山行・水行・書筺 (小野寺秀也)

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小野寺秀也

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小野寺秀也@ Re[1]:日本海夕陽旅行(1日目)(2026年6月15日)(07/17) 歩世亜さんへ 私は80歳にして初めて海…
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2017.02.05
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 早朝、5cmほどの積雪があった。昨日の夕方から降り出した雪は地面を濡らすだけだったのだが、夜更けから積もりだしたらしい。犬の散歩を終らせてから雪掻きをした。雪掻きといっても専用の箒で掃くだけである。15cmくらいまでならこの箒一本で済む。
 玄関前から掃きだしたが、3mほど進んだら箒の柄が根元から折れてしまった。木製の柄が差し込んだ中で朽ちていたらしい。仕方がないので、柄なしの箒で屈みこむようにしての残りの15mほどを掃きおえた。中腰の姿勢はぎっくり腰のおそれがあったが、何とか無事に終わらせることができた。
 柄の朽ちた部分をかき出し、残りの柄を差し込んで箒の修理を終えた。この冬はこれでなんとかやり過ごせるだろう。

 日中はけっこう暖かくて、雪はあっという間に消えてしまった。デモには積雪用の編み上げ靴(ただの登山靴)を履いて行こうと考えていたのだが、昼過ぎには雪の痕跡もなくなったので、いつものジョギングシューズで家を出た。










勾当台公園野音ステージで。(2017/2/3 18:07~18:28)

 雨のせいで二週連続して野外音楽堂のステージ上での集会だったが、今日は、「風が冷たいのでステージで」ということだったが、じつのところ、あまり風は強くなかった。みんなの距離が近い集会の感じがよかったので今週も、ということだろう。

 「否定する気はありませんが、私はデブです。それで何の話かというとデブリの話です」と、主催者挨拶は始まった。
 東京電力は、1月末に 1F2号機の内部撮影 を行い、圧力容器の下の作業台の大きな穴や溶融燃料(デブリ)らしい塊を見つけた。そのときの映像ノイズから格納容器の内側(圧力容器を支える円筒の外側)で放射線量が530Sv/hrに達すると推定した。そこはメルトダウンして圧力容器から落ちたと思われる場所から離れていて、なぜそのような高線量になっているか分からないのだという。このことは広範に高放射能汚染が広がっている(デブリが飛散している)ことを示唆していて、廃炉の道筋がいっそう暗澹たるものになったと言えよう。
 530Sv/hrは強烈な放射線量である。人間は積算線量3~10Svで骨髄死、8Sv以上で腸管死、20Sv以上では中枢神経死となると言われている。530Sv/hrの場所に1分もいれば確実に死に至るのだ。
 しかし、ニュースを見る限り、マスコミは530Sv/hrという数値に驚愕しているように見えるが、そもそもその原子炉のほんの一部が空中に吹き飛んだだけで10万人以上が避難しなければならないほどの放射能がまき散らされたことを考えれば、原子炉内がその程度の高線量というのは当然である。もともと原発というのはそういう存在だ。核分裂がもたらすのはそういう結果であることは物理的には自明である。今さら驚く方が不思議なのである。
 おそらく、じっさいには廃炉は困難であろう。たとえ可能であっても数十年という年月を必要とするだろう。チェルノブイリは早々に廃炉を諦めて石棺として封じ込める道を選んだ。東電1Fも汚染地下水の流出を封じる手立てをして石棺化を図るのが現実的だろう。しかし、「それでは福島の人たちの心が壊れるのではないか」と主催者は畏れる。石棺化は、チェルノブイリがそうであったように、東電1Fの近隣地域の永久的な遺棄につながってしまう。
 女川、伊方、川内をそのような故郷にしてしまうのか。誰が考えても答えは明らかだと思うのだが、なぜか日本の政治家と経済人にはそのことがまったく通用しない。

 仙台では長町地区でも金曜行動が行われているが、最近、その時間帯が夕方から昼に変わったという。夕方まで仕事があってそれに参加できなくなったのでこちらに来ました、といわれてスピーチに立った人の話題は東 電2Fの冷却ポンプの故障 についてだった。
 昨年11月22日早朝、福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震で東京電力福島第2発電所2号機の燃料プールの冷却用ポンプが1時間半にわたって停止し、冷却水があふれ出した。東電は、それは事故ではなく安全装置が働いたためだと言い逃れしたが、それでは何も起きなかった1号機や3、4号機では安全装置が働かなかったということになって、それはそれで大問題ではないか。震度5弱の地震でその程度なら、3・11ではもっと重大な事故が起きていたのではないか、と東電の隠蔽体質を懸念する話だった。

 福島から参加された方のお兄さんが2011年6月に白血病を発症して、その後に亡くなられたという。その因果関係を断定することはできないが、低線量被ばくといえども、福島では今も被ばくが続いていることをとても心配されていた。また、福島での集会に参加していたとき、原発に反対するためにはSNSを利用してマスコミジャーナリズムに対抗する必要性を痛感して、今こうしてデモに参加したことなどを必ずSNSで発信するようにしていると話された。

 仙台の郊外で地域医療に携わっているお医者さんの話が紹介された。その地域では今までほとんど見られなかった膠原病や白血病になる人が現れたばかりではなく、甲状腺の患者さんが増えたという。このような事実が、みんなには届いていないことが問題ではないか、と話された。
 その話で思い出したのは、チェルノブイリでもこれまで全く見られなかった甲状腺がんの患者が3人も現れたとき、原発事故によると確信されたお医者さんがいたというニュースだった。しかし、IAEA(国際原子力機関)やICRP(国際放射線防護委員会)からは、統計的に有意義ではないと無視された。
 たしかに何十万人の中の3人であれば、統計的には有意義ではない。しかし、地域医療に携わっていれば、その母数ははるかに小さい。何よりも、職業医師としての人生で初めて3人の患者が同時に現れれば、放射線被ばくの影響を疑うのはきわめて正常な科学的態度である。結局、世界は甲状腺がんの異常な発生が放射能の影響であることを認めざるをえなかったが、それは事故後だいぶたってからである。
 甲状腺癌ばかりではない。おそらく、日本でも経験的に様々な異常を感じている医師がたくさんいても、それが表に出てきていないのではないかと思う。統計的な確度に自信がないということもあるだろうが、多くは陰に陽に働く圧力のせいではないか。はっきりした形をとらない圧力というものが、この社会に張り巡らされているだろう。それが権力というものだと言ったのは、ミシェル・フーコーである。

 1月29日に開催されたシンポジウム『原発のない東北の復興を考える』の報告もあった。3回目のシンポジウムだが、1回目の530人、2回目の630人に対して今回の参加者は780人に達した。
 基調講演された金子勝慶応大学教授の著書も販売されたが、すべて完売ということだった。金子教授は、原発は衰退産業そのものであり、そもそも経済的には成り立たないこと、原発そのものが日本経済の足かせになっていることなどを強調された。パネルディスカッションでは、原発に頼らない地域経済を主題として議論され、今後の活動にとってとても有意義な意見がたくさん出された、という報告だった。





勾当台公園から一番町へ。(2017/2/3 18:35~18:44)

 デモに出発する準備をする人たちがいつもよりずっと多いような気がした。たぶんそんな気がするだけだろうと思っていたが、今日の参加者は45人だとスタッフの一人から教えられた。
 先週までの2回のデモは35人だったので、たしかに今日は多い。これくらいの人数での10人の増減はけっこう印象を変えるようだ。






一番町。(2017/2/3 18:46~18:52)


 東電1F2号機の格納容器の写真の記事に続いて、東京電力は今月中にもロボットを投入して格納容器内を調べるという ニュース もあった。
 前にも何度か失敗しているように、今度もおそらくロボット投入直後に動かなくなるだろう。失敗する可能性が極めて高いのだ。格納容器内の530Svという線量の推定が写真のノイズから推定したというのは、カメラが放射線損傷を受けている程度から判断したということである。高エネルギーの放射線は、どのような固体材料においてもその原子配列を壊す形で損傷を与える。
 その物理的性質がもっともダメージを受けやすい固体材料は半導体である。半導体の性能は、きれいに配列した母体結晶に導入されたごく少量の不純物が作る電子(または電子空孔)のある定まったエネルギー順位で決まる。放射線損傷は母体結晶の原子配列を乱雑に壊してしまい、いろんな種類の格子欠陥(電子レベルでは不純物と同じ役割をする)が大量に(様々なエネルギー順位が大量に)発生するので、電子制御できる半導体ではなくなる。格納容器に投入されるロボットの制御部分は半導体からなる集積回路で構成されているので、格納容器内ではあっという間にその性能を失ってしまう。
 半導体ばかりではなく、カメラのレンズもあっという間に不透明になってしまうだろう。ソーダガラスであれ石英ガラスであれ、それが透明なのは光を吸収する電子のエネルギー順位が存在しないためである。半導体の場合と同様に、放射線損傷はガラス固体の中に様々な電子のエネルギー順位を大量に作ってしまい、それが光を吸収してしまう。ガラスが放射線損傷で真っ黒になるのはよく知られた事実である。(ちなみに、私は、私の研究生活の最初期の短い期間、半導体や金属合金の放射線損傷をテーマにしていた。1個の放射線が固体内のどれだけの原子配列を壊すか、モデル計算をしたことを思い出した。)
 高エネルギー放射線の大量被ばくの前では、人知を絞ったロボットもまったく無力なのである。どんなに科学が発達しても、人間にはできないことがあるのだ。それを知ることこそ科学そのものの前提なのである。




青葉通り。 (2017/2/3 19:00~19:04)

 一番町も広瀬通りを過ぎ、さらに中央通りの入り口を過ぎると急に人通りが少なくなる。青葉通りに曲がれば、デモ人とくるまばかりという感じである。バスはたくさん通るので、バスの方にプラカを掲げ、乗客に向かってコールをあげることが多くなる。
 バスの乗客には声が届いているのだろうか。バスの乗客としてデモを眺めてみたいと思ったが、たしかそんな短歌があったのではないか。抜き書きノートで探して見た。三人目として探した岡井隆のノートにあった。


じりじりとデモ隊のなか遡行するバスに居りたり酸き孤独嚙み
                 岡井隆 [1]


 長いデモの列を遡るようにバスはのろのろ進み、デモに加わっていない作者には忸怩たる思いがわいているのだ。バスの中からデモの列を眺めてみたいなどと単純にはいかないようだ。デモに加わっていない自分をどう見るかの方が心に重くのしかかってくるのだ、きっと。たぶん、私でも……。

[1] 『現代短歌全集 第十三巻』(筑摩書房、1980年)p. 293)

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かわたれどきの頁繰り(小野寺秀也)

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Last updated  2017.03.19 10:33:08
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