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胆道がんの原因やリスクファクターには不明な点も多いのですが、いくつかの候補について研究報告がなされています。ここでは、研究報告の内容から胆道がんのリスクファクターを紹介します。
胆管がんのリスクファクターには、「膵・胆管合流異常」という先天性の異常があります。この異常があると、膵臓が作っている膵液と胆汁が逆流を起こし、胆管がダメージを受け続けるために、胆管がんの発生が多いと考えられています。
難病の1つに指定されている「原発性硬化性胆管炎」も胆管がんのリスクファクターとして明らかになっています。この病気でも胆管の炎症が継続するために、胆管へのダメージの蓄積があり、胆管がんの発生が多くなると考えられています。
また、肝炎ウイルスやアフラトキシン(カビ毒の一種)は肝臓がんリスクファクターですが、胆管がんや胆嚢がんにも影響があると考えられています。さらに、肝臓の病気、例えばアルコール性肝疾患、肝硬変なども胆管がんと関係があることが研究の結果としてわかっています。
他にも、メタボリックシンドローム、特に糖尿病・肥満・高脂血症があると胆管がんや胆嚢がんのリスクが高いという報告があります。
喫煙や飲酒は、胆管がんの発生については、関連しているという報告と関連はないという研究の両方が有り、影響ははっきりとしていません。ただし、胆嚢がんへの影響については、喫煙・飲酒のいずれもリスクファクターであると考えられています。
食生活では、唐辛子をたくさん食べたり、甘い飲物をよく飲んだりする方の方が胆管がんや胆嚢がんになりやすいことも分かっています。逆に、果物や豆類を食べることでリスクを下げることが研究報告されています。
2012年にニュースになったように、塗料などの有機溶剤を十分に換気せずに大量に使用し、吸い込んでしまったことによって胆管がん生じたことが明らかになっています。他にも石油、製紙、化学、繊維といった業種で働く方に胆管がんや胆嚢がんが多く見つかっているという調査結果もあります。
ここまで、リスクファクターを紹介しましたが、乳頭部がんについては、まだ紹介していません。実は、これまでの研究では、乳頭部がんのリスクファクターについては十分に信頼できる報告がありません。
胆道がんは他のがんと同じく、年齢が上がると胆道がんになりやすくなります。特に多い年代は50歳台~70歳台です。男女差を見てみると、胆道がんのうち、胆嚢がんは女性に多く、胆管がんは男性に多いという差があります。
女性では、どのような方に多く胆嚢がんが発生しているのか、について調べられています。研究によると、生理周期が不規則または長い(29日以上)女性では、そうでない女性と比べて、胆嚢がんのリスクがやや高いようです。また、妊娠時の年齢が低い女性(22歳以下)と比べると、高い女性(27歳以上)では、胆嚢がんのリスクが高いことが調査の結果として報告されています。女性ホルモンが何らかの関与があると考えられていますが、詳細はまだわかっていません。
胆石と胆嚢がんの発生について、直接的な因果関係は証明されていません。現時点では、がん予防の目的で特に症状のない胆石を取り出す手術の意義はないと考えられています。
ただし、胆石ができてから期間が長い場合や、胆石が大きい場合、胆石がたくさんある場合については、いくつかの研究の結果から胆嚢がん発生との関係があるのではないかと考えられています。このような場合は、医師から十分な説明を受けた上で取り出すことも検討して下さい。また、胆石が肝臓の中にできてしまう場合(肝内結石症)は、肝内胆管がんのリスクが高いと考えられています。
食生活や運動習慣に気をつけて、メタボリックシンドロームにならないように(または、メタボリックシンドロームの状態から抜け出せるように)すると良いでしょう。特に、唐辛子や甘い飲み物ばかりをとることは避けることが必要です。
タバコやお酒の影響については、胆管がんでは明らかになっていない部分もありますが、胆嚢がんへの影響があるとわかっていますので、喫煙・節酒によってがん発生を予防することが出来ます。特に、他のがんの予防にもなりますので、禁煙・節酒を心がけることをお勧めします。
仕事や趣味で塗料などの有機溶剤を使う場合には、しっかりと換気をすることが必要です。特に仕事で使用する場合には、使用量が多くなりますので防毒マスクをキチンと着用しましょう。
胆道がんは他のがんと比べて、原因やリスクファクターの解明が充分に進んでいないため、早期発見が難しいがんの1つです。胆道がんのはじめの症状は、発熱・腹痛・黄疸(目や皮膚が黄色く染まる状態)、白色便、かゆみ、体重減少などですが、何も症状がないこともあります。
そのため、最初は気づきにくいのですが、血液検査でわかることもあります。胆道がんと関連して異常値になる血液検査の項目に「肝胆道系酵素」があります。具体的には、ALT(GPT)、AST(GOT)、γ-GTP、ALPという項目です。これらは、職場や地域の健康診断でも測りますが、異常値になるのは色々な原因がありますので、すぐにがんの心配をする必要はありません。ただし、これらの値が高かった時には、放置するのではなく、原因を調べるようにしましょう。
また、胆道がんのリスクファクターと考えられている「膵・胆管合流異常」や「原発性硬化性胆管炎」でも、腹痛・発熱・黄疸・白色便や肝胆道系酵素の異常値などをはじめとした症状や異常がありますので、何か心当たりがあったときに放置するのではなく、原因を調べるようにすることが