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中国古典の大家、守屋淳氏による現代語訳です。
前訳著「論語と算盤」でも思ったのですが、渋沢栄一という人物は、当時西欧で不評だった日本人の「商売」を正当なものにするための根拠として論語の教えを説いたようです。
さながら、マックス・ウエーバーが金儲けに通じる仕事を隣人愛の実現と説いたように。
本書は講談社学術文庫で7冊もの分量になる渋沢解説を1冊の新書にまとめたもので、そのコストパフォーマンスは(時間と価格の両面から)素晴らしく高いものです。
また、本書を読んで渋沢が今の日本人が忘れてしまったとルースベネディクトにまで指摘された「仁」の重要性を認識していたのには驚かされました。
「仁」には様々な解釈がありますが、ひと言で言ってしまえば「愛」でしょう。
ベネディクトは、当時の日本人は「仁」を捨てて「義理」や「忠義」ばかりを重んじるようになったと指摘していますが、「義理」や「忠義」も廃れてきた今日、「仁」を再認識することの重要性をひしひしと感じます。