法律なんて怖くない!

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2008年04月14日
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カテゴリ: 倒産法




請負と言うと耳慣れないかもしれませんが,「下請」と言う言葉がありますよね。「下請」と言うのは「下請負」の略ですから,実は請負契約というのは意外と用いられているようです。

例えば,〇×建設から,鳶職の清水君が住宅建築を請け負ったという事例で考えましょう。この場合,〇×建設は「注文者」,清水君は「請負人」と呼ばれます。

では,〇×建設が破産した場合,つまり注文者が破産した場合はどうなるでしょうか。
破産法には特に条文がありませんので,双方未履行であれば,53条が適用されることになるのでしょうか。
ということは,〇×建設の破産管財人が履行を選択すれば清水君は住宅を完成させなければならないことになります。

そうすると,清水君は注文者が破産しているのに,住宅を完成させなければなりません。
これでは,清水君は,代金が入るかなんとなく不安なわけです。
そこで, 民法 において,請負人に解除権を認めています。

(注文者についての破産手続の開始による解除)
民法 第六百四十二条   注文者 が破産手続開始の決定を受けたときは、 請負人 又は破産管財人は、契約の 解除をすることができる 。この場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。


では,もし民法642条で解除されたらどうなるのでしょうか。
もちろん,清水君が何も仕事に取り掛かっていなかったら,特に問題はありません。

問題は途中まで住宅が完成した場合です。
「解除」と言うことは,原則は原状回復なので,途中まで完成した住宅を壊して更地に戻し,戻す費用などは損害賠償として請求するようにも思えます。
しかし,これは無駄だと言うのは明らかですよね。

そこで,判例(最判53年6月23日)は以下のように考えています。
「請負契約が民法642条1項の規定により解除された場合には,請負人はすでにした仕事の報酬およびこれに包含されない費用につき,破産財団の配当に加入することができるのであるが,すでにされた仕事の結果は破産財団に帰属すると解するのが,相当である」 つまり,全部解除というよりは,未完成部分につき解除すると言うイメージですね。

では,請負人が破産したらどうなるでしょうか。
これについては,破産法にも民法にも条文がありません。
ということは,53条によって処理することになります。
ただし,判例においては(最判62年11月26日)破産者以外の者において完成することが出来ない性質の請負であれば,53条は適用されないものとされています(改行は引用者)。

法五九条は、請負人が破産宣告を受けた場合であっても、当該請負契約の目的である仕事が破産者以外の者において完成することのできない性質のものであるため、破産管財人において破産者の債務の履行を選択する余地のないときでない限り、右契約について適用されるものと解するのが相当である。

けだし、同条は、双務契約における双方の債務が、法律上及び経済上相互に関連性をもち、原則として互いに担保視しあっているものであることにかんがみ、双方未履行の双務契約の当事者の一方が破産した場合に、法六〇条と相まって、破産管財人に右契約の解除をするか又は相手方の債務の履行を請求するかの選択権を認めることにより破産財団の利益を守ると同時に、破産管財人のした選択に対応した相手方の保護を図る趣旨の双務契約に関する通則であるところ、

請負人が破産宣告を受けた場合に、請負契約につき法五九条の適用を除外する旨の規定がないうえ、
当該請負契約の目的である仕事の性質上破産管財人が破産者の債務の履行を選択する余地のないときでない限り、同条の適用を除外すべき実質的な理由もないからである。

原判決が説示するように、同条の適用のない請負契約について法六四条を適用することができ、その適正な運用によりある程度妥当な解決を図ることが可能であるとしても、破産財団の都合等により請負契約の目的である仕事を完成することができないときには、注文者の保護に欠けるところが大きいので、右のことをもって法五九条の適用を否定する根拠とすることはできないというべきである。

 そうすると、本件契約の目的である仕事が破産者以外の者において完成することのできない性質のものであるため、破産管財人において破産者の債務の履行を選択する余地のないものでない限り、本件契約については法五九条が適用され、本件契約が解除されたものとされる場合には、上告人は支払ずみの請負報酬の内金から工事出来高分を控除した残額について、法六〇条二項に基づき財団債権としてその返還を求めることができるものというべきである



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【参考本】


Cーbook倒産法

この本は、倒産法の予備校本です。基本書に抵抗のある方は、こちらをおすすめします。





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最終更新日  2008年04月14日 14時30分35秒
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