がらくた小説館

山崎さん

今日も朝から携帯電話が鳴りっぱなしだった。

いずれも相手は山崎さんからだ。

家に帰ると山崎さんが来ていた。

一緒に飯を食べていると山崎から電話があった。

めんどくさいので「また今度」と言って電話を切った。

すると今度は山崎さんから電話があり「明日は開いてるか?」と言ってきた。

「仕事だからあいてない」と断った。山崎さんは飯を食べると帰ったが、その後に山崎が家に来て、なぜか一緒にゲームをすることになった。

結局彼はうちに泊まることになり、今こうして俺の横でイビキをかいて眠っている。

歳の頃なら俺と同じ30手前といったところだろうか? よくよく観察するが、初めてみた顔だった。

おそらく彼は俺の友人の山崎であり、飯を食って帰った山崎さんは、親戚の山崎さんに違いないだろう。仕事中に携帯に電話をかけてきた山崎さん達も、どこかで俺の関係者なんだろう……。

おそらく俺の周りの「山崎」は、20人は超えていると思う。

明日も朝が早いので、山崎の横に布団をひいて寝ることにした。

枕に頭を沈めた瞬間、携帯が鳴った。

とりあえずでてみると、「おっす、明日飲み会あるねんけど来れるよな」と言われた。

電話の主は会社の同僚の中野だった。せっかくのお誘いだったが、参加するのもめんどくさいので、俺はとりあえず断ろうと思い、いつものようにお決まりの嘘口実を繕うことにした。

「ごめん。明日、高校時代の連れの山崎が東京からこっちに帰ってくるねんけど、一緒に飯食うことになってるから無理やわ」







勿論高校時代の友人に山崎はいない。





だが、次の日俺の携帯に03から始まる番号からの電話があった。


勿論山崎からのもので「今から帰るから」と言って電話は切れた。







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