Wordbook of Kurumimochi くるみもちの単語帳
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先週末より奈良国立博物館で「第57回正倉院展」が開催されています。(11月14日まで) 連日盛況なので、混雑を避けて平日の午後に訪れてみました。今年の一番人気は「木画紫檀棊局(もくがしたんのききょく)」で聖武天皇愛用の碁盤です。盤面は象牙で四角く画され、それぞれに正方形の紫檀が埋め込まれている手の込んだものです。側面には繊細な文様が施され、対角線上に二つの引き出しも設けられています。引き出しにはそれぞれ亀と鼈(べつ:すっぽんのこと)を模った棊子(きし:碁石)を入れる容器が納められています。期待通りの贅を尽くした逸品です。この棊局を納めた容器や棊子も素晴らしい工芸品で、近くに展示され賑わっていました。棊局を納めた容器の表面は六角形に区切られていますがこの亀甲文は象牙ではなく鹿角(ろっかく)で画されています。亀の碁入れに亀甲文の収納箱と洒落ています。棊子は現代のように白黒の一対もありましたが、撥鏤(ばちる)といって、象牙に染色を施しこれを彫って白い文様を浮き上がらせた赤・紺の一対も展示されていました。花喰鳥(はなくいどり)が描かれた可憐なもので、展示ケースには虫眼鏡が備え付けられていて細かな手仕事を確かめることができました。 私が一番興味を持っていたのは「馴鹿角(じゅんろくのつの)」です。馴鹿はトナカイのことなので英語の表示はreindeer antlerになっていました。鹿の角なら土産物屋の店先で見かけるけれどトナカイの角とは珍しい。それも正倉院に収蔵されていたなんて。聖武天皇や光明皇后もトナカイの角を目にしていたのかしら?残念ながらこの馴鹿角は南倉(※1)の収蔵品で、記録(※2)としては天平時代に遡れません。元禄6年に「鹿角」としての記録が残っているそうです。実物は鹿角より大きく太く、白っぽい感じ。奈良の鹿は大人のオスしか角が生えないけれど、トナカイはメスにも生えるそうです。毎年生え変わるのは鹿もトナカイも同じです。 数年前から正倉院展では英語版目録が別冊で販売されていますが、今回はコンパクトなA5サイズ(拙書Do You Believe in Santa Claus?と同じ大きさ!)になっていて、携帯しやすくお勧めです。※1 正倉院は北倉・中倉・南倉の3つに区切られていますが、北倉は聖武天皇が崩御された後、光明皇后が供養のために東大寺に奉納した宝物が納められているので、天平時代またはそれ以前に遡れます。前述の棊局や棊子は北倉の収蔵品です。南倉は江戸時代まで東大寺の倉として使われてきたのでいろんな時代のものが納められています。※2 正倉院宝物の稀有さは「伝世品」-由緒がはっきりしていて代々大切に保管されてきた-であること。世界的な宝物の多くが「出土品」-いったん忘れ去られたり、行方不明になっていたのが見つけだされたもの-であるのと大きく異なります。北倉の宝物の多くは『国家珍宝帳』などの目録に品目や数、形状、何に使われたなのかを細かく記されています。そのほかの宝物も曝涼(ばくりょう:虫干しのこと)などの折に詳細な記録が残されています。
November 3, 2005
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