マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2010.06.22
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 冷えたパイナップルジュースとゴール 


 ここは雫石町。ゴール地点のある町だ。暫く家並みが続いた後、再び田舎道となる。もう完走は間違いない。後はどれくらいでフィニッシュ出来るかだ。92km過ぎから登り坂。坂の手前にスタッフの人がいて、「急だから歩いた方が良いですよ」と忠告。それに逆らい走ってみたが、もう脚が言うことを聞かなかった。

 坂を登り切ると急に景色が変わった。だが、いつもなら前方に見える岩手山が、もやに包まれて見えないのが残念。目の前を走るベテラン2人と若者1人の3人組。常に誰かがペースメーカーになって引っ張る。後に着きたいところだが、これが結構厳しいのだ。

 右折すると田圃の中の道。左手に満々と水を湛えた用水路がある。そこに飛び込めたらどれだけ気持ちが良いことか。「ゴールして水シャワーを浴びるぞ~。冷えたビールを飲むぞ~」と叫ぶ。

 95.8km地点に最後のASがあった。もう夕方の5時近いのに道路は熱気ムンムン。迷わず頭から水を被り、沢庵の僅かな塩味を楽しむ。97kmまで来た時、C一さんが無人の小屋に入って行くのが見えた。ゴール後に聞いたら、疲れたため暫く横になっていたと彼。

 「仙台国際ハーフ」前日に高齢の母上が倒れ、出場出来なかった由。そんなことを少年のように笑って話す。きっと看病の疲れが出たのだと思う。前日のGMC表彰式後には、もらったばかりのジャケットをそっと私の肩に掛けてくれた。彼にはそんな優しい一面がある。

 雫石川に架かる橋付近が98km地点。ここに臨時のASが置かれていた。あったのは氷で冷やした缶ジュース。私はパインジュースを選んだ。疲労困憊のランナーには予想外のプレゼントだ。「ASのは冷えてなかったもんなあ」。1人のランナーがそんなことを口にした。

怒ってる

 ゴールの雫石総合運動公園が近づいた。安心して歩き出した3人組を抜く。公園の敷地内でゆっくり走っている男女。1人はG島さんでもう1人は秋田の女性。「ゴメンね」。2人に謝ってラストスパート。最後まで全力を尽くすのが自分流。服装を正し、両手を挙げてゴールに飛び込む。ようやく長かったレースが終わった。

 完走メダルなどをいただき、アーリーエントリーの料金返戻手続き。荷物を受け取りシャワー室へ急ぐ。正式なタイムは13時間23分24秒。12時間台でのゴールは無理だったが、あの高温下で良く痙攣が起きず、最後まで腰が持ってくれたものだ。シャワーから戻るとG島さんとC一さんが居た。笑顔でお互いの健闘を讃え合う。

 テント村の休憩所に仲間が集まっていた。誰が完走したかや大体の順位も想定出来たが、それには触れなかった。ウルトラには勝者も敗者もない。全力を尽くせばそれで十分。K藤さんが「おめでとう」と手を差し出した。私は小さくうなずき彼女の手を握った。挨拶して皆に別れを告げる。翌日の勤務に備えて早めに帰宅するためだ。

 盛岡行きのバスを待つ間、私は芝生に座って1人祝杯を挙げた。念願の缶ビールが美味い。「ワサビお握り」と「焼きホタテ」もあっと言う間に平らげた。厳しいレースにも関わらず、私の胃は案外頑丈に出来ていた。バスの座席に落ち着き、初めてプログラムに目を通した私だった。<続く>





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Last updated  2010.06.23 19:14:12 コメント(8) | コメントを書く


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