桜の森の満開の下

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はんびゃーぐ @ Re[1]:ママ(11/18) ともさん >この物語はおもしろいです。 …
とも@ Re:ママ(11/18) この物語はおもしろいです。
はんびゃーぐ @ Re:はじめまして(06/29) saku5319さん > 可愛い、お話。私も転…
saku5319 @ はじめまして  可愛い、お話。私も転校した事あります…

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2007.02.17
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歩くことは出来たが、右腕の肘から先が熱く痺れて力が入らなかった。また骨が折れたのだと思った。動かせる左手で額を触ると、ぬるっとした感触があった。外灯にかざさなくても鮮血だと知れた。ジンジンしてよく分からないが、恐らく頭のどこかが切れているのだ。傷の程度によっては縫わないといけないかもしれない。やっかいなことだ。
 だが、私は確かに生きていた。
 診察の結果、腕の打撲だけで入院できなかった私は、知らぬ間にうつ状態に陥っていた。あなたとの会話は以前にも増して簡素になり、外出も避けるようになった。近所のコンビニや、大好きだったパチンコ屋でさえ行くのが億劫になった。
 私は昼前に起き出して、あなたが作り置きしている食事を取り、糞をして、寝転んで漫画を読み、飽きるとテレビを観る。毎日そうやって時の流れを無視しようとしていた。それでも出て行けとも働けとも言わないあなたの庇護の下に、現実から逃げていた。それでいて私は、あなたの愛情を憎んでいた。
「何で追い出さないんだよ?」
 あるとき私はそうあなたに詰め寄った。
「はあ?」
 と、キッチンで溜まった食器を洗っていたあなたが振り返る。
「一人分余計に金が掛かんだろうがッ」
「何よ急に大きな声出して、馬鹿じゃないの?」
「生活費だよ、食費とか、俺が居るだけで出費がかさむだろって聞いてんだよ」
「そんなもん一人も二人も変わるかよ」
「変わんねえから追い出さねえのかよ」
「そうだよ、文句あるのかよ、あんた何様のつもりだよ」
 私はいったい何様なんだろう。考えても分からなかった。
 この頃からあなたは、少しずつおかしくなっていった。
 それまで寝過ごして仕事に遅刻するようなことはなかったし、まして少々体調が悪いくらいで休んだりはしなかった。あたしじゃなきゃダメな患者がたくさんいるのだとうそぶいて、熱を出し、咳をしながらもマスクをして出かけていた。あなたは自分の責任に対してとても真面目だったのだ。だからあなたが職場を放棄するということは、余程のことだったのだと思う。
 あなたは目に見えて痩せた。口数も減り、仕事を休んで一日中布団の中に潜り込んでいることもあった。当然私は心配になる。あなたが変わってしまった原因を突き止めたいと思う。だけどあなたは幾ら私がそのことを問い質しても、べつに、としか答えない。べつに、平気だよ、心配すんな、という壁を周囲に張り巡らせて、自分の殻に恋人を招き入れようとしない。恋人に心配をかけないのが恋愛のルールであるかのように。私はひねくれ者だから、それを曲解して、俺じゃ頼りにならないからか、なんてさえ思う。だから私は、ムッとする。
「べつに、平気だよ、心配すんな」
「べつにってことはないだろ、理由もないのに何で仕事休むんだよ、看護ってそんないい加減な仕事なのかよ」
「あんたに言われたくない」
「ひょっとしてあれか、病院でいじめられてんのか?」
「あんた何言ってんの? そんなの馬鹿じゃん」
「図星だろ? だっておまえ病棟でチョー浮いてたもんな」
 私の当てずっぽうは、当たっていた。
 ある日の夕方、あなたが留守の間にあなた宛の小包が送られてきた。送り主の名前は私になっていたが、もちろん身に覚えはなかった。
 デパートの包装紙に包まれた小包を開くと、中から梱包されたビデオテープと封筒が出てきた。
 封筒の中身はあなたを写した十数枚の写真だった。
 どの写真に写ったあなたも裸で、いろいろな嫌らしい格好をしていた。指をくわえて足を広げたり、ロープで体を縛られたり、見知らぬ男の上になったり下になったりしていた。あなたは私の見たことのない嫌らしい表情をさらしていた。
 いつぐらいに撮った写真だろうか。写っているのは間違いなくあなただけど、今よりちょっとだけ若いような気がした。
 今度はビデオを観てみた。映っていたのはやはりあなただった。ホテルの部屋のベッドに腰掛けたあなたは女子高生の格好をしていて、フレームアウトした男の卑猥な質問に答え始めた。初体験はいつどこでとか、おもちゃを使ってどうのこうのとか・・・。
 私の胸が、熱く早く波打っていた。あなたの過去を知った衝撃と、それとは無関係に反応する下半身の性の部分がそうさせていた。






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Last updated  2012.04.15 03:06:20
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