こけだまのつぶやき がんになって今思うこと

こけだまのつぶやき がんになって今思うこと

術後の経過


とにかくこの一月の間、頭から離れなかった「脳腫瘍」の手術が済みホッとしていた。
私はICUの個室に入っていたのだけど ICUの大部屋(?)みたいなのもあるのかな?
患者の誰かが押したナースコールが頻繁に聞こえていた。一度鳴らしてすぐに看護師さんが
来なかったのか、明らかに同じ人が続けて鳴らしているのがわかった。ちょっと気になって
「ナースコールが・・・」と言ったら個室のドアを閉めてくれた。
長い夜が終わり朝が来た(みたい)。
熱もまだ下がっていないみたいだったし、眠いのに眠れなかったしでとても疲れていた。
鏡を見ていなかったので自分の頭がどうなっているかよくわからなかったのだけど 後から
みたら 包帯もネットもなし、縫ってある傷口に透明(!)なテープが一枚ピローンと
貼り付けてあるだけ。こんなんでいいの?って感じだった。
この日、主治医のKセンセは外来診察日だったけど、朝、顔を出してくれた。
例の質問「今日は何日?」えーっと、朝がきたから「6月29日」「よし」
「年はいくつ?」えー?答えたくない。「秘密」と言ったら チョーうけた。
酸素マスクを取ってくれたのはいいけど 取ったとたん酸素が100%でなくなってしまったらしく
Kセンセ「うーん。さっきまで100%だったのに下がっちゃったよ。たまに深呼吸してね」と
言われる。うー、でも胃の管が入ってるせいか「深呼吸すると気持ち悪い」
「声出しにくくない?」って?「出しにくいよ」とそのまま答えたら
「機嫌が悪いなぁ。いや、気分が悪いか。仕方ないな~大きな手術のあとだからねぇ。ハハハ。
年は秘密だそうだ。」と笑いながらICUを出て行った。
看護師さんが「おもしろい先生だねぇ」と感心していた。私も手術の前から、最初のイメージを
見事に覆されて、この先生なら何でも言えそうだな、という気になっていた。
信頼できる(そうな)先生にあたるのって病人には結構重要なことだったりする。
腕はいいけど偉そうで質問のひとつもできないようじゃ患者は萎縮してしまう。
今回はアタリかも、と思った。
Kセンセが出て行った後、「CT取りにいくよ~」と言われベッドのまま一階へ降りる。
当然外来の患者さんがたくさんいる訳で その中にこの姿で行くのはちょっと恥ずかしいん
だけどな~。ちょっとした段差をベッドが通る時の衝撃が頭に響く。
一階に降りたら、案の定、外来患者の好奇な視線にさらされた。露骨に覗き込む人もいたし。
CT室で検査技師が「名前言えます?」と言うと私が応える前に付き添いの看護師が「言えません!」
と即答。頭にはまだ管が刺さったままなので頭を固定されると管があたってチョー痛いんだけど
我慢するしかない。それにベッドからCTの検査台への移動、終わってからの検査台からベッド
への移動が大変だった。
「1、2、3!」で人力で移動するのだ。そのたびに頭にガンガン響く。
CTが終わると今度はレントゲン。今度は台の移動はなかったのだが、フィルムを
頭の下に入れるせいでやっぱり痛くて ほげーって感じだった。
次にKセンセが様子を見に来られたのは10時半くらいだったかな。
あー、こういうことで結構外来の診察が止まるんだなぁと妙に感心していた。
頭の管を抜いて傷口を縫合してくれた。縫う時は絶対痛いに決まってると思って力を入れて
構えていたのに 引っ張る感じだけで全然痛くなかった。「あれ?おかしいな」と思った。
Kセンセ「管を抜いたからリターンがくるからね。2、3日顔が腫れるけど自然に治るから
心配しないでね」
頭をあげベッドの角度は25度以下にしないように看護師さんに指示。リターンで顔に溜まる
髄液(?)血液(?)をスムーズに流すため?
げーっ?腫れる?やだなぁ~。頭の管より胃の管抜いて欲しかったのにそっちは抜かずに
Kセンセは出て行ってしまった。
11時前になって急に病棟に帰ることになった。丁度 姉が面会にきたのと同時だった。
病棟からのお迎えのベッドに移ったのはいいが頭が上がらない。故障してたみたい。でも
さっき頭は25度以下にしないようにって指示だったのにぃ~。移動中もガタガタ
頭に響く。病棟では個室に入ることになっていた。姉が心配そうに覗くけど相変わらず
喉が痛くてあんまり声も出ない。
この日も熱は下がらず眠れなかった。
【6/30】
昨日のうちに 胃液の管や手の甲と手首の点滴、心電図とどんどん外され、残ったのは
首の点滴と尿の管だけになった。ひとつはずされる度結構ほっとするものだ。
今日もKセンセ「おーい!今日は何日だぁ??」と言いながら部屋に入ってきた。
私:「えっとー、6月30日」
Kセンセ:「そうね」
私:(もう完璧っしょ?)
Kセンセ:「年は秘密らしいから聞かないよ」
私:(覚えてるんだ・・・)
先生や看護師さんの質問攻めもやっとこの日で終了になった。
前の日だったかこのときだったか覚えていないけど 「水飲んでる?」って聞かれた気がする。
でも看護師さんたちから「水飲んでいい」って言われてない、と答えると
「もう飲んでいいからね」と言われた。えーっ?だったらもっと早く言って欲しかったな。
それに食事も再開していいから・・・と。
Kセンセが指示を忘れたのか、看護師さんたちに指示が伝わっていなかったのか
病院への不信感がちょっと生まれてしまった。
やっと出てきた食事も手違いで普通食だったし…絶食のあとの食事って普通は重湯とか
から始まるもんなんだけど…最低でもおかゆだよ…これもちょっと???だった。
起きられないので(相変わらずベッドの角度は25度で固定されてる)看護師さんが
たべさせてくれるんだけど全く食べたくない。何口か食べたけど「もういいです」と
やめてしまった。
傷も痛むし、熱も下がらず、おまけに「リターン」と呼ばれる現象で顔が腫れているせいか痛いし
熱い。両脇に氷をはさんで解熱していたけど、熱はちっとも下がらないし、額を冷やしたいけど
そこは冷やすとよくないから、言われてがっかり。ほっぺたを触られただけで痛みが走る。
私なんだかイライラしていた。
【7/1】
今日は日曜日。朝からダンナの兄弟が見舞いに来る。ダンナは義母も連れてきた。
参っちゃうな~。見舞いに来られても私あんまりしゃべれないし、(あんまり会いたくもなかった
りして・・・)義母の顔もあまり見たくない。(しゃべりだすとうるさくて嫌になってくる。)
鏡を出せなくて自分の顔がどうなってるかわからなかった。ふと、そばにおいてある
時計を見ると 文字盤の周りが鏡みたいになってる!恐る恐る顔を映してみるとそこには・・・
あーあ、まぶたが安田大サーカスのヒロくんみたいになってる!大ショック!
ますます落ち込んだ。
相変わらずベッド上での安静が続いていて起き上がることができなかった。
私のベッドには 「ベッド角度25°キープ」と書かれた紙が貼ってあった。
当番の若手医師が回診に来たときたまらず「いつまでこの状態なんですか?」と聞いてみた。
答えは「頭の手術してるからね。自分では今すぐにでもスタスタ歩けるような気がするかも
しれないけど、ちょっとずつ慣らしていかないといけないので我慢してね」だと。
私がいたのは個室なのでテレビもイアホンをつける必要がない。やっと熱も下がってきたので
テレビでも、と思って付けてみたんだけど、5分で終了。見る気にならなかった。
食事も口がまずくて食べられない。動けない。顔は腫れてる。イライラは頂点に達しつつあった。
せっかく 同僚がメールで励ましてくれたのにその真意を半分はわかっていながら素直に受取れず
自分で勝手に傷ついて腹を立て彼女に対して抗議の返信までしてしまった。(反省)
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