星の髪飾り

星の髪飾り

2006/01/24
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あいつは繰り返し不慣れな手つきの加奈子に、実に丁寧に教えてくれた。

一級建築士のあいつは、きっと内心イライラする事もあったかもしれない。 

あいつとペアーを組んだ始めての仕事の時、森川が前もって加奈子がかけだし

である事をあいつに伝えていたと言う。 あいつはその事をよく踏まえた上で

加奈子とのペアーを森川に申し出て、その機会を作ったのだった。

あいつの存在、あいつの優しさが今になって、くっきり炙り出されて来る。

 そんなことを思いながらも時は過ぎて行った。 10月の空は爽快で、5月の

ように心広く、何かしなければ! どこかへ行きたい!そんな気持ちになる。



それは加奈子にかかった数少ない電話の中の一回だったと思う。 

携帯電話の普及はまだまだで待ち合わせ場所がズレたり遅刻を伝える手段は

今とは違って難だった。 公衆電話だった。 日曜は家庭の電話は使えない。

「体調はどう?」

「大丈夫。頑張るってくるから・・・」

「あせったりしないで、落ち着いて。  じゃあ・・」

よく加奈子をわかっている言葉だった。 その短い電話の向こうで、あいつが

どんな思いで受話器を手にしているか・・複雑な思いも正直、加奈子にもあった。

いつも、ひっかかているその事が。

 そして一月後、試験は落ちた。

「  ごめん。 あんなに時間作ってくれたのに。」



為の試験だー。人気が出てくるとそうなって行くもんだよ。」

「ありがとう、本当にありがとう。 また来年頑張るから私!」

「時折、無鉄砲で危なっかしくて周りを驚かすような子かと思えば、そうやって

素直さが言葉にきちんと出せる、気使いも細やかで、外見とのギャップが、俺

好きだよ・・」 好きという言葉が会話に始めてでた事に、一瞬二人の会話は



しているのを感じた。

「試験も終わったし、息抜きするか!」

「うん!」あいつに合わせて元気に応える。 まるで何もなかったかのように・・

「どこ行きたい?、んー何食べたい!」

「ベイブリッチへ行きたい! ピザが食べたい!」

「ステーキとか、寿司とかじゃないのか?」

「お寿司? 卵なら食べられる。」

(笑)「それじゃあ、寿司を食べる意味が無いよ。」

「安上がりにできてるのよ、私」

「そうは思えない。」

「苦労知らずのわがまま、って思ってる?」

「いや、そうとも思わない」

「へー、けっこう人見る目あるじゃない!」

「Youに言われたかない。」

「・・・・・・」

「どうした?」 突然黙って視線をそらせる加奈子に、あいつは不安げに訊ねた。

                     続く






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最終更新日  2006/05/09 03:55:55 PM コメント(1) | コメントを書く


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