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先日、里中満智子さんの漫画『天上の虹』について、レビュー記事を書きました。
『天上の虹』は、持統天皇を主人公に、天智天皇・天武天皇の時代から続く古代日本の激動を描いた歴史漫画です。
全23巻という長い物語ですが、読んでいるうちに、持統天皇という人物そのものがどんどん気になってきました。
そこで今回は、漫画を読んだあとに、あらためて持統天皇について調べてみることに。
Wikipediaなどで生涯や功績をざっくり読み直してみたところ……
「あれ? 私が漫画を読んで感じた持統天皇と、歴史上の持統天皇って、ちょっと印象が違うかも?」
そんなことを思いました。
今回は歴史の専門家ではない私が、『天上の虹』と、簡単に調べた歴史上の持統天皇を比べながら、
「持統天皇って、ものすごく政治家だったんじゃないの?」
と、勝手に考察してみたいと思います。
もちろん、あくまで一読者としての個人的な感想です。
『天上の虹』を読んでいて、私が特に強く感じたのは、持統天皇が「天皇」という立場だけではなく、一人の女性として描かれていることでした。
妻として。
母として。
娘として。
そして、さまざまな人との関係の中で悩んだり、苦しんだり、決断したりする一人の人間として。
ここが『天上の虹』の大きな魅力なんじゃないかなと思います。
歴史上の人物ですから、もちろん史実があります。
でも、史料を読んだからといって、
「このとき本人は何を思っていたのか?」
「なぜ、その決断をしたのか?」
「母親として子どものことをどう考えていたのか?」
というところまでは、すべて分かるわけではありません。
だからこそ、漫画という形だからこそ描ける部分があるんですよね。
里中満智子さんは、史実を土台にしながら、持統天皇という人物の内面を物語として描いています。
そのため、1000年以上も昔の人物なのに、読んでいるこちらが「一人の女性」として身近に感じられるのだと思います。
今回あらためて持統天皇について調べてみて、私が特に気になったのが、その政治的な存在感でした。
持統天皇は690年に即位し、697年まで在位しています。
その後は譲位して持統太上天皇となり、次の世代を支える立場になりました。
そして持統天皇の時代には、藤原京の造営など、国家の仕組みを大きく変えていく動きがありました。
694年には藤原京へ遷都。
さらに、天武天皇の時代から続く律令国家の整備が、その後の大宝律令などへつながっていきます。
こうして改めて見てみると、
「持統天皇って、ものすごく政治の中心にいた人物だったんだな」
と感じます。
漫画を読んでいると、どうしても人間関係や女性としての生き方に目がいってしまいます。
でも歴史的な事績を並べてみると、国家そのものを動かしていく立場にいた人物だったことが分かります。
ここからは、完全に私の勝手な考察です(笑)。
持統天皇について調べていたら、ふと、
「この人、ものすごく政治家としての才能があったんじゃないの?」
と思ってしまいました。
もちろん、飛鳥時代の天皇と現代の政治家を、そのまま比較することはできません。
当時と現在では、国の仕組みも政治制度もまったく違います。
それでも現代人の私が無理やりイメージするなら、
「もし現代に生きていたら、国の方向性を決めるような政治家だったのかな?」
と思ってしまうんですよね。
藤原京という大きな都を造り、天皇を中心とした国家の仕組みを整えていく。
しかも、自分の時代だけではなく、その後の世代まで見据えていた。
そう考えると、かなり長期的な視点を持っていた人物だったのではないかと思います。
もちろん、これは私の個人的なイメージです。
「持統天皇=現代の政治家」という意味ではありません。
ただ、歴史を少し調べただけでも、
「あれ? この人、かなり政治的な人物だったんじゃない?」
と思えてきたのです。
ところが、『天上の虹』を読んだ私の印象はというと……
やっぱり強く残っているのは、
「母親としての持統天皇」
なんですよね。
もちろん政治的な場面もたくさんあります。
でも、それ以上に、人間関係や家族のこと、子どものことなどが心に残りました。
ここはやっぱり、漫画ならではの部分なのかなと思います。
「藤原京を造った人物」
「国家制度を整えた人物」
「皇位継承に関わった人物」
こうやって功績だけを並べてしまうと、どうしても歴史上の人物は遠い存在になります。
でも、
「母親として何を思ったんだろう?」
「家族との関係で、どんな気持ちだったんだろう?」
と考えると、急に身近になるんですよね。
里中満智子さんが描いた持統天皇には、そういう「人間らしさ」があるように感じました。
歴史漫画には、どうしても創作や人物の心情描写が入ります。
でも、私はそれが歴史漫画の面白さでもあると思っています。
だって、
「このとき、この人は何を考えていたのか?」
なんて、史料に全部書いてあるわけではありませんから。
たとえば、
夫である天武天皇をどう見ていたのか。
子どもの将来をどう考えていたのか。
政治的な決断をするとき、どんな葛藤があったのか。
そういう部分は、作者が史実をもとに想像し、物語として描いていくしかありません。
だからこそ漫画を読む私たちは、
「もしかしたら、こんな気持ちだったのかな?」
と想像することができます。
もちろん、それを「史実」として受け取ってはいけません。
でも、物語として楽しみながら、その人物に興味を持つきっかけにはなる。
私はそれでいいんじゃないかなと思います。
今回、歴史を少し調べてから『天上の虹』を振り返ってみると、私の中では二つの持統天皇が見えてきました。
歴史上の持統天皇を見ると、
「国家をどう作っていくのかを考えた人物」
という印象。
一方、『天上の虹』の持統天皇を見ると、
「国家を作っていく中で、悩んだり、愛したり、苦しんだりしながら生きた女性」
という印象です。
どちらが本当なのか、という話ではないと思います。
そもそも歴史資料から分かることと、物語として描かれる人物像は別のものです。
だからこそ、
歴史資料から見える持統天皇
と
漫画から感じる持統天皇
の両方を見ると、人物像がより立体的に感じられるのではないでしょうか。
ここまで調べてみて、今度は別の疑問も出てきました。
それが、
「そもそも飛鳥時代の日本って、どんな社会だったんだろう?」
ということ。
持統天皇が生きていたのは、今から1300年以上も前です。
現代の私たちからすると、想像するのも難しい時代ですよね。
それなのに、その時代には女性である持統天皇が天皇となり、国家の運営に深く関わっていました。
そう考えると、
「飛鳥時代って、私が思っていたよりずっと複雑で面白い時代だったのかも」
と思えてきます。
歴史の授業では、人物名や出来事を覚えることが中心になりがちです。
私も学生の頃は、
「○○年に○○が起きた」
というような覚え方をしていた気がします。
でも、その人物がどんな社会で生きていたのかまで考えてみると、歴史の見え方が変わります。
持統天皇について調べる前の私は、
「持統天皇=古代の女性天皇」
というイメージがかなり強かったと思います。
でも、『天上の虹』を読んで、そのあとに少し歴史を調べてみると、それだけでは語れない人物だったんだなと思うようになりました。
女性であり。
母であり。
皇后であり。
そして天皇でもある。
さらに、国家の仕組みそのものが大きく変化していく時代の中心にいた人物でもあります。
奈良県立万葉文化館では、持統天皇について「冷静沈着で理知的かつ合理的」というイメージが紹介される一方、里中満智子さんは和歌などから、一途な思いを持った魅力的な女性として捉えています。
こうした異なる人物像があるからこそ、『天上の虹』という作品がより面白く感じられるのかもしれません。
今回あらためて思ったのが、歴史漫画って面白いなということです。
歴史を勉強してから漫画を読む。
もちろん、それもいい。
でも、
漫画を読んだから歴史を調べたくなった。
これでもいいんじゃないでしょうか。
最初は「漫画として面白いな」と思って読んでいた作品。
そこから、
「この人って実際にはどんな人物だったんだろう?」
と思って調べてみる。
すると、
「これは史実なんだ!」
「この人物、本当に存在したんだ!」
「この出来事が、後の日本につながっていくんだ!」
と、新しい発見が出てきます。
そして、さらに疑問が生まれる。
今回の私の場合、それが、
「持統天皇って、実はものすごく政治的な能力を持った人物だったんじゃない?」
という疑問でした。
こういう「気になったから調べてみる」という歴史の楽しみ方も、私は結構好きです。
『天上の虹』を読んだとき、私は持統天皇を「一人の女性」として強く感じました。
そして今回、歴史上の持統天皇について改めて調べてみると、今度は「国家を動かした人物」という側面が強く見えてきました。
女性として。
母として。
妻として。
そして政治を担う人物として。
いろいろな顔を持っていたからこそ、1300年以上たった今でも、持統天皇は物語として描かれ続けているのかもしれません。
そして私自身、
「持統天皇って、ものすごく政治家としての才能があったんじゃないの?」
なんて、勝手に考えてしまいました(笑)。
もちろん、飛鳥時代と現代では政治制度も社会もまったく違います。
なので、「現代なら首相みたいな人物だったのでは?」というのは、あくまで現代人である私の個人的なイメージです。
でも、そうやって現代の感覚から想像してみると、歴史上の人物が少し身近に感じられるんですよね。
歴史を知る方法は、難しい歴史書だけじゃなくてもいい。
漫画を読んで、
「この人、面白いな」
「この出来事って本当なのかな?」
と思ったところから調べてみる。
そこからまた新しい疑問が生まれる。
私にとって『天上の虹』は、まさにそんな作品でした。
そして今回、漫画と歴史を比べてみたことで、
「持統天皇という女性を、もう一度別の角度から見てみたい」
と思うようになりました。
こうなると、飛鳥時代そのものも、もう少し調べてみたくなりますね。
歴史って、知れば知るほど気になることが増えていくから面白いです。
※この記事は『天上の虹』を読んだ一読者による個人的な感想・考察です。歴史上の人物についての評価や解釈には諸説があります。また、歴史的事実と漫画作品における創作・人物描写は分けて考えています。