LYNNのいたずら毎日

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2004年05月06日
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 なにやら、小学生の作文のようなタイトルである。自分で苦笑してしまった。それはさておき、昨年の夏に出かけたベルギー、オランダ、ルクセンブルク、いわゆるベネルクス三国ではなかなか良い体験をした。今でもよく思い出すのが、このマウリッツハイス美術館だ。

 マウリッツハイスは、アムステルダムから電車で1時間弱のハーグという町にある。国際司法裁判所がある場所なので、ご存じの方も多いだろう。フェルメールやレンブラントがひっそりと展示されている美術館の存在は、もう十年以上の憧れだったけれど、ようやく訪れる機会が巡ってきたのだ。日本に帰る最終日、ベルギーからアムステルダムまで鉄道で戻り、それからまた鉄道を乗り換え、デン・ハーグ駅に降り立ったときの期待感といったら、まるで初恋の人に久しぶりに再会するかのような。

 かつて貴族の邸宅だった美術館は、想像よりこじんまりしていた。でも手入れが行き届き、その歴史の重みを感じさせて美しい。一歩踏み入れると、そこはもう絵画の世界だ。来場者もほとんどいないようだ。展示されている作品を一応丁寧に見てまわったが、心はもうフェルメールへと飛んでいる。まだ出てこない。その間、レンブラントの作品も多くあった。やはりレンブラント、小品であろうと大作であろうと、その精密度は変わらないのがすばらしい。

 そういえば、前にオーストリアのインスブルックで王宮にある美術館を訪れた際、レンブラントの小さな小さな老婆の肖像が、これでもか、というくらいに厳重にガラスの中に展示されていたのを思い出した。だが、このマウリッツハイスでは、作品と観る物を隔てるガラスなど、ないのだ。素晴らしい。

 そうこうしているうちに、別な小部屋に入り込む。そこには、丸いクッションソファが置いてあった。なぜここに、と思うまもなく、ふと目をやると、そこにはフェルメールが!!! 大阪で炎天下三時間半も並んだ挙げ句すし詰め状態で観たあの少女が、そこにいた。そこには、彼女と私を隔てるものなどなにもない。十分に近寄り、心ゆくまで眺めた。初めてフェルメールの実物を観た夫も、その素晴らしさに心打たれたようだった。フェルメールのものは、他にも「デルフトの眺望」があり、これも素晴らしい。やはり絵画は、写真で見るのと実物を見るのとでは、大違いである。

 十分に堪能したのち、後ろ髪を引かれる思いで美術館を後にした。珠玉のような、美術館。誰にも見せず、いつまでも手の中で大切にあたためておきたいような、小さいけれどとても素敵な、美術館。大きく広いだけが素晴らしいわけではなのだ。一年近く経つ今でも、あのときの高揚感を忘れられない。また訪れたいものだ。





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最終更新日  2004年05月06日 08時32分43秒
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