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2007年05月07日
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カテゴリ: 戦争映画
1981 ソビエト  監督:エフゲニア・ジグレンコ
出演者:ワレンティナ・グルシナ、ヤナ・ドゥルジ、ディーマ・ザムリンほか
76分 カラー 


 第588女子夜間爆撃機連隊(通称ナイトウイッチ[夜の魔女])を主役にした、航空アクションを交えたヒューマンドラマ。女子だけで編成されるという、いかにもソビエト赤軍らしい爆撃部隊なのだが、夜の魔女と呼ばれ、ドイツ軍にもソビエト軍の男子にも一目置かれた部隊は、実際に存在していたようだ。女子だけで構成された連隊には、この第588連隊以外にも第586戦闘機連隊、第587爆撃機連隊がある。第588連隊は1942年に結成され、使用機はポリカルポフPO-2(U-2)練習機で、木製の旧式複葉機を夜間爆撃に用いている。特に、スターリングラード攻防戦では夜間の睡眠妨害で心理作戦的にもドイツ軍を苦しめたと言われる。

 本作は、その第588女子夜間爆撃機連隊の活動や活躍を織り込みながら、実戦に向かう若い女子パイロットらの愛情や苦悩を描いている。映画中に登場する飛行機は実際にポリカルポフPO-2が用いられているし、登場する連隊長らの階級等も結構リアルで、時代考証的にはそこそこしっかりしていると思われる。あとは、描かれている女子パイロット達の生態(爆)やエピソードがどれくらい史実に沿っているかだが、このあたりは全く不明。まあ、それでも秘められたる花園が映像化されたというだけでも十分レアだが。

 映像は、80年代のソビエト映画に特有の劣悪なカラーフィルム。製作後20年もたつとかなり劣化しているのがわかる。それもソビエト映画らしさと割り切ればいいんだが。先にも述べたが、ポリカルポフPO-2の実機が複数機登場し、実際に飛行するシーンもかなり多い。80年代とはいえ、このような旧式機をこれだけ揃えられるのもさすがソビエトだ。空中戦シーンでは単葉機との絡みもあるが、ホンの一瞬。また、爆撃シーンや被弾シーンはミニチュアのワイヤー吊り下げがミエミエ。この辺りは、金をかけていないというしょぼさが露呈してしまっている。
 本作にはソビエト芸術記録映画の系譜の特徴である、長大なロング戦闘シーンや、芸術的自然映像といったものがほとんど組み込まれていない。本編が76分とソビエト映画にしては短いので、海外DVD版になる過程でカットされているのかもしれないが、いずれにしてもソビエト映画にしてはテンポが良く、見ていて小気味良い。各エピソードの配分時間や転換も実にスムーズで、ストーリーもわかりやすい。反面、ハリウッド映画を意識したのだろうか、奥行きに物足りなさを感じるのは残念な点でもある。このあたりは「 北極圏対独海戦1944(1983) 」や「 レニングラード大攻防1941(1985) 」とも類似点が多く、ペレストロイカ前夜の新ソビエト活劇といった位置づけになるかも知れない。

 ソビエト映画らしさが相変わらずなのは、登場人物の説明がほとんどない事。野戦服の肩の階級章と特徴ある顔でなんとか判別できたが、もう少しわかりやすくして欲しいところ。肩の階級章では、連隊長トーニャが少佐。連隊付き政治将校も少佐で比較的歳を取った女性となっている。若く見える主人公の一人である中隊長オクサーナは大尉のようだ。もう一人の主人公ガーリャは最初は中尉で後に上級中尉になっているように見える。この他クルー仲間のカーチャ、ユーリャといった若い娘は曹長、上級軍曹の肩章をつけている。
 ヒューマンドラマ部分としては、そこそこの出来。戦争孤児を巡る母性本能との葛藤や、若い男女の恋愛が描かれており、戦争映画の多くにありがちな、単なるラブロマンスだけでないところが良い。それも比較的さっぱり目に描かれており、ドロドロと陰湿な暗い展開にならないので助かる(笑)。ただし、もちろんソビエト映画なのでハッピーエンドにはならないけどね(爆)。
 演技的には特筆する点はないが、ロシア女の強さというものはヒシヒシと感じることが出来た。逞しく勇敢なパイロットという姿の裏には、強い情欲が生命力としてあるのだと思い知らされる。恐るべしロシア女性。なお、本作では女性の水着(下着)姿は登場するがヌードはない(笑)。



 全体には、悪くはない出来と言った感じ。もう少し、ストーリーに練りがあれば面白かっただろうし、もっと迫力のある航空機アクション映像を撮れていればインパクトも強かっただろうと思う。しかし、本作の中に描かれているエピソードがたとえフィクションだったとしても、このような女性爆撃機部隊が実際に存在していたのだと思って観ると、その思いはまた違ってくる。ストーリーの内容云々に関係なく、ちょっと切なくなってくるのであった。

赤軍野戦服肩章見本作ってみました


PO-2

興奮度★★★
沈痛度★★★★
爽快度★★★
感涙度★★



(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

ソビエト赤軍は、対独戦に対して女性だけの飛行部隊第588女子夜間爆撃機連隊を組織し、スターリングラード攻防戦の爆撃任務を行っていた。連隊長はトーニャ少佐、連隊付政治将校はドゥーシャ少佐、飛行第2中隊長は軍人の夫と生き別れになっていたオクサーナ大尉が指揮をとっていた。部下には1年前に負傷の身でありながら病院から抜け出してきた強者ガーリャ・ポリカルポワ中尉、下士官のカーチャ、ユーリャなどうら若い女性が連なっていた。
 使用する爆撃機はポリカルポフPO-2練習機で、木製複葉の旧式機で爆撃も手で爆弾を落とす有様だったが、夜な夜なの夜間爆撃はドイツ軍の安眠を妨害する上で、十分効果的であった。しかし、ドイツ軍の新型戦闘機には歯が立つはずもなく、被害も甚大だった。1日に8回にも及ぶ出撃は彼女たちに極度の疲労を強いていたが、気丈な彼女たちは明るく任務に励む。 
 ある出撃任務で、オクサーナは地上のドイツ軍戦車にやられたロシア人家族を目撃し、強行着陸して生き残っていた幼い少年フェージャを救出する。オクサーナは夫と生き別れた上、幼い息子を失っており、フェージャにその面影を被せるようになる。そのフェージャはオクサーナに母の意識を感じる事はなく、むしろ若い娘ガーリャに惹かれていく。ガーリャを慕うフェージャの姿にオクサーナは気が気でない。
 連隊は対岸の海軍陸戦隊への物資輸送任務につく。その際、積み荷が落ちない事態にガーリャは身を挺して紐を切り落とす勇敢な行為を果たす。さらに、陸戦隊の護衛任務についた連隊は、久しぶりに男達と対面し興奮する。その際にオクサーナは行方不明の夫グレゴリー・ザハルチェンコが副隊長で活躍中との情報を得る。喜んだオクサーナは基地に戻り、フェージャに「お父さんが見つかったよ」と思わず告げるが、実の子供でなかった事に気づき我に返る。
 連隊に空軍少将らが来訪し、連隊が親衛隊に昇格した事を祝福する。女性の活躍が認められたのだ。一方、ガーリャは病院を抜け出すときに知り合った陸軍のコスチャ・ラザレフ大尉と恋仲になり、ラザレフ大尉はバイクでわざわざやってきて、二人は仲むつまじく抱き合う。そんな姿にフェージャは焼き餅を抱き、ラザレフのバイクに小便を引っかける。
 連隊で養っていたフェージャだが、隊の命令でモスクワの孤児院に送られることとなる。手放したくないオクサーナは連隊長に懇願するも許されない。失意のオクサーナは夜間出撃に出るが、その際パラシュートを置いていったために、撃墜されて戦死してしまう。同乗していたガーリャはパラシュートのおかげで1週間かけてなんとか戻ってくるが、この戦いで多くの女性搭乗員が戦死した。
 新たに新人パイロットが補充される。その中にフェージャの姿もあった。モスクワの孤児院が移転していてなかったので戻ってきたというのだ。フェージャは中隊長オクサーナの戦死を聞いて、自ら爆撃機に搭乗して敵を討つと言い出す。ガーリャは代わりに敵を討つと約束し、出撃していく。帰還時間が過ぎてもガーリャの機は戻ってこない。心配して食事も取らないフェージャに、やってきたフィアンセのラザレフ大尉が語る。「ガーリャはこれまでにも2度撃墜されても帰還している。大丈夫だ」と。


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最終更新日  2007年05月07日 07時26分24秒
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