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2011.08.08
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カテゴリ: 時代劇


監督 塩田明彦
出演 妻夫木聡 柴崎コウ 瑛太 中井貴一 

 手塚治虫原作の同名漫画の実写映画化です。原作通りではありません。でも、ひとつのエンターテイメントとして、なかなか楽しめる作品になっています。これはこれでアリかなと思ってしまいました。

 「どろろ」は、先述の「デビルマン」同様、映画ファンで漫画ファンの僕としては、いつか実写映画が見たいと思っていた作品のひとつです。しかし、原作通りはまったく望んでいませんでした。というのも、「どろろ」の原作というのが、失敗作だからです。

 漫画「どろろ」は、1967年に「少年サンデー」で、連載が始まり、暗い陰湿な内容から不人気で、翌年打ち切られています。しかし、なぜかTVアニメ化が決まり、1969年「冒険王」で連載が再開されました。でも、結局は最後まで描ききれず、中途半端で連載終了しているのです。

 室町時代の武士醍醐景光は、ある寺で48体の魔像に天下取りを祈願し、生まれてくるわが子の体をささげることを誓います。やがて生まれてきた子どもは、体の48か所が欠損しているこけしのような姿で、川に流されてしまいます。その子が成長したのが、主人公の百鬼丸(どろろではない)です。百鬼丸は、自分の体を取り戻すために戦います。魔物を一体倒すたびに、体の1か所がもどるのです。
 はじめのうちは、苦労して魔物を倒していく様子が、一体ずつ描かれていきます。そして、体の一部が戻るたびに、「見える!見えるぞ!!」(目が片方戻った時のことです。)というように、喜んでいる描写もあります。
 しかし、だんだんはしょってきて、30体の魔物がいっぺんに襲ってくるというような無茶な話になってきます。明らかに打ち切りが決まったので急いでいるという様子なのです。しかも、30体全部は倒せなくて、戦いはまだまだ続くという感じで終わるのです。


 しかし、この「どろろ」の、自分の体を取り戻すために魔物と戦い続ける孤高の主人公、という設定は素晴らしいと思います。時代が早すぎただけです。今、青年誌や恐怖マンガ専門誌などに連載すれば、大人気になるはずです。そうすれば、わざわざ子ども向けに子どもの主人公(どろろのことです)を出さなくても、おどろおどろしい雰囲気のいい作品になったはずです。そう考えると口惜しくて、コール少年に一肌脱いでほしいほどです。

 だから、「どろろ」の実写映画をつくるなら、長いシリーズになることを覚悟して、本来のストーリーを最後まできちんと作って、百鬼丸の願いを成就させ、五体満足の体に戻してあげてほしいと思っていたのです。でも、そうすると、一本の映画で4.5体の魔物を倒すとしても、10本くらいのシリーズになって、「ハリー・ポッター」(8本)よりも長くなってしまいます。それだけの覚悟と度胸と技術が、日本の映画界にあるわけないので、残念ながら実現不可能と思っています。(ワンパターン映画のシリーズを48本もつくる度胸はありますけどね。)

 ということで、僕の夢の実現には全くなっていませんが、原案だけ借りた全く別の楽しめる映画という意味で、今回の映画「どろろ」はなかなか良かったと思います。

 しかし、最近手塚漫画の映画化が続きますね。「MW」といい、「ブッダ」といい、「ATOM」といい。そういえば、手塚先生だけでなく「カムイ外伝」や、あのくそ「デビルマン」や、「ゲゲゲの鬼太郎」なんかもあったね。ドラマでも「怪物クン」とか。

 僕としては、手塚先生の「陽だまりの樹」を大河ドラマの原作にしてくれないかなと思っています。去年、大河は「龍馬伝」(オリジナル脚本)でしたが、3年ぐらい前、大河で「竜馬」をやると聞いて、「おーい!竜馬」が原作かなと淡い期待を持ってしまいました。(司馬遼太郎の「龍馬がゆく」はすでにずいぶん前に原作になっているので。)





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Last updated  2011.08.08 16:28:06 コメント(1) | コメントを書く
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