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2025.11.20
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カテゴリ: 古生物学、進化
 アメリカ、ワイオミング州で新たに見つかった2体のエドモントサウルス・アネクテンス( Edmontosaurus annectens )の「ミイラ」についての論文が、アメリカの科学誌『サイエンス』10月23日号で発表された。後足の蹄や背中の肉質の突起(クレスト)などの痕跡がよく保存されており、このような化石が出来上がる謎を解く鍵になりそうだ。

◎ミイラ化されていた白亜期末の北米北部のエドモントサウルス
 ミイラといっても、古代エジプトのような化学的に防腐処理をしたものではない。皮膚の痕跡が岩石の中の薄い層として残された化石、を指している。こうしたミイラ化石を綿密に調べることで、おなじみの恐竜たちの骨だけでは分からない外見を解明できる。
 また、恐竜のミイラの化石が生まれる過程が明らかになるにつれ、この奇跡的な保存状態は、かつて考えられていたほど珍しいものではない可能性があると分かってきた。
 こうして姿が明らかになりつつある恐竜の1つが、冒頭で述べたエドモントサウルス・アネクテンスだ( 写真 )。これは「カモノハシ竜」とも呼ばれるハドロサウルス類の恐竜の一種で、6800万~6600万年前のアメリカ、モンタナ州やカナダのサスカチュワン州あたりの氾濫原を歩き回っていた。白亜期末の小惑星衝突の直前の頃だ。





◎泥に覆われた海岸近くにいた、ミイラ化石の理想的環境
 約6600万年前、エドモントサウルス・アネクテンスは泥に覆われた海岸線近くに生息していた。これは、「ミイラ化石」を生み出すのに理想的な環境だ。ワイオミング州東部に当たる一部の場所では、恐竜の死骸が洪水で埋まり、化石化した骨を覆った粘土層に肉質の表面の形状が残ったと考えられる。
 新たに見つかったのは、子どもと成体のエドモントサウルス・アネクテンスの標本だ( 下の写真 から死亡時の年齢が2歳くらいと見られる幼体のミイラ、「エド・ジュニア」と呼ばれる、 その下 はエド・ジュニアの背中のウロコ状の皮膚、 その下 は「エド・シニア」と呼ばれる成体の後足、 下の写真の下 はエド・シニアの皮膚)。そこに保存されていた特徴は、古生物学者たちの仮説を裏付けるものとなった。例えばこの恐竜の後足の指には、蹄や爪のような硬い部分があった。腰から尾の先にかけて、とがったウロコが重なり合って並んでおり、それが背骨につながっていた。この特徴が完全な形で見つかったのは初めてのことだ。









 まさにドラゴンのようだった、と話すのは、アメリカ、シカゴ大学の古生物学者で、今回の論文の共著者の1人であるポール・セレノ博士だ( 写真 =エドモントサウルス成体のミイラの足に残されたひづめの保存状態に驚くポール・セレノ博士)。



◎1世紀以上前から見つかっていたエドモントサウルスのミイラ
 ただ、恐竜「ミイラ」は初めてではない。
 北米西部では、かなり昔からエドモントサウルスのミイラが見つかっている。初めて見つかったのは、1世紀以上前の1908年のことだった。広い範囲にわたって骨の周囲の岩石に皮膚の痕跡が残されていたことから、こういった標本はミイラと呼ばれるようになった。それ以来、このような化石から、ウロコ状の皮膚などの軟組織が見つかっている。
 この良好な保存状態が保たれるには、恐竜が死んだ後、すぐに堆積物に埋もれることが必要だと考えられてきた。しかし詳しい調査が進むにつれて、別の可能性が浮上している。むしろ、死後数週間から数カ月にわたって地表に露出していたことが、このような珍しい化石の誕生につながったようなのだ。恐竜のミイラの出来方は、1つではない。

◎死肉漁りに一部が食われて
 2022年にクリント・ボイド博士とステファニー・ドラムヘラー・ホートン博士らが提唱した説によれば、「ダコタ」と呼ばれるエドモントサウルスのミイラは、一部が死肉漁り動物に食べられるほど長い間地表に露出していた。そしてそのことが保存に役立った。
 博士らの論文によると、死肉漁り動物と腐食の過程によって、恐竜の体に穴が開き、そこからガスや体液、微生物が放出されたことで、丈夫なウロコ状の皮膚や前足の蹄が乾燥し、骨とともに保存され、そのまま堆積物に覆われたという。
 今回ワイオミング州で見つかったミイラは、別の過程をたどったものかもしれない。セレノ博士らの説明によると、化石のとがったウロコと後足の蹄状の部分は、硬い砂岩に挟まれた薄い粘土層で出来ていた。薄い粘土層が腐敗する恐竜の体にくっつき、軟組織の形状が保持され、いわば恐竜の型が取られたようになったのだ。
 粘土層の厚さは、約0.25ミリという薄さだった、とセレノ博士は言う。とても薄いので、発掘や下調べの際に見落としてしまう可能性もある。微粒子だらけの場所で作業していたが、それを取り除きすぎてしまうと、完全に見逃してしまうことになるという際どい地層環境だった。

◎かなりの確率で残るハドロサウルス類のミイラ
 皮膚やその痕跡が残された化石は、エドモントサウルス以外にも見つかっている。サウロロフスやグリポサウルスといったハドロサウルス類の他、ティラノサウルスや角竜類、竜脚類などだ。しかしミイラと呼べるほど十分な皮膚が残されているものばかりではない。広範囲にわたって皮膚が残されているのは、ほとんどがハドロサウルス類だ。
 全身の骨格でなくとも、関節を含むハドロサウルス類の骨が見つかれば、かなりの確率で多少の皮膚の痕跡が含まれている、とカナダ、ロイヤル・ティレル古生物学博物館の研究員であるフランソワ・テリエン博士は語る。
 恐竜のミイラのことは古くから知られてきたが、それまで考えられてきた以上によくあるものだと分かってきたのは、ごく最近のことだ。
(以下、続く)

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Last updated  2025.11.20 02:26:46


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