2003/11/08
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カテゴリ: 国内小説感想
 忘れた。読んでから随分と経ったので忘れた。大好きな作風であるのだけれど、その分夢中になって読んだので、一つ読むごとに一つ忘れた。また事故の音。うちの前の交差点ではよく乗り物がぶつかる。古本なので前の持ち主の書き込みがあった。冒頭の一編『修験』にはびっしりと傍線が引っ張ってあるが、次の話からはそのなごりもない。死んだはずの兄が山の中を彷徨っているのを主人公が見る場面では、矢印が現れ、「死んだ兄」という文字が書き込まれている。死んだ兄が死んだ兄だということを死んだ兄だと書かなければ分からないのか、それともこれが後々の大事な伏線になるとでも思ったか。次の話からは前の持ち主の影に集中力を欠かされることなく読むことに没頭出来た。私も一話一話読むごとに思うごとに何かを頁の隙間に書き込んでいれば忘れることもなかっただろうに。




『修験』冒頭


 似た冒頭をどこかで見た。古井由吉のどれかだ。元は『日本霊異記』だったろうか。選挙がうるさい。スクーターとバイクがぶつかった二人は怒鳴りあうこともせず歩道へ各々の乗り物を引っ張っていった。それはもう昨日の話だ。書いてる途中で寝ると一晩経った。以前車二台が同じ場所でぶつかりあった時、白く小さい車に乗っていた若者が暴れてやがてパトカーが来た。
 しばらく中上健次が続く。


講談社文芸文庫 1993年





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Last updated  2004/10/29 01:17:34 AM
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