ミーコワールド

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破れた障子

    <破れた障子>

年も明けて七草も過ぎた11日の事、すぐ目の前に迫った

成人式の準備をしなくてはならないのに、何もできていなかった。

ピン類は常に揃えてあるので問題はない。

トップ(毛タボ)もある、

ブラシ類の消毒もすんでいる。

だが私は憂鬱だった。 

障子がすすけて黒ずんで、破れたままなのだ。

このままでは晴れの門出のお嬢様の着付けができない。

私は意を決して張り替える事にした。

最初はレールをつけてカーテンにするつもりだったが、

それでは日頃、薄暗い。障子だと何とも言えないあの情緒がたまらない。

それで、カーテンにするつもりで出かけたもののホームセンターで

障子紙を買って帰った。

古い障子紙をはがして、桟をきれいに拭いて、のりをつけて紙を貼った。

思わず自分で自分を褒めてやりたいくらいきれいに貼れた。

二枚ともやり直しをせずに済んだ。

あとは建具を入れるばかりに・・・。

私は意気揚揚と障子を入れた。

真ん中に入れて「これでよし!」と声に出して端に引いた。

その途端「しまった!」と思ったが後の祭り!

上の乾いていない所が上の敷居にすれてよれて破れた。

仕方がない。もう一度貼りなおすのも面倒ではずして切り張りをした。

その日ははずしたままで次の日はめる事にした。

そして次の朝、しっかり乾いているのを確かめた上で入れて引いた。

大成功!」今度は破れなかった。

あと一枚。

入れようとして振り向いた所へ何のはずみか、あとの一枚が倒れてきた。

ガツン! 私の左こめかみに当たった。

思わず手を出したものだからせっかくの破れていない障子に手を

突っ込んでしまった。

私は痛みと落胆ではずんだ心がすっかり萎えてしまった。

障子は破れたまま入っている。

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