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2006年12月25日
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カテゴリ: 戦争映画
2005 ベトナム  監督:ドアン・ミン・トゥアン
出演者:クォク・トゥアン、ルー・ハー、トゥアン・トゥーほか
86分 カラー 


 ベトナム側が描いたベトナム戦争映画。発売元の彩プロのキャッチコピーは「アメリカが決して語らないベトナムの真実」。まさにそのとおりだと思うが(苦笑)、タイトルの「ベトナム激戦史1967 攻防ケサン基地」とは似ても似つかない内容。私が命名するなら「北ベトナムの配達兵」(笑)。彩プロさんには毎度キャッチコピーやタイトルに騙されるが今回もまた同様。激しいベトナム戦を北ベトナム軍視点でというミリヲタ的期待を抱くと大いにガッカリだが、本作は庶民的北ベトナム兵士の見た戦争の恐怖と勇気というヒューマンドラマと言った方が良い。
 舞台は確かに1967年12月から翌年の3月まで77日間戦争と言われるケサン基地攻防戦となっている。ケサン基地はDMZ(停戦ライン)から南に 25km、ラオス国境から東に10kmの地点にある山岳地帯で、いわゆる北から南に向かう北ベトナム軍補給路(ホーチミンルート)に接するアメリカ軍(南ベトナム軍)の重要拠点であった。ここを死守したい米軍と、目の上のたんこぶを除去したい北ベトナム正規軍が初めてまともに衝突した戦いがこのケサン基地攻防戦である。米軍側は第9,26海兵連隊と南ベトナム軍第37レンジャー大隊の計6,200名の守備兵に対し、北ベトナム正規軍は第304、325師団の約20,600名が包囲して攻勢をかける不均衡な戦いでありながら、米軍側は付近のキャンプからの長距離重砲支援とダナン基地からの空軍支援を持って対抗した。まさに、近代兵器対人海戦術という戦いであり、米軍は約1,500名、北ベトナム軍は約8,000名の死者を出したと言われ、最終的には米軍側がなんとか死守する(この後すぐに放棄することになるのだが)。
 このケサン基地周辺の丘陵や高地には複数の前進陣地が設けられており、そのうちの一つに861高地がある。この861高地攻防戦が本作のメイン舞台となっているのだが、本来861高地は米海兵隊が北ベトナム軍に包囲されて死守していた拠点だと思うのだが、映画では逆に北ベトナム軍が米軍に包囲されて死守する拠点となっている。

 北ベトナム軍は正規兵で、師団名は出てこないがA3、A6、D7、X6などの部隊名が出てくる。雰囲気的には中隊か大隊単位を表しているようだが、主人公はA6部隊所属のベテラン兵タンと新兵(2等兵)アンの配達兵(伝令兵)である。861高地で包囲され壊滅寸前の部隊に機密指令を届けに行く役割で、数十kmの距離の森林や地雷原を横切っていく過程を描いている。その間に地雷の恐怖や米軍偵察隊との交戦、捕虜になってからの脱走などアクションシーンが描かれる。しかし、やはり本作の主題はベテラン兵タンの身の上話やアンの恋人の話などを織り込みながら、「手紙」の配達を介在とした郷里や肉親への郷愁なのである。傲慢で無知な新兵アンの成長やベテラン兵タンの勇気と活躍という設定もあるが、10年間も戦線に駆り出されているベトナム兵士の絶望感や哀愁を描きたかったのだと言える。
 しかし、映画自体の完成度はかなり低いと言わざるを得ない。戦闘アクション部分もヒューマンドラマ部分も脚本、映像、編集、役者の演技力ともに低レベル。ベトナム映画はまだまだ成熟していないという印象は強い。映画中には多分にアメリカ製ベトナム戦争映画の影響を感じ、パクッて来たようなシーンのブツ切りは興ざめだし、ヒューマンドラマ部分の流れは背景や登場人物の解説不足やカット編集の悪さ(間の取り方)で心に伝わるものが少ない。加えて、役者の演技力不足が目立ち、感動シーンのベタな設定にもまいったが、学芸会レベルの演技には脱力ものだった。主人公のアンはえらく肥えた北ベトナム兵だし。 
 戦闘アクションシーンは規模が小さくB級以下。861高地のシーンもほぼ2方向のカットしか存在せず、森林での戦闘も相当しょぼい。北ベトナム軍兵士の動きはともかく、米軍側の演技はかなり変。森林戦に登場する米軍は、一応設定はパトロール小隊ということのようで、指揮官のアメリカ兵(陸軍第25歩兵師団パッチ)以外は南ベトナム軍兵(パッチがついているが所属師団不明)のようだ。射撃も行軍もお祈り風景も変。さらに、途中で登場するスーパーソルジャー風の裸の現地民は毒ボーガンで大活躍してしまうし、新兵アンが突然宙返りやカンフー使いに変身するのも・・・。
 音楽もちょっと違和感を感じる。緊迫したシーンに間の抜けた音楽だったり、アンがカンフーアクションを披露するシーンではヒーローミュージックのようなものが流れたりと、かなりいただけない。
 ただ、軍装や兵器類にはかなりのこだわりを感じる。米軍小隊は南ベトナム軍カモ迷彩に20発弾倉のM16を持っている。対する北ベトナム軍はAK47。さらに、861高地を攻める米軍は陸軍第1歩兵師団のパッチ。第1も第25師団もケサン攻防戦にいたのかどうかはわからないが、一応軍装考証には力を入れているようで、そこだけは評価できる。

 全体に北ベトナム軍の伝令という指揮系統を垣間見ることができた点は評価できるが、決してベトナム戦争の真実というレベルではない。史実に忠実と言うほど史実も登場しないし、やたら米軍の空爆、空爆と被害者意識が強調されるのも、既に米軍の無差別爆撃は嫌と言うほど知らされているので今更という感じ。ベトナム側の製作でもっとベトナム軍の汚点や米軍の企図や背景にまで踏み込んだ作品が作れるようになれば面白いとは思うのだが。本作をみて、技術的にも文化(思想)的にもまだまだ障壁は高いのだと感じた。





唯一のアメリカ兵指揮官 毒矢に撃たれちゃったの図

興奮度★★
沈痛度★★★
爽快度★★
感涙度★




1967年北ベトナム。北ベトナム正規軍の本部で、A6部隊所属の新兵ホアン・アン二等兵は煙草の件で見張り兵ともめ事を起こし、懲罰に回される。戦闘経験のないアンは傲慢で無知だった。
 一方、激戦の861高地から手紙配達任務を終えたタンが帰還する。861高地は米軍に3方向を包囲されあと3,4ヶ月しかもたないだろうと噂されていた。さらに、861高地の無線機が壊れ、通信が途絶える。
 北ベトナム軍の指揮官は奇襲大隊を派遣して米軍を包囲する作戦を計画するが、先に861高地の守備隊に機密指令を連絡する必要があり、タンとアンに指令の配達命令が出る。
 二人は森林地帯と地雷原を突破する必要があり、傲慢で無知なアンに対してタンが生き抜く智恵を教えていく。水浴びする女性に惑わされたり、ブービートラップや地雷に引っかかりながらも二人は861高地へ近づいていく。当初は配達兵任務を嫌がっていたアンだったが、途中の救護施設で瀕死の負傷兵が妻や子の手紙に涙するのを見るにつれ、兵への手紙配達任務の重要性に気づいてくる。アン自身が田舎に恋人を残してきており、手紙のやりとりが唯一の慰みだったし、タンにしても北に残された唯一の身内の祖母へ手紙を書いていた。
 タンとアンの二人は森林でパトロール中の米軍小隊と遭遇。アンの不注意から捕虜となってしまう。機密文書が奪われようとしたとき、一人の現地民が毒ボーガンで二人を救う。その現地民は父親をこの米軍小隊に虐殺されていたのだ。しかし、アンは再び米軍に捕らえられてしまう。タンも救出に向かうが、実際救ったのはあの現地民だった。
 いよいよ861高地目前に達するが、すでに全方向を米軍に包囲されていた。タンはアンに「生き延びて彼女に会え」と言い残して前線に飛び込む。しかし、アンもまた撃たれたタンをかついで前線の味方と合流するのだった。翌朝、逆に包囲した味方の奇襲大隊により米軍が撤退する。
 負傷したタンは救護所に、アンは郵便資格を取るために北に戻り、彼女のもとに向かう。しかし、そこには米軍の爆撃で死んだ彼女の遺影があるのだった。


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最終更新日  2006年12月25日 09時41分07秒
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