がらくた小説館

キレル


 近頃の世の中は物騒だ。俺の子供の頃は…まあ、長いからそこは省くとしよう。

 とにかく自分の生まれ育った街への恩返しという安易な考えで、こんなことになろうとは思っても見なかった。

 後悔は立たない…。

 もっと近頃の子供というものを知るべきだったのだ。しかも一人での夜回りというのも無謀過ぎた。

 彼らをなめすぎたのがいけなかった。ナイフを持っているとは思わなかった。そして何より彼等があんなにもキレやすい人間だったとは、つゆほども知らなかった。

 深夜のコンビニで、煙草をふかして座り込む高校生に注意をしたのが、悲劇の始まりだった。 

「お前達こんな時間に何をしてるんだ?煙草を吸える歳か?殺すぞ。早く家に帰りなさい。親は心配してるぞ。ぶっ殺されたいのか?どこの学校だ?何年生だ?くそがきが生意気に。髪の毛は染めているのか?それは校則で許されているのか?うじむし野郎。なんだその反抗的な目は?でも分かるぞ。俺もお前達ぐらいの時にはそうやって大人に反抗したものだ。死ねよ。でもな、そうやって怒られて人間は大人になっていくんだ。とにかく家に帰りなさい。学校には言わないでおくから。チンカス共。それから煙草は体に悪いんだぞ。やめておけ。ぞんなに吸いたければ大人になって吸えばいいんだ。これはお前達のことを思って言ってるんだぞ。頼むから俺の言葉に耳を傾けてくれ。そしてくたばりやがれゴキブリ野郎」





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