2002/03/17
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 余白の多い装丁。下から。「みすず書房」著者の横顔写真。訳者名。題名。そして「ボルヘス」。「ホルヘ・ルイス・ホルヘス」と書くよりただのボルヘスの方が、ボルヘスという作家のボルヘスらしさをいかにもボルヘスらしく表しているボルヘス。語尾にボルヘスと付けながら書くと書きにくい。
 ボルヘスについては説明不用の人だから置く。
 ボルヘスの講演七回分。

 私はブエノスアイレス大学の哲文学部で英文学の教師として勤めてきましたが、そこで心掛けてきたのが文学史の可能性を無視するということです。学生たちから書誌を請われると、私はこう答えたものです。「書誌など重要ではない。結局のところ、シェイクスピアはシェイクスピアに関する書誌のことなど何も知らなかったのだから」と。ジョンソン博士は自分について書かれることになる書物を予め知ることはできなかった。「どうして君たちは直接作品にあたらないのかね? 君たちがこれらの作品を楽しめるのなら、それで結構。だが、もし楽しめないのなら、読むのをやめなさい。義務としての読書などという考えは、馬鹿げた考えなのだから。義務としての幸福について話をする方がずっとマシだ。詩とは感じ取るものだと私は思う。だからもし君たちが詩を感じ取れないのなら、美しいと感じられないのなら、もし小説が、それからどうなったのかを知りたいという気持ちにさせてくれないのなら、作者は君たちのために書いたのではない。それを脇に置きなさい。文学というのはとても豊かなもので、君たちの興味を引くのにふさわしい作者もいれば、今はふさわしくなく、君たちが将来読むであろう作者もいるのだから」

 普段から私が思っているようなことでも、ボルヘスに言わせると説得力が違う。
 考えてみればボルヘスの、小説以外の本ははじめてだ。
 残念ながら私はまだ目が見えるのでボルヘスのようには語れない。

ボルヘス「七つの夜」(みすず書房)






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Last updated  2002/03/18 05:13:58 PM
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