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2008年09月02日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
鉛色の空が蓋をしたかのように覆いかぶさり辺りを薄暗く包む天気のなか

授業後の帰宅ラッシュで賑わう校門で

俺は親の迎えを待っていた

友達との約束がある俺は時間を気にしながら

もう何十回目であろう時間の確認をする

時間が刻一刻と近付くたびに焦燥感も大きくなる

一向に迎えに来ない親

秩序なくガヤガヤと話しながら通り過ぎていく生徒を見ながら

もうこれは自分で歩いて行ったほうがよいかもしれないと諦めかけようとした瞬間



と何やら叫び声のような声が聞こえた

辺りの雑音を掻き消すようなその声のほうへと目をやる

そこにいたのは60代後半の老婆がいた

耳を傾けると

何やら帰宅する高校生全体に

暴言・・・?交通マナーの注意・・?人生の警句・・?を訴えていた

何をしているのだろうと?

よく聞いてみるとその言葉には時折汚い言葉が混じっている

ここで文字として書くのすら憚られるようなものなので

抽象的な表現で「聞くに耐えない非常に汚い言葉」と書くことで留めておく事にしようと思う

大声を張り上げて生徒達を叱り飛ばす老婆



そして俺と同じように目の前で待っている男子生徒に何やら話しかけ始めた

何を話していたのかは分からないが5秒もせずにそれは終わってしまった

まずい・・・次は俺かもしれない・・・

俺は慌てて携帯で電話をするフリをしたり

携帯ゲームをして気付いていないフリをして



難なく突破されてしまい全くの無駄であった

何やらこちらに話しかけてくる老婆

老婆は思いの外早口で饒舌にこちらに話す

大半を聞き流しているのだが

概ね人の悪口と自分の自慢話がほとんどだった

その中に恥もせずに汚い言葉を織り交ぜながら話す所を見ると

痴呆症やアルツハイマー症か何かの初期症状なのだろうか?

そんなことをぼんやりと考えながら

老婆の話には耳を貸さずにいるのだが

老婆は一向に話をやめようとしない

俺は無視とほとんど変わらないようなそっけない態度で接しているつもりなのだが

老婆にとっては大きく頷いて話しに興味があるように見えたのだろうか?

話しが進むたびにその饒舌振りと早口には

磨きがかかりもはや凄みすらでてくる

老婆の話は自分の話ばかりだが珍しくこちらに話しかけてきたと思えば

「お前顔がいいな!どうだ!金持ちの女と結婚して養ってもらえ!」

と・・・・・・・

どうやら俺はこの老婆に容姿の面では気に入られたらしい

正直な所全く嬉しくは無いのだが一様に受け流すように

「はぁ・・・どうも・・でも俺好きな人がいるので」

と返したのが運のツキである

そのことについて火のついたように話し出す老婆

こちらはもう受け流す事さえも辛くなってきている

目の前を通り過ぎていく生徒達

こちらを好奇の眼差しで一見し哀れみながらも無視して通り過ぎていく

こちらがいくら助けて欲しいと目でサインをだしても

誰一人救いの手を差し伸べてくれるものなど居なかった



そして10分後


未だに続く老婆の長口上(*長口上=長話)

時間は確かな悪意をもってゆっくりとゆっくりと進み

俺はそのゆるやかな歩みにただ唇を噛み締めて耐えているしかなかった

極度の緊張とストレスからくるのだろうか?

だんだんと全身が痺れるように痛んできた

親が来るまで観念して聞いていなければならないのかと

心の中で今にも泣き出しそうな時


「コタロウ!乗ってく?」という声にハッとした


声の主は女友達のマリア

母親と一緒に車乗っていた彼女

このときの一声は

地獄の淵に追いやられた自分へ助けの手を差し伸べてくれた

イエス・キリストの母である聖母マリアのような声のように聞こえた



こうして俺は難なきを得て

ようやくこの老婆の呪縛から解放された

その後マリアの母親に哀れみの目で見られながらも

「聞いてくれそうな顔してたんじゃない?大変なのに捕まっちゃったね!」

と大笑いされてしまい自分の要領の悪さに恥ずかしい思いをしてしまった

今回の件については自分の要領の悪さをただただ祟るしかないが

助けて貰えた事については少し心温まる一件だった


さて


マリアとマリアのお母さんにはここで感謝の言葉を


校門でのご配慮は自分の中で大きな救いとなりました。

要領の悪い不束者ですが、今後ともご配慮のほどよろしくお願いいたします。

今回は本当にありがとうございました。






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Last updated  2008年09月03日 00時26分13秒
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