法律なんて怖くない!

法律なんて怖くない!

2008年04月03日
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カテゴリ: 倒産法




さて,ちょっと間が開いてしまいましたが、前回は破産者が破産するとどうなるかを申し上げました。
今回は,その続きです。

破産者の財産は,34条3項に定められた差押禁止財産(自由財産)を除き,全てが破産財団となって,破産管財人の管理下に置かれます。

ということは,逆に言うと破産者は破産財団については管理権を失うので,そういう意味では制限行為能力者のような感じになります。
例えば,破産手続開始決定後は,破産者が破産財団についてした処分は,破産手続において効力を主張できません。

(開始後の法律行為の効力)

2  破産者が破産手続開始の日にした法律行為は、破産手続開始後にしたものと推定する。


ちなみに,破産者の破産手続開始決定時に存在する財産が破産財団になるのであって,破産手続開始決定後に取得した財産は,破産財団にはならず,自由につかえます(これを固定主義といいます)。例えば,破産手続開始後に働いて得た給料は,破産者の自由にしてかまいません。
破産債権者にとっては,1円でも配当が欲しいので,破産手続開始決定後に働いた給料も破産財団に加えてほしいところですが(これを膨張主義と言います),そうすると,破産財団がどこまでになるのか分からず,破産手続が複雑化してしまいますし,破産者に誰も物を売ってくれなくなります。
第一,もし破産手続後の給料まで破産財団にされると分かれば,破産者は働く意欲を失い,再出発の芽を摘みかねません。
そんなわけで,固定主義が取られています。なお,固定主義を悪用して破産手続を利用すると,犯罪になる可能性がありますので,悪用はやめてください。

このように,自由財産というのは,自然人(個人)のためにあります。法人については,自由財産が存在しません。なぜなら,破産手続をすれば絶対に法人は消滅し,生活や再出発を考慮する必要は無いからです。

では,問題です。法律上,差押禁止財産とされている簡易生命保険(簡保)の保険金の受取人が法人だった時,その法人が破産した場合,保険金は自由財産でしょうか,それとも破産財団になるでしょうか。
難しいところですが,自由財産の趣旨は,破産者の最低限の生活を保障する点にあります。この趣旨は,法人破産の場合にはあてはまらないので,そもそも自由財産がありません。
ということで,いくら差押禁止といっても,自由財産の必要が無い以上,破産財団に組み込まれると考えるべきです。判例(最判飽和60年11月15日)も同様です。

法人が破産宣告を受けて解散した場合には、簡易生命保険法三九条の規定に基づく還付金請求権は破産財団に属するものと解するのが相当である。けだし、同法五〇条が還付金を受け取るべき権利は差し押さえることができないものとした趣旨は、これを保険金受取人の債権者の一般担保としないことによつて、保険金受取人の最低生活を保障することにあると解されるところ、保険金受取人が破産宣告を受けた場合においては、それが自然人であるときには、その最低生活を保障するために破産法六条三項を適用して還付金請求権を自由財産として残すことが要請されるのに対し、保険金受取人が法人であり、破産宣告を受けて解散したときには、還付金請求権を破産財団から除外して破産法人の自由な管理処分に委ねるべき合理的根拠はもはや存在しないものといわざるをえないから、同規定は適用されないというべきである。


また,名誉権侵害に基づく損害賠償請求権も,金額が客観的に定まるか,相続が開始しない限りは,行使上の一身専属性があり,差押え出来ませんから,自由財産になるとされています(この辺は難しいので,スルーして下さっても結構です)

思うに、名誉を侵害されたことを理由とする被害者の加害者に対する慰藉料請求権は、金銭の支払を目的とする債権である点においては一般の金銭債権と異なるところはないが、本来、右の財産的価値それ自体の取得を目的とするものではなく、名誉という被害者の人格的価値を毀損せられたことによる損害の回復の方法として、被害者が受けた精神的苦痛を金銭に見積つてこれを加害者に支払わせることを目的とするものであるから、これを行使するかどうかは専ら被害者自身の意思によつて決せられるべきものと解すべきである。そして、右慰藉料請求権のこのような性質に加えて、その具体的金額自体も成立と同時に客観的に明らかとなるわけではなく、被害者の精神的苦痛の程度、主観的意識ないし感情、加害者の態度その他の不確定的要素をもつ諸般の状況を総合して決せられるべき性質のものであることに鑑みると、被害者が右請求権を行使する意思を表示しただけでいまだその具体的な金額が当事者間において客観的に確定しない間は、被害者がなおその請求意思を貫くかどうかをその自律的判断に委ねるのが相当であるから、右権利はなお一身専属性を有するものというべきであつて、被害者の債権者は、これを差押えの対象としたり、債権者代位の目的とすることはできないものというべきである。しかし、他方、加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意又はかかる支払を命ずる債務名義が成立したなど、具体的な金額の慰藉料請求権が当事者間において客観的に確定したときは、右請求権についてはもはや単に加害者の現実の履行を残すだけであつて、その受領についてまで被害者の自律的判断に委ねるべき特段の理由はないし、また、被害者がそれ以前の段階において死亡したときも、右慰藉料請求権の承継取得者についてまで右のような行使上の一身専属性を認めるべき理由がないことが明らかであるから、このような場合、右慰藉料請求権は、原判決にいう被害者の主観的意思から独立した客観的存在としての金銭債権となり、被害者の債権者においてこれを差し押えることができるし、また、債権者代位の目的とすることができるものというべきである。




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【参考本】


倒産法概説

この本は、破産法のみならず、民事再生法・会社更生法といった倒産関連の法律を横断的に解説してくれます。破産法・民事再生法・会社更生法を比較して学べます。
執筆者は学者の先生ですが、あまり固くなく、比較的読みやすい本です。





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最終更新日  2008年04月03日 08時50分02秒
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