ゆっくりどんぐり  

ゆっくりどんぐり  

2012.06.02
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カテゴリ: まとめ

教育の本質
   受験を目的に生きる!?
   体遊び→豊かな心→優れた頭

                         白樺教育館館長 武田康弘

受験を目的に生きる!?そういう少年・少女時代をおくった人は、人間的に豊かでしょうか? 自他への愛が育っているでしょうか? 生きるよろこびを広げているでしょうか? 芯の 強さをもった優しい心の持ち主になっているでしょうか? 余裕のある心身、豊かな実力をもった魅力ある人間に成長しているでしょうか?

私 は、30 年間、多くの子どもたちと深く交わってきました。多くの相談を受けてきました。多くの家庭崩壊を見てきました。目先の狭い了見や外的価値に基づくプライド によって、人生を暗く、重く、悦びの少ないものにしている人たちを見ると、「ほんとうに不幸だな」、と悲しくなります。自分で自分の首を絞めている、でも そのことに気づかない。形だけを整えようと必死になり、どんどん中身は狭く固くなる。情報に振り回され、他者の目を気にして自分の心のありよう・物事の本 質を見ようとしないために、「出口のない世界」でもがき苦しむ。そのことで一番犠牲になるのは、誰でしょうか?

ほんとうは、一つも難しいことはないのです。自分と子どもの「ありのまま」をよく見ること。善悪を抜きに、まず、そのままを受容すること、それがはじめの=絶対の一歩です。理想・あるべき姿を追わ ず、目の前の現実を素直に見て、それを肯定し、受け入れるのです。

そういう心が基本としてあれば、自ずと心身は動き出します。ありのままを受け入れると、世界が変わるのです。受動的な意識・脅迫神経症 (きょうはくしんけいしょう) のような不安定な心・他者の評価に怯 (おび) え る弱い精神は、だんだんと薄らいでいきます。そうして、自分がよいと思うこと、自分がほんとうにしたいと思うことに「真っすぐ」になれると、心は、積極 的・能動的に、強くなります。他者がどう言うか?ではなく、少しずつ自分を信じられるようになり、心は安定を得るのです。

大 人(親・ 教師)子ども共に、そのような心の安定・広がり・発展があってはじめて、「勉強・学習」に落ち着いてとり組むことが可能になります。「心」を豊かに強いも のにすることと一緒にでなければ「頭」も鍛えられないのです。これは人間の生の原理です。けっして切り離すことはできません。

では、豊かな心を生むための基本となる条件は何でしょうか?
それは、心身全体で子どもと交わることです。抱っこ、オンブ、たかい・たかい、ふざけ合い、取っ組み合い、肩もみ(足もみ)し合い、いろいろ工夫して 体遊び をすることが必須です。率直、自由、柔軟、臨機応変・当意即妙のしなやかな心は、【心身全体による豊かな触れ合い】が生み出すもの。一本調子、融通 (ゆうづう) が利かない、頑固、臆病、ギクシャク、固い自我、厳禁 (げんきん) の精神、暴力性、居丈高 (いたけだか) 、尊大・・・は、豊かな体の触れ合いのなかった人に共通する悲劇(人生の失敗)です。

このような心の持ち主は、生きた有用な頭の使い方ができません。意味をつかみ、全体を把握 (はあく) できる健康な頭脳とは無縁です。公理・公式にあてはめるだけ、ハウツーによるパターン思考、丸暗記の事実の羅列 (られつ) 、情報に操 (あやつ) られる判断。こういう死んだ頭・機械のような不幸な頭は、上述した固く貧しい心がつくるもの。

(とら) わ れの少ない意味をよくつかめる生きた頭は、情報に操作されずに、自分が真に自分自身としてよく生きるための絶対条件です。自立した優れた頭を、私は民知と いう知=頭と呼びますが、この民知の頭をしっかり育てれば、特殊な受験校(不健全な学校)以外ならば、特別な勉強などしなくても、入試は簡単です。私は 30年間、哲学しつつ教育に携 (たずさ) わってきた者として、自信をもって断言・保障できます。

楽 しく・面 白く触れ合い、たくさんおしゃべりすることが、力のある優れた頭脳を育てる必須の条件。どんな話でも、「へ~、そうだったの、そうなのか」と聴くことが何 より一番です。それは子どもの心を心地よくヌクヌク満たします。そういう心になってはじめて、いろいろな知識や考えを吸収する準備が整い、頭が回り出すの です。子ども・人間は機械=ロボットではありません。心と頭と身体は切り離せないのです。悦 (よろこ) びのないところに、よきものは何一つ生まれません。みなの役に立つ優れた頭脳は育ちません。

心身の豊かな触れ合い、楽しい対話、この何より一番大切なことが極めて不十分にしか行われていないところに、教育からはじまる日本のすべての人間・社会問題の元凶 (げんきょう) があります。これが、型はまりの様式主義の文化を生んでしまいます。
子どもの話を聞かずに、「こうしなさい、こうすべきです」、という躾 (しつけ) と称する言説は、正直な心、自分の感じるところ・思うところにつき、そこから真に自分の頭で考えるという何よりも重要な営みを元から潰 (つぶ) してしまいます。哲学は成立しようがありません。 頭の芯に「脅迫観念」が植えつけられて、紋切り型 (もんきりがた) の面白みのない人間や、肩書きだけで実力と魅力に乏しい人間しかつくりません。テレビで政治家や官僚の顔を見れば誰でも分かるでしょう(全員とはいいませんが・笑)。まさに「顔は顕現する」 (レヴィナス) です。

子どものありのままを受け入れ、よく付き合い、それを楽しむこと、それが教育の本質=原点です。理想・あるべき姿を追う愚かで弱い精神からの脱却が急務です。「幸福をつくらない日本というシステム」 (ウォルフレン) を変えていくためにも。有用な優れた頭を育てたいならば、何よりもまず楽しくなれる「心の環境整備」が必要です。闘争・蹴落 (けお) とし・勝ち負け・ギスギスの心は、遅かれ早かれ必ず人格破綻 (はたん) をもたらします。

他者への優越・抑圧に過ぎない単なる「事実学」の集積ではなく、生活世界に根差した生きたほんものの知=「意味論」でなければ、有用な価値ある「知」にはなりません。 心身全体による豊かな交流が、意味の分かる生きた有用な頭を育む 、が結語です。


(2007.3.19)

武田先生ありがとうございます。






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最終更新日  2012.06.02 07:05:13
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Re:白樺教育館とどんぐり倶楽部(3)(06/02)  
うり坊 さん
こんにちは。

>理想・あるべき姿を追わず、目の前の現実を素直に見て、それを肯定し、受け入れるのです。

同じことを昨日偶然考えていました。
何故なら自分(や友達、大人)に対しては「理想は要らない、邪魔なだけ」と思っていたのに、子どもに対しては「理想像」がまだ残っていた自分に気がついてしまったからです(><)イタタタタ。
どんぐりでいう「理想の子ども像」も要らない、今となってはそう思います。何故ならその理想に向かうための「手法」になるから。
ありのままを受け入れる、って「理想」も「手法」もないんですよね。
まだ考え中ですが・・・。 (2012.06.06 12:45:31)

Re[1]:白樺教育館とどんぐり倶楽部(3)(06/02)  
うり坊さん

こんばんは。コメントありがとうございます。
確かに「どんぐり」も手法であることは確かですね。
きっと人間が人間らしく自然と向き合って生きることを選択していたら、教育の手法など何もいらないのでしょうね。すべての教えが周りにあるのですから。
「どんぐり」は今の環境の中で人間として生きてて行くための思考力を育てる具体的な手法を授けてくれたのだと思います。
これでもかと思考力を育てない教育・環境が意図的に推進されているのですから。ごめんなさい。答えになっていませんね。
うり坊さん、何か見えたらまた書き込んでくださいね。お願いします^^。


>こんにちは。

>>理想・あるべき姿を追わず、目の前の現実を素直に見て、それを肯定し、受け入れるのです。

>同じことを昨日偶然考えていました。
>何故なら自分(や友達、大人)に対しては「理想は要らない、邪魔なだけ」と思っていたのに、子どもに対しては「理想像」がまだ残っていた自分に気がついてしまったからです(><)イタタタタ。
>どんぐりでいう「理想の子ども像」も要らない、今となってはそう思います。何故ならその理想に向かうための「手法」になるから。
>ありのままを受け入れる、って「理想」も「手法」もないんですよね。
>まだ考え中ですが・・・。
-----
(2012.06.06 21:16:53)

感謝です。  
タケセン=武田康弘 さん
よく紹介して頂き、ほんとうに感謝です。
いま、糸山泰造さんの本を紹介するブログを書いたところです。
これからも子どもたちのために、共に愛を。 (2012.06.08 00:00:09)

Re:感謝です。(06/02)  
タケセン=武田康弘さん
さきほど「思索の日記」拝見させて頂きました。
私のブログも大々的にリンクして頂いてありがとうございます^^;
「どんぐり」のご紹介ありがとうございました!
一人でも多くの子供たちが出会えますように。


(2012.06.08 23:21:02)

Re[2]:白樺教育館とどんぐり倶楽部(3)(06/02)  
うり坊 さん
にんじんレモンさん

>これでもかと思考力を育てない教育・環境が意図的に推進されているのですから。

「何でもかんでも小さなうちから早く的確に色んな事を出来るように」を「理想」としている現代の教育方針は、そもそも「間違っている」、少なくとも今の私には受け入れられない「理想」だから、そこを排除して守るというのは重要だと思っています。
それは本人の意思とは関係なく、学校や教師という別の大人の思惑が子どもに作用することなので、子どもの「ありのまま」とは違うし、「好きなように遊べ」と言って地雷原を放置するようなことはないですよね。

私が「これは危険、または違和感がある、個人的に嫌」と思うものを取り除くだけ取り除いて・・・あとはもう「お好きなように成長してください」かなぁ。
(2012.06.16 10:51:22)

Re[3]:白樺教育館とどんぐり倶楽部(3)(06/02)  
うり坊さん

そうですね。今となっては理想像は作られて、宣伝されて飼いならされてと繋がっていくのが良く分ります。この社会における子供の理想像は間違っていると気付き、親が子供を守っていくことが今とても大切なのだと思います。
子供だけではないですね。まず大人たちこそ社会の真実にもっと目を向けて気付き、考えて行かなければいけない時期に来ている。そう思います。

>私が「これは危険、または違和感がある、個人的に嫌」と思うものを取り除くだけ取り除いて・・・あとはもう「お好きなように成長してください」かなぁ。

私も押し付けない程度に取り除いているつもりですが、難しいですね。特に意図的に発信されるものについては。

(2012.06.16 18:00:54)

理想について。  
タケセン さん
理想について書いたブログがあるのですが、よろしければ読んでみてください。どう思われますか?
「理想を追う」という姿勢が、人間を不幸にし、社会をダメにします。
http://blog.goo.ne.jp/shirakabatakesen/e/b79f1d200d3bfde6ec88395e6cd017a9
(2012.06.20 00:37:21)

Re:理想について。(06/02)  
タケセンさん
こんばんは。
ご紹介ありがとうございます。
ちょっと私には難しいので、少し考えてみますね。

>理想について書いたブログがあるのですが、よろしければ読んでみてください。どう思われますか?
>「理想を追う」という姿勢が、人間を不幸にし、社会をダメにします。
>http://blog.goo.ne.jp/shirakabatakesen/e/b79f1d200d3bfde6ec88395e6cd017a9
-----
(2012.06.20 23:14:09)

Re:白樺教育館とどんぐり倶楽部(3)(06/02)  
うり坊 さん
横からスミマセン。

>「理想を追う」という姿勢が、人間を不幸にし、社会をダメにします。

最近夫婦でそんなことをよく話し合います。「理想」は自分自身に対しても、他人に対しても、そして他人から作られた自分の理想像も、往々にしてマイナスに作用する、と。

1年前の私です
http://ricas.blog92.fc2.com/blog-entry-576.html

今の私です。
http://ricas.blog92.fc2.com/blog-entry-700.html

正直言ってどんぐりに出会った頃は「理想の子ども像」を目指していました。つい最近まで、かも。でも、それすら要らない。ここまで来たか、私(笑)と思います(^^; (2012.06.21 18:03:59)

「どんぐり」もあるべき姿(理想)なのか?  
どんぐりを知った時、この教育方法に間違いないと
感じました。どんぐり問題の絵のイメージが描けるようにしたい。解くことが出来る 子供にしたい。 と思った瞬間からそれはどんぐりが理想になり こどもにその理想を押し付けることになる。 だから思ったように子供が出来なかった時や 自分から進んでやらない子供に対して、 酷いことを言ってしまった。 理想から外れた子供に対してイライラしたのでしょう。 確かに私はどんぐり問題が出来る子供を理想として追っていたのです。 
とても危険な状態にあった訳ですね。
どんぐりの手法は素晴らしいけれど、 どんぐり問題が出来る子供を理想としてしまう親は、学校や塾の成績に 一喜一憂している親とまったく同じで、小我ということでしょうか?

では自らの経験から良いと感じ、ああなりたいという理想を持つことは
どうなのでしょうか?それでも理想を追うことは、自己の思想や感情を絶対化させてしまうのでしょうか?
たとえ自らの気持ちから湧き出た理想であっても、理想を追うことは意識の固定化を招き、
ゆるぎない。頑固。硬い。 しなやかな思考が出来ないという感情支配に繋がるのかも知れないですね。

「憧れ・想う」とは固定化されない良いイメージを意識すること。自由な自分でいることが大切なのかな。
 そして他者の考えも受け入れる自由さを用意をしておくこと。
「自由闊達で豊かな心、創意工夫、臨機応変、当意即妙」

今回コメントをして頂きました。タケセンさん、うり坊さん、私に考える機会を頂き感謝します。

(2012.06.23 08:04:28)

とらわれのない心  
タケセン=武田康弘 さん
考え方にしても、
よいイメージ、美しいイメージ、
こころの想い、
にしても、
固定化=定式化してしまうと、意識=精神は絶対化されて、ほんらいの自由を失い「もの」化してしまいます。意識の死です。
どのような思想やまた方法も、日々の生を輝かし、豊かにし、日々の学びを活かす一アイテムとして遇することが大切だと思います。
どんな本や教材からも、自由な精神があれば、それを活かすことができます。どんぐり教材しか見ないという絶対化は、どんぐりの目指す世界とは異なるでしょう。何事も一つに固定しない方がよいはずです。自由にのびのびと、大胆なまでに!
(2012.06.25 00:55:17)

Re:とらわれのない心(06/02)  
タケセン=武田康弘さん

>どんな本や教材からも、自由な精神があれば、それを活かすことができます。どんぐり教材しか見ないという絶対化は、どんぐりの目指す世界とは異なるでしょう。何事も一つに固定しない方がよいはずです。自由にのびのびと、大胆なまでに!

どんぐりの目指す世界は柔軟な思考ですものね。
今回のコメントのやりとりは、とても勉強になりました。もったいなので、表に出そうかなと考えています。ありがとうございました。

(2012.06.25 21:37:12)

どうもありがとうございます。  
タケセン=武田康弘 さん
ありがとうございます。
もし、表に出されたなら、お知らせ下さい。
わたしのブログにもそのまま載せさせて頂きたいので。
shirakaba2002@k.email.ne.jp (2012.06.30 01:11:00)

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