歩人のたわごと

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2025/08/27
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カテゴリ: エッセイ
さらば年賀状



 ところが温泉に浸かり、食事時に一杯ひっかけるともうハガキを書こうという気力はない。日課のブログだけは何とか頑張って、それも手抜きでごく簡単に書いたら、睡魔に負けてしまった。というわけで旅先からのハガキは出せずじまい。現地で買った絵葉書を持ち帰り、帰宅後に書いて投函している始末である。
 酒だ、温泉だと言い訳がましいことを書いたが、ホントのところは酒を飲みすぎたわけではない、時間がなかったわけでもない。旅先で絵ハガキを書くくらいのことは、若い時なら苦も無く出来ていたのに、歳をとると情けないことに行動力が鈍ってしまっただけのことなのだ。
 絵葉書を送った相手の何人かから、思いがけず返信が届いた。電話をくれた親戚や友人もいる。それぞれに近況など知らせてくれた。年賀状と違って、文字通り近況報告であり、謹賀新年とか新年おめでとうなどと余計なことを書いてないのがよい。こちらは年賀状を出さなかったお詫びに、近況報告をしたつもりだったので、返信は有難くまたうれしかった。
 八十歳を過ぎたころから年賀状を出すのを面倒に感じ始め、最近の二年は、直接交流のある一部の知人へのEメールの賀状以外は全く書いていない。〈年賀状じまい〉をする旨の断りをすればそれで済むことなのに、それさえもしていない。
 日本では年賀状は新年のあいさつとして定着している。そのために年末になると、〈年賀状を出さねばならない〉という義務感が先に立って、気が重くなるのだ。趣味の写真や版画などを利用して年賀状を出すことが楽しければそれでよい。しかしそのような趣味のないボクのような人間には、出さねばならないという義務感を感じて気分的にうっとうしくなるのである。
 今回の絵葉書体験を通じて思うところがある。親戚や友人・知人との交流は何も年賀状に限らなくてもよい。あの人はどうしているのかと、気になった時でよい。電話もあればラインやメールなどのSNSもある。もちろん葉書や手紙を書いてもよいし、直接会って食事などを共にするのもよいだろう。
 ボクの人生、残された時間はそう多くはない。他人から何と言われようと、自分がしたいことを最優先に毎日を過ごしたいものである。これでもう年賀状で頭を悩ますことはない。さらば年賀状である。




エッセイの作品一点を提出している

今月の提出分がこの作品
翌月に、会員相互にお互いの作品を
合評しあっている





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Last updated  2025/08/27 07:16:30 PM
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漫歩マン@ Re:今週の朝日花壇(11/21) New! 最後の句、「あの子」はどこへ漂着したで…
ひろみちゃん8021 @ Re:今週の朝日花壇(11/21) New! こんばんは(^-^) >ペダルこぐ力士の体重…
神風スズキ @ Re:身近な山野草(11/20) New! Good evening.  有り得ないローラーコー…
ビッグジョン7777 @ Re[1]:身近な山野草(11/20) New! ひろみちゃん8021さんへ 子どもの頃の思…
ビッグジョン7777 @ Re[1]:身近な山野草(11/20) New! ふろう閑人さんへ これからの山歩きでは…

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