2005/03/18
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カテゴリ: 関係小説
 一「女」

 前を歩く女の髪が濡れていた。おや? と思うと雨が降って来た。こちらの髪も濡れ、ああ、と納得した。雨が止んでも女は変わらず前を歩いていた。相変わらず女の髪は濡れていた。

 二「婆」

 婆が川に洗濯に行った頃、婆の家に住んでいる河童はまだ寝ていた。昼頃起き出した河童は、一つ婆をからかってやろうと、川の上流に飛び込んで婆のところまで流れていった。婆は河童の相手などせず黙々と洗濯を続けた。仕方なく下流まで流れていった河童が婆の家に帰る頃には、もう夜になっていた。

 三「骨」

 あるところに生まれつき骨のない男がおった。本を読んだり音楽を聴いたりしてぐにゃぐにゃと過ごしておった。男の母親は、穀潰し、馬鹿息子、水母野郎、といつも息子を罵った。ある時偉い坊さんが男の家にやってきて、男に骨を与えてくれた。男は、これで本を読みやすくなった、音を感じやすくなったと喜んで、前より一層ぐにゃぐにゃした生活を送った。男の母親は馬鹿息子、糞坊主、穀潰し、糞坊主、といつまでも罵っておった。

 四「狐」

 名僧の誉れ高い、ある山寺の住職は実は狐であった。人間の住職を騙そうと近付くうちに、住職の人柄に惚れ、真似事をしているうちに住職が倒れ、代わりをするうちに本当に住職になってしまった。実は先代は狸で、その前は猪、その前は栗が化けたものであったが、皆名僧であった。

 五「爺」






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Last updated  2012/04/07 01:29:15 PM
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