2005/03/19
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カテゴリ: 関係小説
 六「歪」

 少し空が歪んでいたので、真っ直ぐ歩けなかった。周りの者も皆まともに歩けなくて難儀していた。地面は馬鹿馬鹿しいくらい真っ平らであるのに、少し空が歪んだくらいでまともに歩けなくなるなんて、と皆怒っていた。鳥たちは平生と変わらず空を飛んでいた。雲は動きを止めていつまでも砕けなかった。

 七「朝」

 夜中に火を焚くと朝が急ぎ足でやってくる。

 八「名」

 自分の名前を嫌う男が、ついに誰にも名前を名乗らなくなった。誰もが彼の名を忘れてしまい、彼は次第に忘れ去られた。彼は変わらず村に居て、野良仕事をして、ものを喰って生きているのに、誰も彼をうまく見ることが出来ず、時折ぶつかっては難儀した。そんな時は「ああ、あいつが今おったんやな」と思い出されたが、名前を消した男はすぐに忘れられてしまうのだった。

 九「火」

 考え事が始まると何日でも固まって動かなくなる男がいた。煙草に火をつけようと燐寸を擦った時、いつもの癖が出た。数日後まっさらな煙草と人型の灰が残った。それを見つけた男の父親は、「煙草が倅を吸いおった」と煙草を憎み、息子を取り返そうとして死ぬまで煙草を吸い続けた。

 十「二」







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Last updated  2005/03/20 01:36:32 AM
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