見たまま、感じたまま、思ったまま

(4)背中

背中 

作詞 作曲 豊田勇造


センシミーナ
センシミーナ HUMMN 001

勇造さんの歌には、人を唄った一連の歌がある。それらの歌の多くはもう逝ってしまって今は居ない人に捧げられた歌である。「ブルーズをやろうぜ」の三浦ふる、「泰ちゃん」の高瀬泰二さん、「小松ちゃん」の小松さん、「タイガージェット山本シン」の山本シン(彼はたぶんまだ生きている)そして1昨年に亡くなられたお母さんに捧げられた「唇かみしめて」である。
それらの歌に共通しているのは、「俺はまだ生きている」という思いと、相手に対する溢れ出る愛情である。

今回取り上げるのは、お母さんよりも先に亡くなられたお父さんに捧げられた「背中」である。
愛と憎しみは背中合わせと言うが、親に対する愛情もそのようなところがあると思う。愛するように憎み、憎むように愛するのである。
この歌は昨年の我が家のライブで「何かリクエストありますか?」と勇造さんに聞かれて、是非にと唄ってもらった歌である。(他にリクエストしたのは「大文字」、その前の年には「夜を重ねて」)

初出は、アルバム「センシミーナ」であるが、ベストパフォーマンスは、最新アルバムの「振り返るには早すぎる」であろう。ドクター兼松のピアニカがすばらしい。


夕方の風呂屋に背中が並ぶ
その中でとりわけ曲がった背中
手ぬぐい1枚よりもちょっと大きめ
72歳の背中を洗う

思い出す戦争の話せがんだ夜
ビルマで火傷したんや~と、めくった足
思い出す嵐山で泳いだ夏
潜水艦!と俺を乗せて潜った

これが俺を生んだ背中 殴った背中 
あれほど憎んだ背中 逃げたかった背中

今はただ何も言わず 洗いたくなる
今はだた何も言わず 洗いたくなる

ビール半分で真っ赤になり
酔えば短い都々逸唄い
大学を辞めてキューバへ行きたいと切り出した夜
黙って店を終いに出た

そんな男の背中を洗うと
この背中の春 4回の春を
ビルマへ送った菊の花
煮ても焼いてもまだ足りん!

これが俺を生んだ背中 殴った背中 
あれほど憎んだ背中 逃げたかった背中

今はただ何も言わず 洗いたくなる
今はだた何も言わず 洗いたくなる

今はただ何も言わず 洗いたくなる
今はだた何も言わず 洗いたくなる



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