勝手に映画批評

勝手に映画批評

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

クロサウルス

クロサウルス

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

ミリオン@ Re:ダイ・ハード4.0(10/31) こんばんは。 ヘリコプターに乗るのが楽し…
ミリオン@ Re:ザ・ウォーカー(10/29) こんばんは。 アメリカは素敵ですね。行く…
ミリオン@ Re:イーグル・アイ(10/25) こんばんは。 アメリカ映画は面白いですね…
ミリオン@ Re:ダイ・ハード3(10/24) こんばんは。 アメリカ映画は面白いですね…
ミリオン@ Re:ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一発(10/23) こんばんは。 映画は面白いですね。見るの…
2011.07.18
XML
カテゴリ: 戦争


「フルメタル・ジャケット」 Full Metal Jacket 1987年 アメリカ映画

監督 スタンリー・キューブリック

 今まで、SF系ばかりだったので、今回は戦争映画です。

 この映画は、2部構成です。前半部分は国内での海兵隊の新兵の訓練の描写、後半はベトナム現地での市街戦の場面です。

 新兵たちを訓練するのは鬼教官です。常に汚い言葉で、罵倒と叱責の連続です。軍隊の訓練ですから、もちろん肉体的に非常に厳しい訓練です。その上、教官から罵倒され精神的にも追い込まれます。肉体・精神の両面で極限状態に置かれ、思考停止状態にもっていく、洗脳の常とう手段です。こうして命令に忠実に従う殺人機械を作っていくのです。なんとこの鬼教官、役者ではなく、本物の海兵隊の元教官だそうです。こういう訓練が現実の軍隊でも行われていたのではないでしょうか。

 訓練生のひとりレナードは、肥満体で、顔に締まりがなく、不器用で動きが鈍かったため、鬼教官から「微笑でぶ」と呼ばれ、目の敵にされていました。彼が厳しい訓練についていけず失敗するたび、連帯責任で全員にペナルティを科します。ある時、飲食厳禁の寝室のレナードの荷物からドーナツが発見され、連帯責任で全員罰を受けます。その夜、訓練生たちはレナードをベッドに縛り、全員でリンチします。次の日からレナードの目つきが変わり、射撃訓練の意外な好成績で鬼教官にほめられるレナードの眼には狂気がうかんでいます。卒業前日、班長の「ジョーカー」はトイレでライフルに実弾をつめるレナードを発見し、鬼教官と一緒になだめようとしますが、レナードは鬼教官を撃ち殺し自殺してしまうのです。

 後半はベトナムです。報道部の「ジョーカー」は、前線の取材を命ぜられ、同期の「カウボーイ」の部隊に同行して、敵が撤退したはずの破壊された市街地に、確認に向かいます。トラップにひっかかり指揮官を失い、謎の敵から狙撃を受け、部隊は混乱します。多くの仲間を失いながら、何とか狙撃手のいるビルにたどり着いた「ジョーカー」たちは、敵を倒します。狙撃手はたった一人のベトナム人少女でした。「ジョーカー」は虫の息の少女に涙をにじませながらとどめを刺します。

 多くのベトナム戦争映画に描かれている泥沼のジャングル戦はありませんが、この戦争の悲惨さ無意味さは、リアルに十分に伝わってきます。前半の訓練所の過酷さは、ベトナム帰還兵が精神的におかしくなっていく原因は、戦闘の悲惨さだけではないのではないかと思わせます。後半の戦闘場面では、とっくに撤退していた敵の幻影を恐れ、命を落としていく無意味さを描いているのではないでしょうか。さすがキューブリック監督と思わせる一編です。「博士の異常な愛情……」の変な博士や、「2001年宇宙の旅」のボーマン船長や、「時計じかけのオレンジ」のアレックスや、「シャイニング」のジャック・ニコルソンなど、狂気的なものを描かせたら天下一品です。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2011.07.18 06:39:42 コメント(1) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: