08. 設計思想

2010-08-BandonDunes-Others-02

夕暮れのこのホールの光景が一番印象に残っている



リンクスの特徴と言えば、海に面し、砂地に風や波が作った
砂山(Dune)があり、そこに草が根付き、洋服をも突き破って
ゴルファーを痛めつけるゴースが茂り、ポットバンカーあり、
アンジュレーションが激しく、風が強く、ボールを転がす
技術を要求される

そんなところだろうか




リンクスを構成するのはなんと言っても素材、つまりその
土地が一番大切な要素だが、他にも重要な要素があることを
バンドンデューンズの本を読んで学んだが、それは芝だという


リンクスコースの"ゴルフの作法"として、風を避けるため
大きなクラブで低い球を打ち球を転がすことが有効だと
いわれる。 葉が細く丸いフェスキューがボールの転がりを
助けるのだそうだ




2010-08-BandonDnues-101


ゴース(ハリエニシダ)がないとリンクスらしくないが、
これにつかまるのはやっぱり御免だ






さてバンドンにある4つのコースのうちバンドンデューンズこそ
フロント・バック共にパー36でトータルパー72という標準
的な構成だが、パシフィックデューンズとバンドントレイルズは
それぞれ36+35のパー71の構成だ


パシフィックデューンズのフロント9はパー3とパー5が
1つずつで後は全てパー4、その一方でバック9ではパー5が
3つ、パー3が4つでパー4が2つしかない構成になっている




オールドマクドナルドに至ってはパー71ながら34+37
という構成で対称形を考えたレイアウトにはなっていない



チャンピオンコースと言って無理に7000ヤードを超えて
パー72にするのではなく、土地に眠っている可能性を
設計家が引き出し、土を大きく動かすことなくデザインする
本来のゴルフの姿に近いものだと思う





4つのコースで最も人気があり、設計家からも評価の高い
パシフィックデューンズでは、あまり好まれることのない
パー3が続くレイアウトがあるのが面白い


日本、いや世界の多くのゴルフ場ではここぞとばかりに
ブルドーザーで土を動かして2+2+5の9ホールを
作ることだろう




こんな所からもバンドンのオーナーであるカイザー氏と
彼とビジョンを共にする設計家たちのニマリズムが
見て取れる。 つまり、この土地をできるだけ素材の
ままゴルフコースに仕立て上げるという事を、、、



Pacific Dunes

Hole Par Black/71.9 Green/69.3 Gold/67.6
1
4 370 304 287
2
4 368 335 335
3
5 499 476 476
4
4 463 449 410
5
3 199 181 163
6
4 316 288 288
7
4 464 436 377
8
4 400 369 349
9
5 406 379 356
36 3485 3217 3041
10
3 206 163 149
11
3 148 131 114
12
5 529 507 476
13
4 444 390 371
14
3 145 128 119
15
5 539 504 492
16
4 338 338 301
17
3 208 189 164
18
5 591 575 548
35 3148 2925 2734
Total
71 6633 6142 5775



2010-08-BandonDunes-Facility-01

次の機会にはぜひこのロッジにとまりコースを赤く染める
夕日を見てみたい





Old Macdonald

Hole Par Black/74.1 Green/71.3 Gold/68.2 NickName
1
4 341 304 275 Double Plateau
2
3 181 162 139 Eden
3
4 375 345 312 Sahara
4
4 504 472 441 Hog's Back
5
3 160 134 121 Short
6
5 555 520 467 Long
7
4 363 345 322 Ocean
8
3 181 170 152 Biarritz
9
4 416 352 343 Cape
34 3076 2804 2572
10
4 465 440 383 Bottle
11
4 445 399 390 Road
12
3 237 205 164 Redan
13
4 346 319 253 Leven
14
4 370 297 254 Maiden
15
5 535 482 424 Westward Ho
16
4 455 433 408 Alps
17
5 546 515 397 Littlestone
18
4 469 426 413 Runchbowl
37 3868 3516 3086
Total
71 6944 6320 5658




欧米では18ホールをスルーでプレーするのが一般的で
多くの場合は9ホールを終えるとスタートホール近くに
戻ってくる構成になっている


しかしバンドンデューンズ以外の3つのコースはひとたび
ティオフすると18番を終えるまでクラブハウスに戻る
ことはない。 このためターンスタンドと呼ばれるトイレや
ちょっとしたスナックや飲み物が購入できる場所を9番と
10番ホールの間に設けているケースが多い





ここオールドマクドナルドでは一番の高台で見晴らしの良い
7番ホールを終えたところにそのターンスタンドがある


共同設計家、オーナー、その他のご意見番の意見が交錯する中
7番グリーン脇にターンスタンドを作り、プレイヤーに
絶景を見せるという事で皆の意見を丸く収めたいわくつきの
レイアウトだ


ターンスタンドすら真ん中の9番終了後ではなく、7番の
後に持って来る発想の柔軟さが素晴らしいではないか






リンクスでは砂山の向こうに広がる超え見えないグリーンに
向かって打つとか、フェアウェイのうねりでフェアウェイの
ど真ん中のショットがバンカーに入り、ラフに行ったと覚悟
したショットがフェアウェイのど真ん中に鎮座することを
フェアでないという人もいるだろう




しかし、そもそもゴルフに公平は存在しないのだと思う


ボールが放たれた瞬間にゴルファーは全ての運命を天に任せる
ことしかできないのだ。 その瞬間に風が吹いたり、ベスト
ショットがディボットに止まったりしても、ゴルファーには
それをコントロールすることなどできないのだ



そんなことを改めて教えてくれたバンドンデューンズという
偉大なコースに感謝し、そしてまだこの地に戻ってきたいと
心から思う




2010-08-BandonDunes-Others-03

4つのコースのヤーデージブックとスコアカード




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