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2025.11.27
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カテゴリ: 天文学
 地球とランデブー状態で太陽の周りを周回しているが、見た目には月のように地球の周りを回っている、という天体がある。「準衛星」という。
 月とは異なるのは、前記のように地球の重力に捕らえられておらず、実際には太陽の周りを回っているのだ。しかし準衛星は、地球とほぼ同じ軌道と公転周期を持つため、地球からは見かけ上、地球の周りを回っているように見える( 想像図 )。



◎準衛星「PN7」60年ほど前から地球に
 太陽系にわくわくするようなニュースが飛び込んできた。学術誌「Research Notes of the AAS」に先ごろ発表された論文によると、ビルほどの大きさの謎の小惑星が、地球と並走して太陽の周りを回っていることが分かったのだ。PN7と名付けられたこの天体は、今年の夏まで天文学者も知らなかったが、実は60年ほど前から「準衛星」としてひそかに地球に寄り添っていたという。
 アメリカ、メリーランド大学の天文学者であるベン・シャーキー博士がPN7について最初に聞いた時に思ったのは「また見つかったか」。というのも、地球の近くには衛星のような小さな天体が常にあり、PN7はその最新の発見にすぎないからだ。
 地球にはPN7のような準衛星が他にもある。これらの準衛星は実際には太陽の周りを回っているのだが、地球とほぼ同じ軌道と公転周期を持つため、あたかも地球の周りを回っているかのように見える。

◎地球の重力に捕らえられ「ミニムーン」も一時的
 準衛星に似た天体には「ミニムーン」もある。こちらは実際に地球の重力に捕らえられ、一時的に地球の周りを回ってから地球重力圏から脱出する。
 準衛星もミニムーンも、地球の唯一の衛星として宝石のように夜空に輝く神秘的な月とは比べものにならないほど小さい( 写真 =古くから人々に愛でられた月)。そのためどちらも、暗闇の中で高速で動く小惑星が反射するかすかな太陽光を捕らえられる強力な望遠鏡でないと見えない。それでも、こうした天体が新たに発見されるたびに、「地球には、私たちが思っている以上にたくさんの『月』がある」という嬉しい事実を思い出させてくれる。





 「私たちは普段、太陽系のことを、整然とした変わらないシステムのように考えているが、時々発見される準衛星やミニムーンは、実際にはそうではないことを実感させてくれる」と、シャーキー博士は言う。

◎PN7で発見された準衛星は7個目
 シャーキー博士によると、準衛星は、重力的な偶然によって地球と軌道を共有したり出ていったりすることがあり、地球の重力の影響もわずかに受けているという。これまでに見つかっている準衛星の大きさは、たった9メートルから大きくても300メートルほどで、幅がある。今のところPN7は最小クラスである可能性が高い。
 PN7は今年8月下旬にハワイのパンスターズ天文台によって発見されたが、地球と同期したのは、人類が初めて月に降り立つ前の1960年代半ばだったと考えられている。ただ地球とランデブーしているのも長いことではなく、2083年に太陽の周りを回る別の軌道に移行すると科学者たちは予測している。同じくパンスターズ天文台によって2016年に発見された「カモオアレワ」という準衛星は、約1世紀にわたってこの状態を保っていて、今後300年間は同じ状態を維持すると見られている。

◎24年に発見されたミニムーンはわずか2カ月で地球重力圏から飛び去った
 ミニムーンも重力的な偶然の産物だが、実際に地球の重力に捕らえられている点で準衛星とは異なる。ミニムーンが地球の周りを回るのは通常は1年未満だ。その軌道は非常に不安定で、簡単に脱出してしまう。天文学者がこれまでに観測したミニムーンは5個で、2024年に発見されたスクールバスほどの大きさの最新のミニムーンは、わずか2カ月で地球から飛び去っていった(25年2月20日付日記:「一時『第2の月』となった小惑星『2024 PT5』はかつて月の一部だった」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202502200000/、及び24年10月12日付日記:「地球に期間限定の『第2の月』が出現、小惑星が重力に捕獲され周回中」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202410120000/を参照)。
 ミニムーンのほとんどは、非常に小さく、岩ぐらいの大きさなので、検出するのは難しい、とフィンランド、トゥルク大学の天文学者のグリゴリ・フェドレツ博士は言う。現時点で地球の周囲にあるミニムーンは知られていないが、フェドレツ氏の分析によれば、地球には常に数メートル程度の大きさのミニムーンが1個はあるという。同じくらいの大きさのミニムーンが6個あるかもしれないとする別の分析もある。

◎そもそも衛星とは何なのか?
 岩をミニチュアの衛星と呼ぶのは無理があるように思えるかもしれない。同じことは、観覧車ほどの大きさのカモオアレワのような小さな準衛星にも言える。実は、天文学者たちは、衛星のようにふるまう天体を分類する公式なルールを持っていないのだ。
 例えば2018年には、ある科学者チームが、月とともに地球の周りを回る宇宙塵の雲「ゴーストムーン(幽霊衛星)」を2個発見したと報告した。それぞれの雲が多数の粒子から出来ているなら、「その雲は1個のゴーストムーンと呼ぶべきなのか、それとも10万個の衛星と呼ぶべきなのか?」とシャーキー博士は問いかける。
 準衛星やミニムーンを研究している同僚たちを羨ましく思うことがあると語るのは、アメリカ惑星科学研究所の惑星科学者であるキャット・ヴォルク博士(女性)だ。彼女の研究対象は海王星以遠の小天体で、公転周期が非常に長いので、彼女の生きている間には太陽の周りを1周すらしない。これに対して、準衛星やミニムーンの旅ははるかに短い時間スケールで進行するので、「軌道力学の楽しい実例」を見せてくれる、とヴォルク博士は言う。

◎月から弾き飛ばされたかミニムーン「カモオアレワ」
 シャーキー博士によると、科学者たちは、地球を時折訪れるこうした天体の起源を突き止めようとしているところだ。
 第1の可能性は地球近傍小惑星だ。かつては火星と木星の間の小惑星帯にあったが、木星の重力によって太陽系の内側へと押しやられてきた天体だ。
 第2の可能性は、宇宙空間を飛んできた小惑星に衝突されて飛散した月の破片だ。シャーキー博士らが準衛星カモオアレワを調べたところ、その組成は「私たちがこれまでに見てきたどの小惑星よりも月に近く」、典型的な地球近傍小惑星に比べて風化が進み、太陽に焼かれていることが分かった( 想像図 =月から弾き飛ばされたカモオアレワ)。



 第3の可能性は、太陽系の初期の激動の時代に地球の近くで形成された古い小惑星群の最後の生き残りだ。
 シャーキー博士は、正解は1つではないかもしれないと考えている。地球の過去、現在、未来の「第2の月」たちは、この3つの可能性のどれにでもあてはまり得る。

◎望遠鏡の発達で増えていく地球の「衛星」
 天文学者たちによると、望遠鏡の技術がPN7のような小さな天体を発見できるレベルに到達したのはつい最近のことであり、強力な観測装置、特に新しいベラ・C・ルービン天文台が、次にどんな「月のような」天体を発見するのかを、彼らは楽しみにしている。
 かつて天体力学は地球を宇宙の中心から追い落としたが、今日の科学者が準衛星やミニムーンをいくつ発見しても、コペルニクス的転回が起こるわけではない。しかしミニムーンは、宇宙が常に動いていること、重力はこんなに身近な場所でも静かにたゆまず天体の配置を変えていること、そして人類がその変化を捉えられるようになったのは比較的最近であることを思い出させてくれる。

◎もはや無い、巨大な衛星を捕らえられる可能性
 フェドレツ博士は、1つだけ変わりそうもないことがあると言う。それは地球が今後、重力の少々の乱れでは飛び去っていかないような本物の衛星をもう1つ捕らえることは永久にないだろうことだ。そのためには惑星サイズの巨大な天体と接近遭遇する必要があり、「太陽系の歴史上、それはもう不可能なのだ」と博士は言う。
 けれども未来は、PN7のような旅の仲間で溢れかえっているだろう。その1つひとつが、太陽系で衛星を1つしか持っていない唯一の惑星である地球の孤独を癒してくれるのだ。

昨年の今日の日記





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Last updated  2025.11.27 06:22:07


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