趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

March 20, 2011
XML
カテゴリ: 国漢文
【本文】さねたうの小弐といひける人のむすめの男、

ふえたけの ひと夜も君と 寝ぬときは 千種の声に 音こそなかるれ

といへりければ、女、

ちぢの音は ことばのふきか 笛竹の こちくの声も 聞え来なくに
【注】
・さねたうの小弐=未詳。「小弐」は、大宰府の三等官。
・男=夫。恋人である男。
・ふえたけのひと夜も君と寝ぬときは千種の声に音こそなかるれ=「笛竹」に対して「よ(節)」「声」「音(ね)」は縁語。「夜」と「よ(節)」は掛詞。「ひと夜」に対して「千種」は縁語。
・千種=さまざま。いろいろ。

【訳】さねたうの小弐といった人のむすめの恋人の男が作った歌、

笛を作る竹のひとふしのように、ひと夜も貴女と寝ないときは、笛でさまざまな音色を発するように、さまざまな嘆きの声をもらして泣けてくるなあ。

といってやったところ、女の返歌、

千々の音を発するというのは、ことばのうえだけでホラを吹いているのですか。笛竹のこちくの音がきこえてきてもよさそうなのに、「こちく(胡竹)」「此方来(私のいるこっちへやってくる)」という声も聞こえてこなかったのに。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  March 20, 2011 07:16:39 PM
コメント(0) | コメントを書く
[国漢文] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: