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2009年03月16日
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カテゴリ: 戦争映画
2007 イギリス 監督:ブライアン・カーク
出演者:ダニエル・ラドクリフ、デヴィッド・ヘイグ、キム・キャトラルほか
95分 カラー MY BOY JACK


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 ハリーポッターシリーズの主役で著名なダニエル・ラドクリフが主演するシリアス系戦争ドラマ。映画ではなく、イギリスのテレビドラマとして制作されている。名子役が大人になってどのような演技をするのかと話題にもなったそうだが、内容は至ってシリアスなもので、演技そのものは可もなく不可もなくといったところか。ただ、顔の表情が乏しくちょっと能面的な所が気になったが。
 本作は英国の著名作家が、自分の息子を第一次世界大戦の戦場に送り出し、戦死させてしまうという悲劇を描いたものだが、実は実話に基づいているらしい。ラドクリフが演じる息子の父親はラドヤード・キプリングと言い、「ジャングル・ブック」「少年キム」の作者で1907年にはノーベル文学賞も受賞している人物。児童文学者・詩人でもあり日本にも二度の来日歴があるのだそうだ。そのラドヤード・キプリングと息子のジョンの半生記ということになる。

 全般にのっぺり感が強い作品で、一応起承転結はあるのだが、ちょっと深みに欠け、なかなか感情移入はしずらいなというのがファーストインプレッション。ドラマとして見た場合には、インパクトのあるテーマ性に欠けるため、結局何に注目すれば良いのかがわからない。特に、我が息子を送り出し、戦死した息子に後悔の念を持つシーンなどは、他にも多くの同様な思いを持つ家族がいたであろうことから、今ひとつピンとこなかった。
 だが、本作は伝記ノンフィクションであると認識して見た場合、見方は変わる。陛下や政界にまで権力を及ぼすほどの名作家が、我が子一人すら守れないという、宿命であり愚かさがもたらす悲劇が実話だというインパクトがある。一人の人間として、父親としてどのようにするべきだったのか、多分回答のない命題として見る者に投げかけてくるのだ。海軍などの軍隊に固執する名誉欲、そして権力。それが肉親の心を傷つけていくことに気づかない。だが、その息子もまた同様のジレンマに陥っていく。果たして、他の選択が可能だったろうか。
 また、母親、姉の心境も見所の一つである。姉はストレートに感情を出すが、母親は父親に従属し、心に秘めた気持ちを表に出さない。だが、行方不明となった後は立場が逆転し、父親を従えて精力的に捜索活動に奔走する。戦前日本の逞しい母親像とオーバーラップするものがある。
 実話だと思えば同じ会話でもやはり心に響いてくるものが強い。ノンフィクションの持つ力というものを感じさせる。ただ、私はラドヤード・キプリングを知らなかったし、知ってさえいればより一層心に響くものがあったであろう。英国人ならば、心に響くものが強かったに違いない。

 映像的にはテレビムービーのため、どうしてもチープ感は否めない。英国のカントリーならではの自然を、ビデオならではの彩色感で捉えてはいるが、肝心の戦闘シーンはかなりしょぼい。物語の緊迫感を醸し出す重要なシーンだけに、ちょっと残念。ただ、突撃直前の塹壕シーンは気迫こもるものがあってよい。
 なお、主人公の息子ジョンは陸軍士官として任官するが、何と17歳で少尉となっている。第一次大戦時にはそんなもんだったのだろうか。何せ今なら高校生だからね。高校生に指揮される年取った兵たちというのはどういう気分だったのだろう。映画中でのラドクリフはまさに童顔の少尉といった感じだ。



興奮度★★★
沈痛度★★★★
爽快度★
感涙度★★


(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)


 ついに、父親は陸軍元帥のもとに赴き、陸軍士官学校に合格することができる。母親は裏工作をしたことに不満を漏らし、姉は怒るがジョンはついに入隊するのだった。ジョンはサセックス連隊第2大隊所属となるが、視力が悪くメガネのためにうまく射撃できない。しかし、オリアリー伍長の指導のもと、努力して優秀な成績をおさめ、少尉に任官する。
 ジョンは第2大隊第2中隊第5小隊の小隊長となり、20人の新兵を迎える。鍛錬した射撃と体力で新兵の尊敬を勝ち取り、ついにフランスの前線に赴くことに。直前に家に戻ったジョンは、」すでに士官が16名戦死し友人のラルフも負傷したことから、少し恐怖を覚えながらも立派に出かけていく。送る母親と姉は心配でしょうがない。
 北フランスのルースの塹壕に配置されたジョンの小隊は8月17日の大攻勢に伝書鳩小隊として出撃することに。極度の緊張の中、ついに塹壕を出てドイツ軍陣地に向かって走り出す。次々に倒れていく兵。
 イギリスの家に電報が届く。緊張した父親が開いた電報にはジョンが行方不明になったと記載されている。母親は止めるべきだった、姉はジャックは家から出たかったのよと父親を責めるのだった。ルースの戦いでは385人の将校と7861人の兵が死傷した。
 母親は赤十字などのつてを頼ってジョンの行方を探し始める。捕虜の写真を4000枚もコピーし、チェックする作業に父親も付き合い始める。徐々に父親も行かせるべきではなかったと後悔の念を持ち始める。
 そんな中、マイケル・ボウという一人の復員兵がやってくる。彼はジョンの小隊の部下で、ジョンの最期を知っていたのだ。ボウは塹壕に飛び込み、ドイツ軍機銃陣地に向かって突撃し、撃たれて戦死するまでの話をするのだった。ジョンは眼鏡を落とし、それを探して戦っていたのだ。
 父親は話を聞いて、立派だった、長く苦しまずに幸運だったと言うが、母親は苦しかったでしょうね、会いたいと嘆くのだった。父親は次第に私が我が子に死を宣告したのだと自問し始める。そして、二人は乗り越えていこうと決めるのだった。





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最終更新日  2009年03月16日 09時05分36秒
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