の后内大臣乙女18a拡大

 源氏の君の親友であった頭(とうの)中将は、内大臣に昇進後、

自分の娘を帝の后(きさき)に、との夢を抱いていたのです。

 以前、「夕霧と雲居雁の淡い恋」が、内大臣の父の意向によって

裂かれた箇所の原文の画像を公開しました。

 以前、海外在住の「areaさん」と「Administrationさん」から

「源氏の君と葵の上の息子である夕霧との結婚は、娘をもつ親なら

誰しもが望むはずなのに雲居雁の父はなぜそれを裂いたのでしょうか?」

という趣旨のメールが寄せられました。理由は、原文の中に記されている通り、

「娘を帝の后(きさき)」というもっと大きな夢と野望があったからです。

 原文は、「もっと良い人に」とも訳せますが、

古来、この箇所の原文には次のような読み方が定着しています。

「もし、まれにも雲井の后(きさき)にもやと思ひ給(たま)ひし也」(湖月抄)

(「湖月抄」は、江戸時代の「源氏物語」の注釈書です。)

余談ですが、慶安3年「源氏物語」の絵が、1点7,000,000円で

アメリカで落札されました。絵は、原本を元に描かれておりますが、

その絵の元になるのが原文です。その原文も絵の価格上昇と共に

上がっております。いずれ、海外での評価が日本にもやってくるような

気がします。そういえば、棟方志功さんが日本では評価されず、イタリアの

国際版画展で入賞してから日本で見直されました。

地元の美術展で出品した際に落選してことは今ではあまりにも有名です。

棟方さんの作品を審査して落選させた「審査員」よりも

落選させられた棟方さんの作品の方が今でははるかに高く

評価されております。ふと、そんなことを思い出しました。








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最終更新日  2013年03月03日 05時42分55秒
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