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2006年12月21日
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カテゴリ: 戦争映画
2002 ロシア 監督:アレクサンドル・ロゴシュキン  
出演:アンニ=クリスティーナ・ユーソ、ヴィッレ・ハーバサロ、ヴィクトル・ヴィチコフほか 
104分 カラー


 最近はフィンランドを舞台にした映画づいているんですが、今年3月に単館系で日本公開された映画。私は見に行くことが出来なかったので、今回レンタルしてみました。先日レビューした 「ウィンター・ウォー」 にしろ、多分次回レビューの「フロントライン」にしろ、フィンランド系の映画は侮れません。今作はロシア製作ですが、フィンランド製作にしても、どちらかというとソビエト映画の影響が強いような感じで、叙情的でありながら即物的な描写が特徴です。本作も、低予算ながら良い仕事しているなといった印象です。

 1941年から1944年9月までのソビエトとフィンランド間の戦争(第2次ソ・フィン戦争、継続戦争)を背景に、フィンランドの最北部ラップランドを舞台にした、一人の女と二人の男のヒューマンドラマ。ラップランド現住のサーミ人の女のもとにソビエト兵とフィンランド兵の男が流れ込んでくることから始まるこの作品は、三者ともに言語が通じないことから発生する誤解から、随所に笑いあり、お色気、友情、そしてシリアスな戦争観までをも含んだ内容となっている。

 そもそも、ソ・フィン戦争は1939年にソビエトがフィンランドに侵略を開始した第一次ソ・フィン戦争に端を発したもので、一時は大半の土地を占領されたフィンランドが、ドイツと密約を結んで反撃に出たものである。結局1944年の9月にソビエトとフィンランドは休戦協定を結ぶのだが、その後ラップランドを舞台にドイツとフィンランドの戦争が勃発することとなる。本作はちょうどソビエトとフィンランドが休戦協定を結ぶ頃を描いている。
 ソビエト映画にしてはコンパクトにまとまった、内容の濃い映画であった。もちろん、無声無音時間の多さや、ラップランドの自然を利用した芸術的映像カットの多用など、ソビエト映画らしさも健在なのだが、きちんとした登場人物の性格付け、ストレートなセリフなどが分かり易い。言葉の通じない三者の関わり方の演出やコミカルな演技は見事だし、戦争に対して登場人物達が訴える価値観は最後までしっかりと生きているので、映画の主題がぶれることなく最後まで引き込まれた。

 映像的には登場人物も少なく、兵器や火薬等の使用量はかなり少ないので、いわゆる低予算映画の部類に入るだろうが、逆にそれが簡潔な映像と絞られた主題ということで良かったのかもしれない。欲を言えば、もう少し時代背景に関わる戦史を描いて欲しかったところ。二人の男が置かれた兵士としての立場の描写が少し甘いので、エンディングに向けての精神的な盛り上がりがやや欠けたかな。良くできてはいるんだけど、大きな感動にまでは至らない、ちょっとこぶりなイメージ。
 サーミ人女性アンニを演じるアンニ(役名とも一致)はサーミ人、フィンランド軍狙撃兵ヴェイッコ役のヴィッレはフィンランド人、ソビエト兵イヴァン役のヴィクトルはロシア人とそのまま。日本人の私にはあまり区別はつかないが、現地の人から見ればきっとかなりのリアル感があるのだろう。ちょっとスケベなアンニは役柄上美女ではないが、逞しい生活力の中に旺盛な精力を感じる名演技。この旺盛な精力は結末につながる伏線となっている。ソビエト兵役ヴィクトルはいかにもロシア人の風貌と話し方がいい。

 兵器類で登場する数少ないソビエト軍攻撃機は良くわからなかったが、Yak-18のような気がする。メイキングで600馬力の戦闘機が云々と言っていたので、実機のようだ。二機が飛び回っている。また、フィンランド軍やソビエト軍、そしてドイツ軍の軍装はそれなりにしっかりと考証されていたようだ。ウール地のフィンランド軍、ドイツ軍の軍服が良い感じ。撮影はロシア ムルマンスク州のコラ半島。ロシア領だが実際にサーミ人が住むラップランドの一部。
 このほか、サーミ人の家屋や魚取りの罠なども独特の形で民族学的な視点からもなかなか興味深い。魚料理など湖の多いフィンランドならではの生活様式も良く描かれている。また、死線をさまようシーンでは日本と同じ賽の河原が登場する。賽の河原によくある石積みや、迎えの人、帰ってこいの呼びかけなど、まるで丹波哲郎の世界そのもの。ロシアも日本も死後の世界は共通なのだと驚いた。

 全体にまったりとして、見やすい映画の部類。特に背景となる戦史を良く知らなくても、三人の男女がもたらす三角関係だけでも楽しいし、戦史を知っていればなおさら戦争のもたらす災禍を身に染みて感じる事が出来るだろう。特に、サーミ人女性が何故男を求めるのかがキーとなる。ちなみに、ククーシュカとはソビエト軍がフィンランド軍狙撃兵を呼んだ名前で、カッコウの意味である。


興奮度★★★
 沈痛度★★
 爽快度★★★★
 感涙度★★





 フィンランドの最北部ラップランドで、フィンランド軍狙撃兵ヴェイッコが同じフィンランド兵からドイツ軍SS親衛隊の軍服を着せられ、足を鎖で縛られたまま放置される。実は、ヴェイッコは反体制の罪による死刑囚であり、ドイツ人を極度に嫌うソビエト兵の攻撃対象となるようにドイツ兵の格好をさせられたのだ。ヴェイッコはなんとか脱出しようと、岩に打ち込まれた鉄杭を抜こうと焼いては水をかけの繰り返しを続ける。
 そのヴェイッコの近くを一台のソビエト軍車両が通過する。反体制日記を書いたとして軍法会議に送られる途中のソビエト兵イヴァン大尉だった。しかし、実際は護送中の秘密警察中尉の陰謀だった。その車両をソビエト軍攻撃機が誤射し、護送中の大尉と中尉が戦死し、イヴァンも負傷を負って意識を失う。
 そこにラップランドのミーサ人女性のアンニが通りかかる。アンニは夫を兵役に取られ、一人で暮らしていた。ソビエト兵の死体を埋葬するうちに負傷していたイヴァンを発見し、自宅で手厚く看病する。
 ヴェイッコはやっとのことで鉄杭を抜き取る事に成功。しかし、足かせがついたままのためアンニのもとを訪れる。そこで、ソビエト兵のイヴァンに遭遇するがヴェイッコは戦う意志がないことを伝える。しかし、ソビエト人イヴァン、フィンランド人ヴェイッコ、ミーサ人アンニの三人共に言葉が全く通じなかった。イヴァンは名前をクソクラと勘違いされ、ドイツ兵の格好のヴェイッコをドイツ兵と勘違いし、隙あらば殺害しようと目論んでいる。ヴェイッコは世話になったお礼に、サウナを作るなどアンニの手助けをするが、アンニは4年も男と交わっていないため、ヴェイッコに熱をあげて体を求める。「私に触らないで。濡れてきちゃうから」
 アンニがヴェイッコと出来たことに嫉妬したイヴァンは、出ていく事を決意するが結局戻ってくる。徐々にイヴァンとヴェイッコの間に友情と信頼が芽生えてくる。そこにソビエト軍の複葉機が墜落する。様子を見に行ったところ、ソビエト軍女性パイロットが2名死亡していた。そして機体のまわりにはフィンランドが休戦したとのビラが散乱していた。もう戦わなくていいのだとイヴァンに伝えようとしたヴェイッコだったが、殴られると勘違いしたイヴァンに撃たれて瀕死となる。
 間違いを悟ったイヴァンはアンニのもとにヴェイッコを連れて帰るが、ヴェイッコは死線をさまよう。アンニは祖母に教わった太鼓と犬の遠吠えで死後の世界に向かおうとするヴェイッコを呼び戻す。
 傷の癒えたヴェイッコとイヴァンは雪の中、アンニのもとを去る。去りがたい二人の男をよそに冷静に見送るアンニ。
 後日、アンニは二人の男の子に囲まれていた。名前をクソクラ(イヴァン)とヴェイッコと言った。女手一つで生き抜くために二人の男を求めたのだった。


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最終更新日  2006年12月21日 07時40分30秒
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