ストーリーは、イギリスの青年トーマスが徴兵され、厳しい新兵訓練を経て、ノルマンディ上陸作戦に参加するというもので、世間知らずの青年が次第に軍の非人道的な扱いに諦め、死に麻痺していく様子を描いている。だが、セミドキュメンタリーということで、ストーリー性自体はやや浅く、映画としてはさして面白いという部類ではない。加えて、兵士トーマスの回想、夢想シーンが度々挿入され、現実の出来事なのか、夢の中なのかがわからなくなり混乱することも多い。無名の一兵士が儚く命を落としていく過程により、戦争のむごたらしさや無意味さを説く要素もあることはあるが、全般的には余り心に響いてこない。 何と言っても、本作の素晴らしさは実写記録部分にあると言っても良いだろう。本作の半分近くがIMPERIAL WAR MUSEUMなどのアーカイブから選び抜かれたノルマンディ上陸作戦絡みの記録映像となっており、制作にあたり4年間もの期間をフィルムチェックに費やしたのだそうだ。中には見たことのあるような有名な映像もあるが、大部分は貴重な発掘フィルムと言っても良いだろう。現在ではヒストリーチャンネルなどのドキュメンタリー制作番組で観ることもできるが、当時としては非常にレアで画期的な映像だったと思われる。言わば、解説のないヒストリーチャンネルのようなものか。 登場人物は主人公の二等兵トーマスとその戦友ジャック、アーサーの3名を中心にまわっているが、演技らしい演技は要求されていないようだ。棒読みのようなセリフと固い顔の表情ばかりで、演技を期待するタイプの映画ではない。ラブシーンもあり、ジェリー・ニーサムのヌードシーンだけが華か(笑)。