日々のあぶく?

日々のあぶく?

June 28, 2007
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”成風堂書店事件メモ”シリーズ第3弾!

成風堂書店事件メモシリーズ  配達あかずきん  晩夏に捧ぐ

元書店員だっただけあってリアル書店の実情と、心温まったり、ニヤリとさせるミステリの融合のシリーズは魅力的
今回もしっかりものの書店員・杏子と不器用だけど頭脳明晰、勘の鋭い「本屋限定探偵」のアルバイト・多絵のコンビが活躍

おまけの「成風堂通信」(特別付録の折込)は杏子や多絵、店長、内藤など、成風堂書店員になりきって書かれた記事が。
他にも著者のコラムや「暴れん坊本屋さん」の久世番子による漫画もあり。
…豪華なおまけだ…

―ネタバレメモ―


同一書籍に四件の取り寄せ依頼。
ところが連絡を入れると、四人が四人ともそんな注文はした覚えがないという。
同じことが続き、謎は深まる。

成風堂と同じ名前(音)の店をやっていた初老の男性が釣りに行って転落死していた。
同行者には彼の趣味だった骨董品の鑑定に掛け軸を預かった仲間がいるらしい。
男の死は事故ではなかった?取り寄せ依頼の本のタイトルは別の仲間による脅し?
死んだ男性の孫の頼みで推理した多絵の結論とは?

膨大な書籍の取り寄せだけでも大変なのに、
(客のタイトル間違い、うろ覚えも多数。それだけで推理が必要)
客注品もまともに配本されないことがあるという。
書店繁盛記
なんにしても日本はきっちりシステムが稼動しているだろうとお客さんが過信しすぎなんじゃないかと思う。
店員さんは本屋に限らず、大変だろうな。

・君と語る永遠
小学六年生のグループが社会科見学学習のために来店。
その中のひとりの男の子が不審な動きをする。

その後もちょくちょく成風堂に来てはストッカーや在庫といったフレーズを気にしていた。
その頃、幼女連れ去り事件が勃発。犯人として広希が疑われたらしいのだが―

広希の父親(学生時代に本屋で働いていたことがあるらしい)が亡くなる前に
「広辞苑が片手でもてるようになったらプレゼントする」と約束していたこと、
本屋の専門用語(?)を教えてもらったことがあり、それを思い出そうとしていたことが判明。
一時、家出をするが、書店(の本)カバーを探しに行ったというところから場所判明。
幼女連れ去り事件も成風堂から万引きされたであろう漫画から防犯カメラで判明。無事逮捕。

福沢~杏子よりも書店経験は浅い初老の店員。
赤石~私服警官。何度か接点あり。

・バイト金森くんの告白
一月前にバイトに採用された金森は几帳面な学生バイトだったが、融通が利かないのが玉に傷。
そんな彼は高校時代に成風堂で一目ぼれ(他校の女子高生)をしたと言い出した。

お互い惹かれあいながら、金森の勘違いから彼は勝手に失恋し、
だが、大学進学しても彼女を忘れられずにバイトとなったことが判明。

雑誌のおまけがキーポイントになるが、付録や販促物、景品などが巨大化したり、
いろいろ複雑になり、挟み込んだり、配る店員の手間と気苦労は増えるばかり。
お客さんも相変わらず不思議な(困った)人が多いことがちらりと明かされる。
書店員、興味と憧れはあるけれど、やはり大変だと尻込みしてしまう…

店長~事なかれ主義。場の空気を読めず、失言多数。

・サイン会はいかが?
若者に人気の作家が「ファンの正体を見破れる書店でサイン会を開きたい」と言い出した。
お調子者の取次ぎ・藤永話を聞いた店長は多絵が居るから大丈夫と大乗り気。
正体を見破ってほしい熱心なファン<レッドリーフ>のヒントとなる暗号を解いた多絵は暗い顔。
<レッドリーフ>は影平を好意的なファンではなく、脅していたのだ。
彼の作品と共に謎解きはすすみ、サイン会当日を迎える。
多絵は<レッドリーフ>を見つけ出せるのか?

内藤~杏子の先輩社員。文庫・新書・学習参考書担当。
     口数が少なく、物静かで存在感は薄いが、実務能力に長けている小柄の男性。
影平紀真~ミステリ作家。グラビアでも活躍している若い男性。

犯人は影平の学生時代からの友人。
学生時代、誤解されたまま事件の犯人とされ、我慢しつつ、友人として付き合い続けていたが、
それを本にまで書かれたことから鬱屈してしまった。
影平は自分の行いを振り返り反省。友人と縁を続けたいと思うのだった。

・ヤギさんの忘れもの
常連客の老人・蔵本は馴染みのパート店員・名取が夫の転勤で退職してしまったことを知り、落ち込む。
そのときに店に置き忘れた封筒が見当たらなくなる。

多絵の推理で封筒は幼児が郵便ポストが描かれた絵本の中に挟み込んでいたことが分かる。
後日、蔵本には名取からの手紙が成風堂経由で届く。心温まる物語。

検品、品出し、レジ及び接客、返品、発注、売り上げの重圧、低賃金、
それでも好きだから、時に楽しく、時に刺激的で、時に人情味ある仕事。
だから続けているんだと杏子は思う。というくだりがあらためて印象にのこった。





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Last updated  June 28, 2007 02:11:10 PM


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