名無し人の観察日記

名無し人の観察日記

2006.09.05
XML
テーマ: 戦争反対(1197)
カテゴリ: 戦争と平和
 米海軍の イージス巡洋艦「シャイロー」 が横須賀に入港し、これに対して地元の反戦団体が抗議の海上デモを行ったと言うニュースがありました。
 まぁ、米海軍の艦艇が来る度に反戦団体が騒ぐのは風物詩みたいなもんですから、あまりニュースバリューがあるとも思えないのですが、「シャイロー」が海上発射型MD(ミサイル防衛)対応能力を持つ艦である、となれば話は変わってきます。
 要するに、北朝鮮が日本に向けて弾道ミサイルを発射するような事態が発生した場合、「シャイロー」がいるのといないのとでは、かなり対処能力に差が出てくるわけです。
「シャイロー」がいないがために、撃ち漏らしたミサイルが横須賀に落ちて、 反戦団体の皆さんも一緒に吹っ飛ばされたとしても 、どこにも文句は言えませんね。まぁ、そうなったらそうなったで、 日米に抗議する のが反戦団体の皆さんでしょうけど。

 さて、反戦団体の皆さんはどういう口実で「シャイロー」の配備に反対していたのでしょうか?  彼らのHP を覗いてみましょう。



ミサイル巡洋艦「シャイロー」は大幅に遅れて12号バースに接岸し、米軍は北朝鮮のミサイルを念頭に置いた政治的なセレモニーを行いましたが、私たちは東アジアの軍事的緊張をもたらすミサイル防衛には今後とも反対していくつもりです。
詳しくは「追跡!在日米軍」でも見ることが出来ます。

ミサイル巡洋艦「シャイロー」(CG67)はハワイ沖での演習においてもSM3(スタンダードミサイル)の実験に成功したと宣伝され、今回の横須賀配備となりましたが、ミサイルによる防衛とは名ばかりで極めて攻撃的な艦船です。
駆逐艦が90基のVSL(垂直発射装置)を備えているのに対してミサイル巡洋艦「シャイロー」は120基・発射できるトマホークの性能は3000キロを超えています。北朝鮮を射程内に置くだけではなく、ロシア・中国をも攻撃できる能力を備えています。





 なるほど、「シャイロー」の目的は、MD対応と言うのは 口実 で、本当はトマホークミサイルで北朝鮮や中国やロシアを攻撃するためだと言いたい訳ですね。 福島瑞穂女史 よりはスマートな言い分です。
(※上記URL内を「B52」をキーワードにして検索してみましょう)

 ですが、結局は 「私たちは米軍が嫌いです!」と言いたいだけ の、不純な動機に基づく反対ですね。トマホークミサイルなど、実戦配備から既に20年以上も経つ兵器であり、横須賀に入港する艦艇が装備し始めたのも、昨日今日の話ではありません。
 トマホークを口実にMD対応艦を日本から追い出し、 自分たちの愛する北朝鮮を側面援護したい と言うのが見え見えです。トマホークが日本から外国へ届くから危ない、と言うなら、 外国から日本へ届く弾道ミサイルにも反対しなければ、筋が通らない でしょうに。
 まぁ、反戦団体が スタンダードミサイルならぬダブルスタンダード を駆使するのは、今に始まった事ではありませんけどね。

馬鹿げて います。だったら 「防衛的な艦船」 なら問題ないのでしょうか? それなら自衛隊のイージス艦はトマホークを積んでいない、「シャイロー」に比べれば「防衛的な艦船」になるはずですが(笑)。でも、 2002年の同団体の活動記録 には、自衛隊のイージス艦「きりしま」にも反対している様子が見えますね。

 そもそも、兵器とは「攻撃」にも「防衛」にも使えるものが大半です。北朝鮮のテポドンだって、あれの存在ゆえに北朝鮮を攻撃できない事を考えれば、立派に「北朝鮮の防衛」には寄与しています。

 そうした中で、イージスシステムやMDは珍しく「防衛」専科の兵器という事ができます。


 ではイージスシステムとは何か、と言いますと、わかりやすく言えば

「高性能のレーダーとコンピュータを組み合わせて、同時にたくさんの対空目標(主にミサイル)を撃ち落とすためのシステム」

 と言う事になります。どういう原理かは重要ではないので割愛します。
 元来は冷戦時代に大量の対艦ミサイルを持っているソ連海軍の脅威に対抗して作られたシステムですから、これ自体には攻撃的な性質はありません。 飛んでくるミサイル(と、その発射母機)を効率的に撃ち落すだけ が目的です。人間に例えると、それまではハエ叩きだけで害虫と戦っていたのが、殺虫剤のスプレーを使うようになった感じでしょうか。

 じゃあ、トマホークミサイルは何なんだ、と言われるでしょうが、トマホークは発射装置が搭載されていれば、 どんな軍艦でも爆撃機でも発射できます 。事前にインプットしておいた目標に向かって自動的に飛んでいくだけの代物ですから、 イージスとは関係がありません
 実際、イージスが普及する前の米海軍の艦艇にも、トマホークの発射装置は積まれていましたし、湾岸戦争で実戦に使われています。

 現在の米海軍では非イージス搭載艦は殆どが退役するか、その順番待ち状態で、現役の軍艦はイージスばかりになりつつあります。要するに「シャイロー」はもともとは防御用の特別な軍艦だったのが 、普及してイージスが普通になった ため、攻撃的な任務も担当するようになったというわけです。

 その辺りを混同して、イージスとトマホークが関係あるように見せかけて反対する、というのは、 無知でなければ詐欺です 。さて、ヨコスカ平和船団はどっちなのでしょうか。 両方でない事を祈ります

 さて、最後に同団体のHPを見て思った事を一つ。

>強大な軍事力で相手を完全に屈服させようという発想は誤りというほかない。私たちはだから、横須賀基地の増強に反対し続ける。

 同団体の皆さんが 大嫌いであろう 「侵略主義者の悪の日本帝国」はアメリカの「強大な軍事力」によって「完全に屈服」させられたわけですが、そういう歴史を彼らはどう捉えているのか。大変気になるところです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.09.05 23:53:53
コメント(7) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Favorite Blog

YouTube動画 "台湾… New! ケルンコンサートさん

Comments

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: