2002/04/22
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 戦争経験のある人には何をやってもかなわないなあと思う。簡単に人が死に、空から爆弾が降ってき、特攻し、引き揚げ、食糧難をかいくぐり、それでも死ななかった人達に、経験の重さで勝てるはずがない。経験を語られるだけで、陳腐な想像力では刃向かえなくなってしまう。
 だが、事実を知りたいだけならばノンフィクションに手を伸ばせばいいだけの話だ。作家が自らの戦争経験を何故小説として書いたか、それは小説という形であるからこそ嘘を混ぜて、嘘のような過去を嘘のようにしてしまうか、小説という形であるからこそ嘘に見せかけてほんとうのことを書き留めるためか、それは知らない。どちらであろうとも、「歴史の証言」と冠されていようとも、小説という形である以上、私は物語として読む。幾分リアリティの濃いフィクションとして。そしてやはり「このリアリティにはかなわないなあ」と思うだけだ。

・平林たい子「盲中国兵」
・阿川弘之「年年歳歳」
・中野重治「おどる男」
・三浦朱門「礁湖」
・富士正晴「帝国軍隊に於ける学習・序」
・佐多稲子「雪の峠」
・水上勉「リヤカーを曳いて」

・田中小実昌「岩塩の袋」
・李恢成「馬山まで」
・坂上弘「短い1年」

1の場合と違い、一つ一つについて書くことにあまり意味はない。強いてあげるならば水上勉「リヤカーを曳いて」が一番完成度が高く、田中小実昌「岩塩の袋」は、水木しげるの戦記漫画に通じるものがある。

戦後短篇小説再発見〈8〉歴史の証言(講談社文芸文庫)

今思い出したが、平林たい子「盲中国兵」は昔どこかで読んだような気がする。似たような夢を見た気もする。





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Last updated  2002/04/22 10:51:02 PM
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