松木幸夫 ギタリスト的思考

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choco.yukio @ Re:曲の性格(11/27) remain-iihamaさん。 素晴らしいコメント…
remain-iihama@ 曲の性格  いつも楽しく読ませていただき  示唆…
choco.yukio @ Re:音楽(とギター)の見え方(10/30) remain-iihamaさん。 > ただ、最近の課…
remain-iihama@ 音楽(とギター)の見え方  私も全く同感です。  自身もかつては…
choco.yukio @ Re[1]:リサイタルの音源(10/07) ぽん太夫さん。 笑っていただけてよかっ…
ぽん太夫 @ Re:リサイタルの音源(10/07) >自分の演奏を聴くのは、とても大胆にま…
choco.yukio @ Re[1]:息が合わないと云うこと(09/15) あやさん。 コメントありがとうございま…

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Jan 24, 2010
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カテゴリ: 音楽
 例えばバッハ作曲リュート組曲第2番の第1曲のプレリュード。

 通常イ短調で演奏されることが多いけれど、原調はハ短調である。最近は3フレットにカポタストを装着して原調で演奏する人がいるようだが、指使いはイ短調のままであることが多い。

 そう云うことではなく、この曲はバスパートで奏される主音によって音楽が生み出される。その音は例えばビオラダガンバやチェロのような擦弦楽器によって鳴らされる音をイメージすればよろしいだろうと思われる。

 静寂の空気の中に、核となる主音が低い音程で現れて音楽が開始される。その音が空気に作用して響きが生まれ、そこから上行する一つの音形が生まれる。次にバスパートの主音は順次下行していくが上行する音形は同じ動きを繰り返す。ついに主音から下行し始めた低音は属音を目指し、それに触発されるような形で上行する音形は形を変え始め、ついには旋律と云えるような形になり、その後音楽は少しずつ動きを見せるように進行して、音楽は展開して一つの世界を形作るようにして終わる。

 音楽で一番肝心なことだと僕が考えるのは、低音である。即ちギターで云えば、大概は親指で演奏される音である。

 西洋原産の音楽であるクラシック音楽は低音が音楽の動きを支配するような形態で進化してきた。だから謂わば低音は音楽の土台と云う役割を持つために、その音には力強さが要求されるものである。

 だから低音が充実している演奏家の演奏は、聴いていて実に安定感と安心感がある。

 大変お世話になったギターの愛好家の一人は、ことあるごとに生で聴いたセゴビアの、特にヴィラロボスのプレリュード1番の初めに出てくるメロディの、殊にグリッサンドの音の素晴らしさについて熱心に語っていた。彼もまた、充実した低音の魅力を体感したひとりであろう。

 ところが、大凡なんの訓練もしないままの親指は、力ばかり強いのに動きが鈍いものだから、抜けが悪く、ぼんやり芯がなく、喧しい音しか出すことができない役立たずの指なのである。



 その困難をくぐり抜ければ、ごく当たり前に綺麗な、この綺麗と云う意味は単に表面的な綺麗だけではない意味を含みたいけれど、いい音を出すことが出来て、音楽の土台をしっかり作ることもできるし、カノンや多声音楽を演奏するときに、ソプラノパートと丁々発止としたやり取りができるようになるのである。

 さて、親指を鍛えるために、何を練習するべきか。

 ソルか、カルカッシか、ヴィラロボスか、ブローウェルか、或いはそれ以外の作曲家の練習曲か。

 僕は、どちらかと云えば何を練習すればいいのか、よりもどのように練習するべきなのか、と云う態度を尊ぶ性質があるから、生徒には、何を練習してもいいですよと、まるで投げやりとも取れるような発言をして、顰蹙を買うことがある。

 勿論、アルペジョを練習するならば、アルペジョの練習曲を練習するべきだろうし、音階を練習したいなら音階練習をすればいい。

 ただ、タッチに関しては、それ以前の問題なので、僕は単音の練習と、指の動きと力加減に気を配ることを勧めるだけである。

 後は、集中力と持続力を生かして地道に練習するだけである。





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Last updated  Jan 24, 2010 12:17:13 PM


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