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 私たちの世代のように、自民党の全盛期の時代に生きてきた期間が長いと、ねじれ国会で、なかなか法案が成立しないというような状況では、これから先どうなることやら、などと心配しながら国会中継を見ているのですが、そういう時代も、さほど、珍しいことではないようです。

 ということで、「星亨」(有泉貞夫著、朝日新聞社)という本を読んでいるのですが、国会でやっていたことは、今とあまり変わらないようなことなので、テレビを見るときの参考になります。

 「坂の上の雲は」どちらかというと官僚の世界ですが、こちらは、大体同じ時代の国会の話で、こんなことをやりながら、あの時代を、よく乗り越えてきたものだと不思議な感じがします。


 今の北朝鮮とはタイプが違いますが、適応性に問題のある朝鮮にちょっかいを出しているうちに、清国と戦争をしなくてはいけないような雰囲気になって、軍拡をしなけれならない、というような状況ですが、それよりも恐ろしいのは、ヨーロッパ勢。

 シベリア鉄道(着工1892年)が完成すれば、極東で何が起きるか分からない、その前に、朝鮮問題に決着をつけたい、というような、かなり緊迫した時代の国会です。



 第一次山県有朋内閣(1889年12月から1891年4月)

 大日本帝国憲法下で、1890年7月に第一回総選挙、11月通常議会召集。

 衆議院には、政府寄りの議員も当選しているのですが、自由民権運動が浸透しているので、第一回総選挙もその後も、自由党や改進党などの勢力が多数です。

 今と同じように、主な争点は税金です。




 日本国憲法下の内閣は、衆議院の信任に基礎を置いているので、関連する法律はともかく、衆議院の過半数を制している限りは、強力な衆議院の優越が認められている予算自体が成立しないということは、考えにくいのですが、明治憲法下の内閣は、天皇の信任に基礎を置いているので、衆議院が承認しないため予算が成立しないということが起きます。

 そのかわり、第71条に前年度予算を執行する、という規定があります。

 貴族院は、勅選ですから、この時期は、大体政府よりです。


 「土佐派の裏切り」というような不名誉な言われ方をされていますが、自由党の一部が政府と妥協して、予算は成立しましたが、山県有朋は、やる気をなくして、「あなたとは違うんです」とは言いませんでしたが、首相をやめてしまいました。



 後継内閣は、伊藤博文が引き受けないので、伊藤や山県に比べると格落ちの薩摩閥の松方正義が首相。

 この後、10年間ほどは、4か月間ほどの第一次大隈内閣を除いて、伊藤、山県、松方の3人で、政権をたらい回しにします。



 第一次松方正義内閣(1891年5月から1892年7月)

 11月に第2議会を召集したが、どうにもならなく、12月に衆議院を解散、翌年2月第2回総選挙。

 猛烈な選挙干渉をしますが、結果は、政府寄りの勢力は少数派で、状況はよくなりません。

 1892年5月2日 第3議会(特別)召集。

 5月14日選挙干渉の責任を追及する衆議院の問責決議案可決。




 予算は、天皇の勅裁まで出して、やっと成立したようですが、第一次松方内閣は辞表を出して、野垂れ死。

 ということで、問責決議は、今も昔も効果はあるようです。



 第二次伊藤博文内閣(1892年8月から1896年8月)は、「明治政府末路の一線」と位置付けた内閣で、明治の元勲総出の内閣。

 後が無い野田内閣もおそらくは、できうる限りのメンバーをそろえているのだと思いますが、ここでは、内相井上馨、法相山県有朋、陸相大山巌、逓相黒田清隆、農商務相後藤象二郎というそうそうたるメンバーをそろえ、さらに、一匹狼的な陸奥宗光を外相に、という感じで、比べてみると、野田内閣は、しょぼすぎる。




 1892年11月第4議会召集。

 議会対策が効いたようで、政府と自由党とのあいだに妥協がうまれ、非公式ながらも政府と自由党との提携が成立し、翌2月、予算は成立します。


 1893年11月、第5議会召集。

 自由党の政府との連携は、あちこちから恨まれたようで、星亨は衆議院議長を辞めさせられうえに、除名されます。

 この年、本腰を入れて、条約改正問題に取り組んでいた陸奥宗光も、条約励行建議で苦境に陥り、議会に対して強硬姿勢を貫くことを求め、12月に解散。

 ここで、不平等条約の改正だから日本人なら反対する人はいない、と思ってはいけないようで、外国人が日本で、土地や家を買ったり、自由に商売をしたりするようになるのですから、条約励行ということも支持者はいたようです。

 2~3年前に、中国人が日本の山林を買っている、というので、テレビで大騒ぎしているのを見ましたが、あまり変わっていない、という感じ。

 1894年3月、総選挙。

 条約励行派は減少しましたが、全体として、政府寄りの議員が減少したようで、自由等と政府寄りの会派を併せても、過半数に達せず、伊藤内閣の苦境は続く。


 「内国の形成は日一日と切迫し、政府において何か人目を驚かすほどの事業をなすにあらざれば、この騒々しき人心を鎮静すべからず。さりとて故なき戦争を起こす訳にも不参事故、唯一の目当ては条約の改正の一事なり。」(陸奥宗光から、ロンドンで、条約改正交渉にあたっている青木周蔵あて書簡(3月27日付))

 といいながらも、この後、陸奥宗光は、強引に、清国との戦争に導いていきます。


 1894年5月第6議会(特別)

  5月31日衆議院、内閣弾劾上奏案可決

  7月25日に、豊島沖海戦で日清戦争がはじまり、戦争は連戦連勝で、翌95年4月、日清講和条約調印。

 戦争中に、1894年10月第7議会(臨時)、12月から翌年3月まで第8議会(通常)。

 当時の衆議院議員の多くは、多分、李鴻章が太っ腹なところを見せた講和条約調印のあたりまではうまくいっていると思っていたのでしょうが、講和条約調印の6日後の4月23日に、三国干渉、怒り狂ったと思います。

 しかし、政府は、そうではないと思います。

 朝鮮政府は、そっぽを向いてしまう、さらに、10月に、閔妃を殺害し、翌年1896年2月には、国王がロシア公使館に入り親露政権樹立、という具合に、朝鮮は、最悪の流れになります。

 また、清国とロシアを接近させることになり、ロシアは、日本に支払わなければならない賠償金で苦しんでいる清国の窮状につけ込んで、シベリア鉄道の満洲通過と、旅順に不凍港を獲得すべく動き出す(1895年10月福島安正からこのような情報が送られています)。

 衆議院議員の多くは、この情報に接することはなかったと思いますが、伊藤博文や山県有朋は、ロシアの軍靴の足音が急に近づいたと感じ、震え上がったと思います。


 臥薪嘗胆のムードの中で、軍備拡張や産業・交通・通信手段、教育機関拡充のため減税は到底無理、それまで、減税を叫んでいた自由党への政治献金も減って懐具合も悪くなり11月に、自由党が政府と提携宣言(多分、 これ だと思います)。

1895年12月25日第9議会召集(1896年3月29日閉会)

1896年3月、立憲改進党・立憲革新党などが合同し、進歩党結成、自由党と拮抗する議席数になる。

 5月、伊藤博文が、挙国一致体制をつくろうとして、大隈進歩党総理に入閣交渉を始める。

    自由党からの強い反発を招き、伊藤博文は、政権担当の意欲をなくして、8月に辞職。

    これも、福田内閣の大連立構想と辞職、民主党の反応を思い出させます。

    ただし、後の方は、多分、小沢一郎あたりに振り回されて、単に、嫌になったと、いう程度だと思いますが、前の方は、かなり深刻。



この間、6月に、山県・ロバノフ協定調印。 

  山県有朋が、ロシア皇太子戴冠式に参列した皇族について行ったついでに、ロシアのロバノフ外相と「日露両国は協力して朝鮮の独立維持を保持する」、という合意をしたものですが、ロシア側に、日本の腹が読めた、と判断されたようです。
、
 「戦略日露戦争」という本に、「見当違いの山県外交」というタイトルで、詳しく書かれています。













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最終更新日  2012年02月08日 11時57分24秒
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