2004.05.06
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 風も心地いいし、サァ~走るぞ、まずは足慣らし・・と二、三歩歩いた所で後ろからいきなり、

「・・・すいません・・・」と、声が。

 ん?と思いながら、恐る恐る振り返ると、知らない年配の男性が、もう一度、「すいません・・・」

 「ハ??」

 と、警戒しながら立ち止まると、

「 いつも、ここを通るんですか?」
「 昨日もここを通りましたか?」
「 だいだい、この時間ですか?」

 と、真剣な表情で矢継ぎ早に質問。



 別に聞かれて困ることはないけど、どうも意図がわからない・・。

 でも、その後の言葉でやっと、事態が飲み込めた。

 「・・・実は、人を探しているんです。ザンバラ髪の、スニーカーのかかとを踏んで履いていて 俯き加減で歩く、年配の女性なんですが、見かけなかったでしょうか・・・」

 「・・・姉なんですが、ウツ病で・・・」

 「はっきりいなくなったと、わかったのは先月の28日で」、という。

「以前にこのあたりを犬の散歩でよく来ていたので、もしかしたら、と思って・・・。
その犬は5年前に死んでしまったのですが。」

 見慣れた身内の姿がどこかに・・・と遠くまで見えるように、ということだろう、手には双眼鏡が。

 こちら側は堤防、取水堰を挟んでまっすぐは公園、反対側はサイクリングロード。

 いろんな人が毎日通るけど、俯き加減で歩いてる様子はきっとひと目でその人とわかるはずだ、と言うその言葉に私も思わず、うなずいてしまう。

 多分先日の28日から、だともう何日も経っているから警察には届けを出しているだろうし、ある程度心当たりを回ってから、「もしかしたら・・」とその堤防までワラにも縋る思いで何年も前に犬の散歩で歩いていたところまで探している、ということのようだった。



 と、アイマイな言葉を言ってそのままランニングを続けたけど、もしもそれらしい人を見かけても肝心な連絡先や、いなくなった日の服装とか、細かいことを聞いていなかったことを時間が経つにつれてあれこれ思い始めてしまった。

 「尋ね人」のチラシとか、せめて見かけた時の連絡先のわかるメモをコピーしたものとかを配ったらどうなんだろう、とか。

 あれこれ思い浮かぶものの、予期しない時に予期しないことを聞かれると咄嗟にちゃんとした判断とか機転って利かないものなんだなぁ~と、複雑な気持ちにもなった。

 ・・・たくさんの人達が楽しい連休を過ごしている中で身内の方が行方不明になって何日も、夜も眠れない日々を送っているのだろうか、と思うと本当にお気の毒で・・・。

 「どうか、その女性が無事でみつかってご家族の元に帰られますように」と祈らずにはいられない、今はそんな思いでいっぱい。。

鉢花














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最終更新日  2004.05.06 17:23:15
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