【1月7日(月曜日) 旧癸巳十一月二十六日 癸酉 赤口 月齢24.8】
いやぁこのブログも随分のご無沙汰でした。
年も改まった(今日はもう七草!)ので、今年は少しはまともに投稿しようと思います。
年末から新年の頃にかけて、いつも思い出す詩が私にはあります。
「冬の凛冽たる寒気の中、地球はその周歴を新たにするか。」 というものです。
これは萩原朔太郎の「氷島」の中にある、「新年」と題する詩の一節です。
高校の頃から「凛冽たる」という音の歯切れのよさが私に快く響き、地球が暗い宇宙の中を黙々と着実に歩みを進めていくのに、私自身はどうなんだ!と、「新たにするか」という句で詰問されているような思いがしたものです。
一年を経て、暦はリセットされるし、60年経つと干支も一巡します。暦には「巡る」という概念、つまり「元に戻ってくる」という考え方が底通しているのですが、地球は決してもとの場所に戻ることはありません。
地球は365日とちょっとで太陽を一周して、元いた場所に戻るというのは小学校か中学校で教わりました。
しかし、地球が所属する太陽系も、銀河系という、それ自体が回転する星々大集団の中にあって、銀河系の周りを、約2億4千万年かかって公転している、というのは多分中学校で教わりました。太陽系の銀河中心の周りの公転速度は秒速240キロメートルだそうです。
ところで地球は太陽から約1億5千万キロメートルの距離にいますから(これを1天文単位といいます。)公転軌道の長さは約9億4千万キロメートル余り。それを365日と4分の1日で一周するから、一日に約260万キロメートル進むわけです。これを時速に直すと約11万キロメートル。つまり、地球は太陽の周りを秒速約30キロメートルで飛んでいる!
更に、上のように太陽系は銀河系の中を、秒速240キロメートルの猛スピードで進んでいくのです。つまり地球は複雑な螺旋状の道筋を動いていきますから、決して同じ場所になんか戻って来やしません!
ついでに言えば、銀河系も「銀河団」に属していて、この銀河団も(多分)どこかの周りを回っているのだから・・・・こうなると、私には分かりません。
こうなると自分は便々と同じように時間を過ごして良いのか!、と粛然とした気持ちになってしまいます。この詩の一節を思い出すのが、年に一回程度なのがせめてもの救いではあります。
折角ですから朔太郎の【新年】の詩の全文を掲げておきます。
「凛冽」が「凛烈」、「周歴」が「週暦」と、オリジナルは私の記憶と漢字が異なっていますが、私の記憶の方がこの詩の一節には相応しいという気がするのですが・・・・・
【新年】
新年來り
門松は白く光れり。
道路みな霜に凍りて
冬の凜烈たる寒氣の中
地球はその週暦を新たにするか。
われは尚悔いて恨みず
百度もまた昨日の彈劾を新たにせむ。
いかなれば虚無の時空に
新しき辨證の非有を知らんや。
わが感情は飢ゑて叫び
わが生活は荒寥たる山野に住めり。
いかんぞ暦數の囘歸を知らむ
見よ! 人生は過失なり。
今日の思惟するものを斷絶して
百度もなほ昨日の悔恨を新たにせん。
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