** 長島便り **

2004/11/16
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カテゴリ: カテゴリ未分類
今、これと言って「悩みが無いのが悩み」なワタシ。

時代がありました。

私が「お気楽極楽専業主婦」になるずっと前の
大変な思いをして生活していた頃の話を
少しずつ書いていこうと思います。
まずは「家編」。

ニューヨークに越して来て2軒目に住んだ
アパートでの話しです。


石を投げればユダヤ人に当たります。
シナゴーグ(ユダヤ寺院)コーシャー・デリ
(ユダヤ教義に則った食材店)が立ち並んでいます。
金曜日にはオーソドックス・ジューイッシュの
「シャバッチェローム!」という挨拶も聞こえます。
私のアパートの大家もユダヤ系でした。

住所はクイーンズ郡のレファーツブルーバード。
レファーツブルーバードは知る人ぞ知る
航空会社勤務の人々がひしめき住む通りです。
通りを走る「Q10(キューテン)」というバスに乗ると
フライトアテンダントが必ず乗っています。


契約をしました。部屋の間取りは1br(1LK)。

実は私は、その直前に住んでいた家で
(というか、この時点でもまだ住んでいたのですが)
黒人の未亡人大家と大変もめにもめて、
警察にお世話になるような 修羅場を経験しました。

もんのすごく神経をすり減らす思いをしたので、
もう、こんな争いはゴメンだわと思い
今回はトラブルを防ぐために、信頼できる日系の
不動産会社を介して賃貸の契約をしたのです。

テナントである私

日系不動産

アラブ系不動産 
↓ (ここの関係が不思議なのよねぇ)
ユダヤ人オーナー(大家)

と仲介が間に2件も入ってしまったため、
大家に払う契約金と頭金の他に、仲介料が2件分発生します。
1件につき家賃の1.5か月分。大学を出てほんの少しの期間
教師をしていただけの私には、くぅ~、痛かった。。。
この契約で私の貯金はスッカラカンになったのです。
頭金(safety deposit)は契約解消後、返金されますが
仲介料は返ってきません。あ~、勿体無かったよぅ。。。

でも、この出費はトラブルを防ぐため、だったのに。。。
結局このアパートでもえらく大変な思いをする羽目に。

アパートは新築と書きましたが、
「新築アパート=未完成アパート」なのです。
悲劇はすぐにやってきました。

入居予定日にアパートへ行くと、まず待ち合わせている
アラブ人仲介人が来ていない。他の入居者達と
待たされること数十分。 やっとアラブ人登場で
ビルに入る、と、踊り場が真っ暗。。。
頭上の電気には暗~い電球が1個だけポツンと点っているだけ。

アラブ人仲介人からそれぞれ鍵をもらい部屋に入ると。。。

臭い。。。なぜか食べ物の腐った匂いがする。
新築のフレッシュ ペイントの匂いを
期待していたのに。。。 慌てて窓を開ける。
キッチンの流しに食べ物が詰まっている。。。
これか、匂いの原因は。

私はアパートが建設中に何度か足を運んでおり、
北欧から出稼ぎで働きに来た英語を全く話せない
ユリというおっさんが内装をしていたのを知っています。
この食べ物はユリの仕業です。
家族のために遠い異国で一人働くユリに同情し
ドーナツとコーヒーの差し入れまでした事のある私は
ちょっとバカを見た思いだった。。。

冷蔵庫が出っ張っていて、キッチンの引き出しが開かない。
他の引き出しを開けるとオガクズが沢山出てくる。
なぜだ?と思ったら引き出しが真っ直ぐ取り付けられていなくて
引き出すたびに木が削られているのです。
ガスレンジのつまみが無い!
ディッシュウォッシャーのサイズが合ってなくて
カウンターとの間に2センチほどの隙間がぐるりとある。
ユリ、内装の経験も無いくせに、仕事欲しさで
安請け合いしたのが見え見え。

バスルーム。。。
洗面台の真上に鏡(Medicine cabinet)、ではなくて、
ちょっと右にずれて鏡、しかも斜めに傾いて。
そして、その真上に電球が3つ並んで、いなくて
かなり左にずれて電球が3つ。
いいえ、電球が1つと電球の穴が2つ。。。
このズレ、気になる、というよりイライラするっ!
洗面台はなぜかと~っても汚い!
変な液体が凝固した跡が沢山こびりついている。
ユリの痰じゃありませんように。。。

バスタブにはガラスのスライド式ドアが
「斜めに傾いて」ついており、ピシャリと
閉まらず、どうしても2センチ位開いてしまう。
そして、白いバスタブは靴の跡だらけ!!!
靴についた砂でバスタブには無数の傷もついてる!

よく見たら部屋のカーペット張りの床も
泥が沢山こびりついている。

でも、でも、私を発狂させたのはトイレでした。
便座を上げていない状態で、用を足した跡がしっかり
残ってる。フタにも床にもかなり飛び散っている。
便器の中は流していない状態で、何度も用を足した
跡が誰が見ても一目瞭然。っていうか、どうしたら
こんなに的を外せるのよ~!あっち向いたり
こっち向いたりしながらやったな~!
だめ、もう吐きそう。。。

私は、わなわなと震えて顔は真っ赤になって
廊下に出て、アラブ人仲介人とユリを呼びました。
その時、アラブ人仲介人は、他の入居者たちから
「このシワの寄った壁紙はなんですか?」
「ディッシュウォッシャーの周りの隙間は何ですか?」
「天井の穴は何ですか?」と問われている最中でした。

あら、うちだけじゃないのね、ほっ。。。
なんて安心してる場合ではないし、
私もそんな余裕な気分ではなく

「この部屋を見に来なさ~いっ!今すぐっ!」と
ヒステリックな声をあげて、二人を呼び入れ
その後はいったい自分が何をわめいたのか
全く覚えていないのですが、ものすごい勢いと形相で
部屋の不備を指摘して、

アラブ人に「この状態を入居可能と言うつもりですか?!
私は認めませんよ、新築だからこの家賃でも納得したのに、
この状態は何です?契約金を払った私のプロパティーだと
いうのに、この人(ユリを指差して)が勝手に食べ物を
流しに捨てたり、トイレを汚く使ったりは違法ですよね!
ここは私のプロパティーですよねっ?!
私は今日入居出来ません。3日以内に入居可能な状態に
して下さい。その間の家賃は払いません!」と詰め寄り、

その間アラブ人は「OK,OK, まぁ、聞いて下さい」
とふてくされた顔でなだめようとしていましたが
私は自分を抑えられなくて

ユリに対しては「あんた!なんて怠惰な労働者っ!」
と言葉が通じないのを承知の上で、とにかく
怒っているんだぞ!という感情だけでも伝えようと
にらみ付けて怒鳴りました。

ユリはヘラヘラ笑って「OK~OK!」と言っているのが
余計に私の神経を逆撫でします。

アラブ人はユリと同じ別の出稼ぎの男性を呼び
通訳をさせてユリに注意している様子。
そして、「3日中に掃除させますよ」との事。

私は他の入居者の部屋を見せてもらいました。
リビングの壁紙に思いっきりシワの寄った部屋。
電気をつける位置を間違えたらしく、寝室の
天井に丸い穴がポッカリ開いたままの部屋。
うちと同じくキッチンやバスルームの内装や備品が
いい加減な部屋、がありました。
どの部屋も床には泥がこびりついた跡。

でも、トイレを使われていたり、
食べ物を流しに捨てられているのは
私の部屋だけ。。。ユリの野郎~。。。。

この日、私と同じ階に入居する3世帯と
自己紹介しあい、不動産屋相手に共に怒り奮闘し
早くも連帯感が芽生えました。

私の部屋の右隣が、外科医の4人家族。
この外科医は今後、このアパート内で起こる
様々な問題にinitiativeを取ってくれる人になります。

左隣がプロピアニストの独身男性。
入居後も、部屋にはグランドピアノと、ベッドと
ダイニングセットと、テレビしか持って来ません。
ここが生活の拠点ではない様子。

その隣が母子家庭の親子。
離婚したばかりでこのアパートに来た様子。
その11歳の息子は賢く、私はとても仲良しになります。

この日、カメラを持っていれば良かった。
証拠写真を撮って置きたかった。
誰もがそう思ったはずです。

どちらにしろ、私はこの日荷物を運び入れて
引っ越してくる予定では無かったので
帰って寝る家はあったのですが、
丁度、黒人未亡人大家との修羅場を潜り抜けたばかりの
私にはこの信じられない出来事がショックでした。

さぁ、はたして3日後、私は無事に
この新築アパートに入居出来るのでしょうか。。。

続く。







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最終更新日  2004/11/18 12:13:42 AM


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