Happy life in Florence

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その8

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その8

再び合唱団
仕事を始めたり、今の旦那と付き合いはじめたりでなんとなく音楽から遠ざかってしばらくたった。
結婚してからちょっと落ち着いたのでまた音楽が恋しくなって再開。
地区の合唱団があるというので早速参加してみた。
練習場所は教会のなかの集会所のような一室。
団員はおっちゃんおばちゃんばっかり。
今一つ満足感は得られないのだけれどとりあえず、みんなにまじって一緒に歌えるのが楽しくてしばらく続いた。
でもしばらく通っていると、この合唱団、練習に集まるのが楽しいというだけで、本番があるわけではないことが分かってきた。
しかも指揮をしているのは定年した外科医。
ヴァイオリンもたしなむエリート音楽愛好者という感じ。
音楽的に納得行かないこというし、えらいお医者さんだったかしらないけど、どうも偉そうにされるのが気に入らない。指揮者として尊敬できる人から偉そうに指示されてもいいけど、素人のおっちゃんに音楽的にどう考えてもおかしいことを、しかもすんごい偉そうに「やれ」といわれても、それはできないのだ。
それでも、合唱団のなかでも抜きんでて優秀な(そりゃそうだわな)私は気に入られまくり、セステットをやりたいのでソプラノを担当してくれないかと言われて、合唱団をやめてそっちだけ通うことにした。
合唱団なら20人中のひとりだけど、6人の中のひとりとなると、ソプラノはどうこうと指示されると無視するわけにはいかないので、やっぱり、音楽的に納得行かないことが何度もあって、これではやっていけないと思ってお断りすることにした。
指揮者のお医者さんは「選ばれてソロで歌えるこんな名誉あるチャンスをなにが理由で来れないというのか?」といわんがごとく、しつこく「来い」(なんでも命令調だから)と言われ、仕事場にまで電話されてほんとに困った。
「君みたいな優秀なソプラノが必要なんだ」って私をおだてて勧誘しようと思ってるのかもしれないけど、私みたいな優秀なソプラノは貴方みたいな指揮者の元では歌わないのよ、と言いたくてもさすがにそれは言えなかった。


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